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第四話 キモいやつらも戦いたい

「…変質者?」 

「失礼じゃなこいつ…まあよい、ワシはナーヘン・オジー・サンじゃ、魔法研究をやっとってな、ここら辺で妙な魔法の気配がしたんじゃが…」


勇者たち全員が魔法使いシンキーズに目を向ける。そいつは「え?俺?」といわんばかりの動きをして手を挙げる。


「ほう、お主か。何ともかっこいい見た目じゃのぉ」

勇者が正気かコイツと思っていると、主人公より主人公らしかったバカナルシが合流した。


「ふっ、この俺にかかればあの程度、余裕なんですわ~」

「わーすごーい死ね」

「え」

勇者が中指を立てて威嚇していると、


「こんなところじゃ何もできんしのぉ、お主らワシの研究所に来んか?水ようかんご馳走するぞ」

勇者たちはあてもないので、その爺さんについて行くことにした。


 いかにも怪しげな爺さんについて行くと、森の近くにある、ニチチの町についた。

 田んぼと畑の多い、まさに田舎という感じの雰囲気で、木々の揺れる音とそよ風が心地よい。


おいしい空気を堪能しながら彼らが歩いていると、

「ここじゃ、着いたぞ」

そこにあったのは一体の古ぼけた地蔵であった。


「え?俺には何も無いように見えるんだが?」

バカナルシが爺さんに呆れた様子で尋ねると、爺さんはニヤリと笑ってこちらを向いた。


「ほっほ、驚くでないぞお主ら。見ておれ、オッフェン・クシコス!」

爺さんが地蔵に触れそう唱えると、地面が大きく揺れ、地下へと続く大階段が現れた。


スパイ映画さながらの演出にバカナルシと多分シンキーズたちも目をキランキランさせていた。


階段を降りて行く爺さんについて行くと、上から階段が閉まる音が聞こえた、これならカギ閉めたっけとなる必要もない。


階段を降りると、テーブルの上に様々な薬品や資料が置かれ、見たこともないほど巨大な顕微鏡などが置かれた研究所がそこにはあった。


爺さんが近くの少しごちゃごちゃした棚をゴソゴソ漁ると、白い半透明の小瓶を持って戻ってきた。

「よし、そこの黒いの、ちょっとこの瓶に魔法を一発打って欲しいんじゃが」


さっきの魔法使いシンキーズがめちゃくちゃ集中すると、先ほどと同じように手の先から火の玉が放たれ、それは小瓶の中へ吸い込まれていった。


「よし、それじゃ鑑定結果が出るまで30分ぐらいかかるから、それまでゆっくりしていっての~」


「へ?爺さん鑑定士の資格持ってたん!?」

バカナルシが驚くのも無理は無い、鑑定士は国家資格の中でも最難関の資格だ。

鑑定の魔法自体はそれほど難しくはないが、魔法の構造などを全て暗記しなければならず、資格取得には2500種類の魔法構造の暗記が必須なのである。


「いんや?ワシはそんなのもっとらんぞ?」

「え?じゃあどうやって鑑定すんだよ?」

「これでもワシは研究者のはしくれじゃ、ワシの作ったこの装置にかければ10分ぐらいで判別できるぞい。」


科学の力ってすげーと思った一行は10分待つことにした。途中でバカナルシが手を洗おうとしたら水道の勢いが強すぎてびしょ濡れになった以外は何もなかった。


10分経ったぐらいの時、爺さんが少し興奮した様子で戻ってきた。手には本を持っている。

「結果を伝える前に、そこの黒いの、ちと手を触らせてくれんか?」


魔法使いシンキーズが手を差し出すと、爺さんはその手を掴もうとする。だが爺さんの手はシンキーズの手をすり抜ける。

それを見た爺さんはナイトクラブのパリピ顔負けレベルではしゃいでいた。


「こいつは今まで生きてきて初めて会った逸材じゃぁぁ!」

興奮冷めやらぬまま、爺さんは説明に移ろうとする。こっちは気迫に押されて何も言えない。

「よいかお主ら!まず魔法鑑定の結果から説明してやろう!あの魔法は幻影魔法と言っての、幻を見せる魔法じゃ。

さっきの場合なら炎を使う幻を見せたのじゃ。

そしてこの黒いのの体がすり抜ける、これはつまりこやつそのものが幻影魔法ということじゃ!」


驚くべきなのかよく分からなかったのでタカヒラは適当におーと言った。

「そして、ワシの開発したあの魔法がこんな形で役に立つとはの!」


そう言うと爺さんはテーブルの上に持ってきた本を開く。そこには[ファンタズミク]という文字が書かれていた。


「この魔法は[幻影を実体にする魔法]じゃ、開発したはいいものの、使いどころが無くて困ってたんじゃ、使うの自体は簡単じゃがお主使えるか?」


魔法使いシンキーズは本を軽く読むと、右手を左手にかざした。そして口元が僅かに動いたような気がする。

すると左手の黒が、先ほどよりも濃くなっているのが分かる。触れてみると、スベスベしていた。


残りの二体も本を読むと、同様に魔法を使い、手が実体化した。

「おぉ!飲み込みが早くて助かるのぉ。そういえばそこの若者よ、こやつらは何て名前なんじゃ?」


勇者は今になってこいつらに名前をつけるという概念すら無かったことに気づいた。確かに名前があった方が何かと便利である。

勇者は悩みに悩んだ末、馴染みの深い名前に決めた。


「えっと、こいつらは魔法使いが1号、そこののっぽが戦士の2号、一番チビが盾使いのS3です」

シンキーズたちは今自分の役割と名前を知ってマジか…というような仕草をしている。

「何かむしろ敵役っぽい見た目じゃが、いい名前じゃの。今日はお主らに巡り合えていい日になったからの、ワシからプレゼントじゃ。」


爺さんは棚の近くの段ボールから、三つの道具を取り出した。それはシンプルな見た目の黄色い杖、何やらメカメカしい水色の手袋、少し小さめな金属製の銅色の盾であった。


「こいつはまだ試作品での、まだ改善の余地はあるんじゃが、お主らの冒険に役立てて欲しいんじゃ、あとついでにデータも取りたいしの。」


シンキーズたちはそれぞれ武器を装備する。何だかキモいやつらがちょっとマシに見える。


「あぁそうそう、一つ言い忘れてたんじゃが……  」

そこまで言うと、シンキーズたちが何かを察したかのように外へと駆けだしていく。S3が早く着いてこいと言わんばかりに大ぶりの手招きをする。


勇者とバカナルシはシンキーズたちの後を追うと、外には夕焼け空に暗雲が立ち込めている。

その瞬間、勇者たちは今までにないほど禍々しい魔力を感じ、全身が強張る。

勇者たちは武器を強く握りしめ、シンキーズたちの後を追う。

ご視聴ありがとうごさいました(っ´ω`c)

あの、ほんとに、遅くなってすいませんでした

(´*`:)

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