第八話 イケメンは席替えをする
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「____よっしゃああ、席替えだぁぁぁ!」
「こら、あまりはしゃいではいけませんよ!」
クラスの男子たちは、猿のような雄叫びを上げた。
ちなみに、女子のほとんどもほのかに笑っている。
「席替えねぇ......」
席替え、それは一か月に一回に毎回開催される青春イベントだ。
なぜなら、隣の人が必ず女子になるから話しかけられるチャンスを作れるのだ。
しかも、もしかしたら【学園の天使様】と隣になれるかもしれない。
だから、これは男子にとって最高のイベントなのだ!
あ、でも、ちなみに俺は昔まで青春イベントなんかではなく、処刑イベントだと思っていた。
どうしてかというと、俺が隣になった女子は、いつも『うわあ、外れだわ』『ちょっと、席交換してくんな?』と意味が分からない発言をしてくるやつがいた。しかも、わざと俺に聞こえる風に......
しかも、男子なんかは『うわぁ、かわいそう』『まじで、隣の女子残念だわw』と必ず言ってくる。
いや、俺のほうがかわいそうなのだが......
そして、今日という今日もある意味、処刑イベントみたいなもんだ。
なぜなら、一か月前までは俺を腫れもの扱いしていた女子たちが俺を今となっては、めっちゃチラ見してくるから......
どうせ、『あの人と隣になりた~い』『イケメンしかかたん』とか言ってんだろうな......
「やった、席替えだ~!」
「私、絶対あのイケメンと隣になりた~い!」
「やっぱ、イケメンでしょ!」
「えぇ、折角近かったのにもう席替え~!?」
ほら見ろ......俺のこと、指さしてなんか言ってるぞ。
ていうか全部、聞こえてるんだよ!もう、今更なんなんだよ!ちょっと前までは、俺のことどう思ってたのでしょうかね!
本当に、イケメンって得なことばっかりだよな......まあ、俺が言えた話じゃないか。
これじゃあ、いつか、クラスの男子からいじめにあいそうで怖いな......
「ねぇ、黒瀬君はどこに行きたいの?」
「えっ......」
すると、隣にいた女子から話しかけられた。
「まあ、今の席は結構後ろの方だから、今回も端っこの席が良いかな」
「わかる!私もだよ~」
「は、ははっ.....そうダネ~(棒)」
もう、なんかこういうの増えたな。
女子に話しかけられるのはもちろん最高だけれども、なんかムカつく。
はあ、イケメンとデブだけでこんなにも扱いが違うのかよ......
「よし、じゃあ後ろからくじを引いてね!」
すると、男子たちは大群の列を作りくじが入っている箱へと近づいた。
後ろというと、俺も結構早めに引くことになるな......
「よろしくお願いしまーす」
「神様ー、どうか天使様と一緒にしてくださーい」
「うおおおおおお」
これがある意味運命を決める戦いでもあるため、男子たちは本気で戦っている。
いや、気合が入りすぎだろ......
いくら女子と隣になくてもこれじゃあ逆効果だぞ......
しかも、みんなが思うほど【学園の天使様】は優しくないんだがな......
「俺、8番だ!」
「う、天使様と隣じゃない.....終わった......」
「くそ、前の席かよ......」
そして、順々に番号が発表され行く。
男子の絶望していく姿......喜ぶ女子の姿......
ここは、動物園かよ......
「じゃあ、黒瀬君の番よ!」
「よ、よし......」
___ガサ、ガサ、ガサ......
妙に緊張してきた......
どれを選ぼうかな......まあ、見えなくて選べないけど。
「3、37番」
「あら、そこは一番後ろの席ね」
「わかりました」
ふぅ、何とか窓側の一番端っこの席を引けた。
今日は、なんか運が付いているぞ!
よし、隣は誰なんだろうかな......
そう考えていると、ふと天使様である楓音と女子が会話しているのをつい聞いてしまった。
「私は12番だった。よかった、結構後ろの方だ!そうだ、楓音はどこだった?」
「今引くところです......あ、36番ですね」
「へぇ、いいじゃん!結構、窓側だよ!」
「はい、よかったです。今日は、なんだか運が付いているみたいですね」
えっ.......今、なんて言った......?
36って言ったよね?う、噓でしょ......
「ま、まじかよ......」
お、俺の運はどこに行ってしまったんだぁぁ!?
「あ、そういえば黒瀬君は何番?」
「へ、俺?」
すると、さっき楓音と会話していた女子がこちらに向かって席を訪ねてきた。
これは、正直に話すとするか......
「3、37番だよ......」
「37って、あ、楓音?」
すると、その女子は楓音を呼び掛けてきた。
おい、そこの女子!なんで、いちいち呼びかけるんだよ!
