第九話 イケメンは気づかない系男子!
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「この公式はですねぇ......」
いつも通り、授業は進んでいく。
先生が黒板に書いたことを、クラスの人たちはノートにいつものように移していく。
しかし、唯一変わったことがある......それは、
「ねぇ、黒瀬君、この公式わからない」
「いや、わかるだろ」
「わからないっていってるじゃん!」
「だって、ノートにもう書いてるじゃん。答えまで......」
「もう、何で見ちゃうかな......」
それは、楓音いや、【学園の天使様】が俺の隣の席に来てしまったことだ。
確か、うわさだと結構物静かで、優しいっていうことなんだが......
なんか、めっちゃ喋ってくるのだが......
これじゃあ、【学園の小悪魔】と言われてもおかしくないぞ。
ていうか、一応俺をいじめていた相手だよな......
普通は、気まずくなるのが普通だろ。
「あのさー、俺黒瀬だよ?」
「知ってるけど?」
おいおい、まさか、いじめしてたことを忘れたってことないよな......
そしたら、俺の復讐はどうなるんだよ......
「えっと、もしかして、覚えてない?」
「え、何が?」
「やっぱなんでもない......」
「ふぅん......」
こいつ......
まさか、ガチで忘れるのか?
「はあ、俺のことどう思ってるんだよ......」
「えっ......!?」
あっ......やべ、つい声出ちゃった!?
もう、最悪だ......
これ、絶対嫌われる奴じゃん......
ってあれ、妙に顔が赤いな......
「べ、別にす、好きとかじゃないから......」
「はっ......?」
「だ、だから、好きじゃないから......」
「別に、そういうこと言ってるわけじゃないんだけど.....」
「ちょっと、それはずるいって!」
何がずるいんだよ!
ていうか、好きじゃないとか何言ってんんだ、天使様は.....
まさか、俺のこと好きとかありえるのか!?
いやいや、それは自意識過剰すぎるよな!
だって、天使様だよ!?しかも、いじめしていた人だよ!?
うん、絶対あり得ない......
そんな、ラブコメ展開なんて絶対あり得ない......
もし、これが何かのアニメだとしたら復讐系とかだろ......
タイトルをつけるなら......【復讐にかられた俺がいじめをしてきた美少女を惚れさせようとします!】とかじゃね?我ながらに才能あるかもな......題名付けるの。
_____キーン、コーン、カーン、コーン......
「よーし、じゃあ今日の授業はここまでよ」
考え込んでいると、もう授業が終わっていた。
やべ、休み時間になるとまた質問攻めにされるから早く教室でないとな......
「じゃあな、楓音さん」
「あ、じゃあね」
♢♦♢
「やば、あの人イケメン!」
「ちょっと、話しかけてみてよ!」
「いやいや、そんなことできないよ」
「やば、今こっち見たって!」
うぅ......いつになったら、このざわつきは収まるんだ?
やっぱり、【イケメンの特権:すぐざわつかれる】はあながち間違いじゃないのかもしれない......
これじゃあ、落ち着いて廊下にも出れないな......
まあ、女子にざわつかれるのは嫌いじゃないけどな!
って、何勝手に妄想してんだよ!
自分で言ってもあれだが、気持ち悪すぎる......
「よー、黒瀬!」
「うおっ......だから、いちいち脅かすなよ蓮!」
「すまんって!」
すると、またもや後ろから蓮が突進してきた。
もう、毎回これかよ......
「ていうか、お前って今有名なんだぞ!」
「それって、デブからイケメンに変わったこと?」
「そんなちっぽけなことなんかじゃない!」
なんだよ、そんなちっぽけって......
一応、結構努力したんだぞ......
「お前って、あの誰に対しても塩対応【氷の美少女】と完璧美少女かつめっちゃ優しいくて女子からも人気が高い【学園の天使様】の二人を堕としたことで伝説になっているんだぞ!ていうか、それまじ?」
「ないない、ありえない。そんなやせたからって、いきなりモテるわけないだろ......」
ていうか、元いじめ相手だし......
今、惚れさせようとしている真っ最中だし......
そういえば、この学校って、なんでこんなに美少女にあだ名をつけるのが好きなんだろうか......
確か、【氷の美少女】【学園の天使様】【学園のマドンナ】......あと、もう一つあだ名をつけられた人がいた気がするのだが......ま、いっか......
というか、【氷の美少女】ってあの朝霧梨乃だよな......
塩対応=氷って、まじでこの学校の生徒は何言ってるんだ!?
まあ、確かに氷のような髪型しているけれども......
「ほうほう、お前って意外と気づかない系かぁ」
すると、蓮は二ヤりと表情を変えて言った。
「何だよ、気づかない系って......」
「いや、それは自分で確かめたほうが良いぞ!」
「うわぁ、そういうのうぜぇ」
「そういうこと言うなよ!親友だろ!」
「うぅ、し、仕方ないな......」
気づかない系ってなんだよ......
まあ、明らかにマイナス言葉だよな......
まじで、コイツ、本当なら絶縁したいんだけれども......
