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第三話 キモいやつは一目で分かる

       ~マガシカ大陸~

 勇者が目を覚ますと、頭の上の心地よい冷えピタをとともに砂浜に横たわっていた。体を起こすと、冷えピタは勇者の股間にヌメッと着地する。


そこにいたのは青色のスライムである。

スライムは目を覚ますと元気に股間の上でジャンプした。

「ホグワァッ!?」

スライムの 会心の一撃!

勇者は もだえ苦しんでいる!


「何やってんだお前…」

聞き覚えたくなかったナルシストな声がする。苦しむ勇者を横目にスライムを摑み上げ、森へそっと逃がした。


「で、ここどこなんだよ」

まだちょっと痛い股間を抑えながら周りを見渡すが、一面森である。


「あっちの看板にはワトキの森って書いてあったぜ。困ったな、こんな場所に流れ着くとは。」

ナルシスト野郎は頭を掻きむしりながら答える。

 

勇者はてめえのせいだよと思ったが、どっちにせよ船は沈む運命だったのかもしれない。


「何が問題なんだよ。どうせあんたの魔法ならどんなやつもちょちょいのちょいだろ?俺たちへの被害は考えないものとしてだが。」


「へ?俺もう魔力ほとんどないよ?」

ナルシスト野郎はあっさり答える。


「…え?詰んだ?」

絶望して天を仰ぐと、シンキーズたちが木登りして遊んでるのが見える。


「まあほとんどないって言っても通常サイズ五発分ぐらいはあるし、この森から近くの町まで大体5kmぐらいのはずだから行けるっしょ」 


そんな楽観的なことを言っていると、シンキーズたちが走って戻ってきた。そして先ほどシンキーズたちがいた方から地響きのような音がする。


そして巨大な白い頭が木の上から姿を現す。あのタコほどではないにせよ、体長は10mはありそうであった。そしてその生物が立ち上がると、体は無駄のない洗練された、まるで棒のような姿であった。そしてその巨大な生物はこちらへと超大股で向かってくる。


「え?お前ら何してくれてんの?」

その言葉を言った時には、既に勇者以外全員逃げ出していた。


「ちょ!?待てゴラァァァ」

まだ冒険は始まったばかりというのが信じられないレベルの命の危機。人は本気を出すとこんなにも早く走れるのかというほどのスピードで追いつき、ナルシスト野郎に悪質タックルをかます。


「ベブシッ?!」

その勢いのまま坂道を転がり落ち、偶然あった洞穴にホールインワンする。シンキーズたちも続けて滑り込む。


地響きは段々と大きくなり、見つかるかとヒヤヒヤしたが、少しずつ遠ざかっていった。

何とかやり過ごしたと思ったが、またしても大きくなり、岩の下や木を引っこ抜いて探している。


「このままじゃ見つかるのも時間の問題だぞ…」

ナルシスト野郎からいつものおちゃらけ感が感じられなくなり、緊張感が漂いだす。


「そういやこんな時に聞くのもなんだけど、ナルシストお前なんて名前なんだ?」


「え?お前俺の名前知らなかったの?」


「当たり前だろ、初対面だぞこちとら」


「まあいいや、俺の名前はセレー・ナ・ルシスト。皆からは多分尊敬の意を込めてナルシストって呼ばれてるぜ。」

ドヤ顔を決めつつ話すナルシスト。

そしてこいつの名前は次からバカナルシだ。


「あっそバカナルシ、ちなみに俺は勇者タカヒラやで」

そんな話をしながら、あの本にこの状況を打破する方法はないだろうかとページをめくっていると、ようやく見つけた。


ワタナベ [魔法] なし

巨大な白い頭と棒のような巨体で構成された魔物。父はトオルであるが、数年前に息子のヒロシが父に膝蹴りをかまし、借金取りから夜逃げし消息不明。ちなみに日記をつけるのが趣味らしい。


「膝蹴りされてなんで借金取りに追われんの?肝心なとこ書いてないんだけど?すげーモヤモヤするよ?」


勇者がどうでもいいことで悩んでいると

「なあ、さっき何て言った?」

「え?すげーモヤモヤするって」

「ちげーよもっと前!」

「え?膝蹴りされてなんで借金取りに追われてんのって…」


バカナルシはそれを聞くとそれだ!と大声で叫ぶ、それと同時にさっきまでの地響きが止み、洞穴の天井が吹き飛ぶ。


「やっべ、俺また何かやっちゃいました」

全員一目散に逃げ出したが、途中で勇者とはぐれてしまい、シンキーズとバカナルシだけが残った。


「待ってくれよ、なんで大事な時に勇者いねえんだよ、せっかくあいつを倒す策を思いついたのによぉ!」

慌てふためくバカナルシを見て、まかせろと言わんばかりのシンキーズたち。

「くっそ、こいつらに頼るしかねえか…」


「…いいか?作戦はこうだ。お前ら三人があのデカブツの注意を出来る限り引いてあの崖まで誘導しろ。そしたら俺が残りの魔力全部使ってあいつに膝カックンかましてやる。」

説明が終わると、デカブツの方から勇者の叫び声が聞こえる。


「だーもう時間がねえ!行ってこい変なの!」

シンキーズたちはナルト走りで勇者タカヒラの元へと向かう。


「ちょ、死ぬ!まじで死ぬ!」

その頃勇者は、木をかいくぐってギリギリ生きていた。後ろからは体が浮くほどの振動が伝わってくる。


そこに颯爽と現れた変な三人組!彼らは勇者にグッドポーズをし、勇者に逃げろとアピールする。


「なにがグッドやねん!ばりばりバッドやわ!」

どうやら勇者には作戦が伝わっていないようだ。シンキーズたちは勇者の前で必死に崖の方を指さす。


「だから今はふざけてる場合じゃないっちゅうねん!現場猫ならちゃんと足あげい!」


現場猫のモノマネと間違われてしまった。困ったシンキーズたち。勇者の体には触れられないから進行方向を無理矢理変えることもできない。


シンキーズの一人は、せめて何か魔法が使えたらいいのに。そう思い火の魔法を思い浮かべる。すると彼の手から小さな炎の玉がはなたれ、それは勇者の前方の草に直撃し燃え広がる。


「あっぶな!」

勇者は急転回して炎に突っ込むのを回避し、崖の方へと進んでいく。シンキーズは、なぜ魔法が出たのか疑問に思っていると崖に着いた。


「待ってくれ、行き止まりじゃねーか!ねえなんで俺こんなシチュエーションばっかなの!?」


喚く勇者を、ワタナベは容赦なく踏み潰そうとする。そこに遠くからこだまして待ち望んだ声が聞こえる。


「ジャンボリー・パンチ!ミニMAX!」

だが、攻撃が飛んでこない。

作戦は失敗したのかとシンキーズも喚く。


…いや、違う。よく目を凝らすと何かが飛んでくる。ゴォーッという音を立て、空気の拳が飛んでくる。そしてそれは見事にワタナベの膝へ命中する。


片足立ち状態だったワタナベは、大きくバランスを崩し、崖を転がり落ちて海に落ちていった。


「ハァ…ハァ…なんか知らんが倒せたな。」

勇者が一息つくと、草むらからガサガサ音がする。そしてそこから出てきたのは、土汚れた白衣に、モジャモジャの青い口ひげに覆われたおじいちゃんであった。


ご視聴ありがとうごさいました!(っ´ω`c)

投稿遅れてすいません(;゜д゜)

これからもボチボチ上げていきます。

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