「ん?どうかしましたか?」
「黒瀬君、37だって!隣だね!」
そして、女子は楓音に俺の番号を言ってきた。
ああ、本当に余計なことをしてくれるな!
これって、挨拶するべきだよなぁ......
「よ、よろしく......」
「よろしくお願いします!黒瀬君!」
すると、ニッコリと笑って挨拶し返してくれた。
本日二回目の挨拶......一応、コイツも俺をいじめてた一人なんだよな......
~~~~~~~~~~
番号発表が終わると、さっきの盛り上がりが途端に静かになった。
そして、みんなが席を移動していく。
「ねぇ、そういえば黒瀬君ってだいぶやせたよね?」
「ま、まあな......」
「きっかけとかはあったりするの?」
「まあ、一応な......」
きっかけは、お前だよ.......
「きっかけは、おまじゃなくて筋トレにはまりだしたからかな......」
「ほうほう、いわゆる、細マッチョっていうやつですか!」
「は、はい......」
「しかも、勉強もできるしスポーツもできるなんて、完璧イケメンだね」
「あ、ありがとう......」
いや、お前に言われても......
ていうか、なんか思ったほど気まずくはならないな......
天使様は、なぜかいきなり話しかけてくるし......
「うぉ、天使様とイケメンがしゃべってる!?」
「さ、先を越されたー」
「ていうか、天使様と男子がしゃべったことほとんど見たことないよ!?」
「え、まさか天使様、堕ちた!?ついにイケメンに!?」
「そういえば、さっき、【氷の美少女】と会話しているとこも見たよ!」
「ま、まじか......」
本当に、最近俺の話題でコソコソ話してくる人本当に増えたな!
まあ、前もある意味話題になったが......
別に、天使様も氷の美少女も堕ちてないだろ......
それどころか、嫌われるにきまってる......
____チラ、チラ、チラ......
そして、なぜか楓音は、俺をずっと見てくるのだが!?
なんか、俺不味いことした?
いやいや、こういう時こそ冷静になれ俺......
よし、かますか!
「それにしても、こんな美少女と隣になれるなんて光栄だよ!」
これは、自分で考えた自作名言だぁ!
これについては、丸々一日かけて考え込んだ。
ふっふっふ、これはさすがに決まっただろ......
「・・・・・・」
あ、あれ......
反応がない.......
お、おかしいな......
「えっと、あの、楓音さん?」
「......あ、黒瀬君、ど、どうかした?」
「い、いや、なんでもない......」
こ、コイツ......
俺の名言に振り向かない......
や、やるな......【学園の天使様】
♢♦♢
【学園の天使様】の視点......
「黒瀬君、37だって!隣だね!」
「よ、よろしく......」
え、私、黒瀬君と隣!?
や、やった!!やっと、待望の黒瀬君と隣同士だ!
う、嬉しすぎる......
「よろしくお願いします!黒瀬君!」
私は、最大限まで嬉しさを抑えたけれど、ニッコリとした表情はやめられなかった。
黒瀬君と隣......
な、何か会話しなくては!
「ねぇ、そういえば黒瀬君ってだいぶやせたよね?」
「ま、まあな......」
あ、あれ......
なんか、黒瀬、目を合わせてくれないんだけれども?
もしかして、あのいじめ疑惑がまだ気になっているのかな......
い、いや、それはないよね......
だって、ただのサポート?みたいな感じだったし......
よし、
「きっかけとかはあったりするの?」
「まあ、一応な.....」
「きっかけは、おま、じゃなくて筋トレにはまりだしたからかな......」
ん?今、お前って言ってなかった?いや、空耳か......
なんだ、ただの筋トレにはまっただけか......
す、すごいじゃん!それで、こんなに腹筋割れる!?
や、やばい、興奮してきた!
「しかも、勉強もできるしスポーツもできるなんて、完璧イケメンだね」
あ、つい、完璧イケメンって言っちゃった.....
「あ、ありがとう......」
あ、ありがとう?
やばいやばい、お礼まで言ってくれた!?
う、嬉しすぎる......
_____ギュウウウ......
や、やばい、興奮しすぎだぁ。ひょ、表情とか出てないよね!?
まさか、変人扱いされてないかな?
____チラ、チラ、チラ......
よし、大丈夫みたい......
でも、なんか黒瀬君から話しかけてくれないなぁ。
やっぱり、避けられているのかな?
「それにしても、こんな美少女と隣になれるなんて光栄だよ!」
「・・・・・・」
っ、え、な、ね、はま、い、今なんて言った!?
美少女!?わ、私なんかが!?
それに、光栄って......
やばいやばい、なんかめちゃくちゃ嬉しい......
今、絶対変な顔しているよね......
お、抑えないと......
____こうして、彼女はその後一時間、無言を貫いたのである。
どうか、俺にチャンスを!
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よろしくお願いしまーす!