あ、コイツと絶縁したらついに俺、友達いなくなるじゃん......
いや、悲しっ!
「あ、そういや、気が付いていないかもだけど、ダイキには気を付けろよ......」
ダイキ......その名前をどこかで......
ああ、そうだ、あの金髪チャライケメンか。
確か、彼女と女子友合わせて24人以上いると言われいるモテ男だ。
「ダイキがどうかしたのか?」
「それがさ、アイツ、あの【氷の美少女】と【学園の天使様】を惚れさせようとしていたのだよ。まあ、彼女らは相変わらず塩対応だったけど......そんでもって、アイツ、めっちゃ嫉妬してたぞ!」
「へぇ、アイツが......」
アイツも俺と同じことを考えてたんだな......
まあ、俺と違ってただ惚れさせようとしているのか。
てか、彼女と女子24人いるのに、まだモテようとしてくるなんて。
男の俺でもちょっと引くわ......
「まあ、一応気を付けるよ」
「ん、じゃあな」
「お、おう、また!」
そして、蓮は一目散に廊下を駆け出して体育館へと向かっていった。
相変わらずだな......
「ねぇ、またイケメンとイケメンが話しかけてるよ!」
「うわ、かっこよすぎ」
「まじで、最高!」
「写メとっとこ!」
そして、相変わらず廊下にいる女子たちは俺たちの方を向いてばかりだ。
まじで、そんなにイケメン同士が会話しているところっていいのか?
俺には、全然わからんのだが......
「っ、調子乗ってやがってっ......」
「ん......?」
廊下から誰かの声が聞こえた。
調、子、乗る......?いや、空耳だよな......
そして、俺は教室へと戻った。
~~~~~~~~~~
「ただいまー」
「おっかえり!黒瀬!」
「ん?どうした珠奈?そんなでかい声を上げて」
家に帰ると、また目の前に妹の珠奈がいた。
あ、あれ......なんか、いつもと少し変だな......
なんか、めちゃくちゃ可愛く感じる。
「髪に注目!」
「ん?髪......あ、ツインテールになってる......」
「正解!どう、ご感想は?」
「めっちゃあってるよ。最初見たとき、ガチで可愛いと感じた」
「っ......」
俺は、ここで嘘をついても意味がないから本当のことを言った。
すると、珠奈が久々に顔を真っ赤に染めた。
「あ、ありがとう......」
「おいおい、どうした?そんなにかしこまって......もしかして病気か?」
「も、もう、乙女心のわからない気づかない系男子が!もう知らない!」
そういうと、珠奈は自分の部屋へと駆け出してしまった。
「お、乙女心って......」
お、乙女心って何?
ていうか、気づかない系男子ってマジで何なの?
珠奈にも言われるってことは、俺、もしかして何か変なのか!?
ま、まったくわからない......
「はあ、本当に何なんだよ......」
そんなことを吐きながら、俺も自分の部屋へと向かった。
まだ、母さんも帰ってみたいだし......
「ふぅ、相変わらずジムみたいだな......」
このトレーニングマシン、それにこの漫画の量......
なんか、見惚れてくるわぁ......
ずっと見ていられる!
_____ピコンッ!
「ん.....?」
すると、スマホに通知が届いていた。
多分、メールからだろう......
朝霧:窓を開けてくれない?
「窓.....」
窓を開けて何が起こるんだ......?ここ、二階だけれども.......
まあ、一応開けてみるか......
そして、俺はカーテンをめくって窓を開けた。
「うおっ、朝霧、近......」
「___わ、って、いきなり大きな声上げないでよ......」
「ご、ごめん......]
そういえば、朝霧の家って隣だった......
ていうか、窓ちかすぎだろ......
手を伸ばせば、お互いの窓には届くレベルだぞ......
どういう構図だよ......
ていうか、本当に朝霧は可愛いな。
この綺麗に輝いている目、それにこの氷のようにさらさらでツヤツヤな長い銀髪......
って、何見惚れてるんだか......
「____わ、私もこんな近いとは思ってもなかった、ごめん......」
「いや、こちらこそ.......」
うぅ、何喋ればいいのかな......
このまま気まずくなるのもあれだしな......
「そういえば、朝霧さんってさ、なんでみんなから【氷の美少女】とか言われてるんだ?」
「____わ、私もわからない。勝手に、みんながつけてきたんだよ......」
「確かに少し塩対応だけど、結構優しいし、別に氷とかじゃないよな?」
「____し、塩対応は余計......あと、別に優しいのは黒瀬君だけだし......」
「ん?今、なんか言ったか?」
「____うっ、本当に黒瀬君って気づかない系男子だね......」
「えっ......」
また、気づかない系男子......
まじで、それって何なんだよ......
俺って、まさか気づかないほどの何かをしたのか?
それとも、実はめちゃくちゃ嫌われている的な?
「____と、とりあえず、また、明日......」
「あ、ああ、また明日」
そして、俺は窓を閉め一人、ベッドに寝っ転がった。
「本当に女子って謎だな......」
俺は、一人、そうつぶやいた。
よろしければ、
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