番外編6:これから語られる御伽噺・そのよん
「どうでしょう?これが貴方達の希望する形だと思うんですが?」
精米された米がたっぷり入った袋を青年達の前にドンッと置いて見せる。ちゃんと粒状でキラキラと輝くそれを各々掬って見て、揃って目を丸くした。
「え、あ、嘘だろ、ちゃんと米だ」
「それに見ろよ、割れてる米が殆どねぇぞ!」
「ぬかも全然付いてねぇ・・・マジか」
俺と大して変わらなそうな年齢なのに見るところが分かってるのはさすが米農家さん。
そうそう、割れやすい米をいかに割らずに削って糠を落とすかでめちゃくちゃ試行錯誤を繰り返したんだよな。ガリオの親方に挽き型の試作品を何枚作ってもらったことか・・・あの時は本当にお世話になりました!
「あ、ちなみに削ったぬかはここに溜まってますから。糠床にどうぞ」
俺はそう言って装置の底の一部をパコッと外す。箱型になっていたそこには削りたてのふわふわな糠がたんまり入っていた。
「ぬ、糠床ですと!?」
「はい、頂いた朝食に漬物がありましたよね。あれは糠漬けかと思ったんですが違いましたか?」
「いえ、そうなのですが・・・田舎の郷土料理ですじゃ、まさかその材料をご存知とは・・・」
「あぁ、言ったじゃないですか。あちこちから穀物と粉を手に入れて調べたって。何にどう使うかも調べて作らないと道具として活躍出来ませんからね」
「なんと・・・」
おかげでこの世界に和食があるってしれて当時大喜びしたなぁ。たまに輸入してもらってお握り作って食ったっけ。
母さんが歴史家あるあるで良く他国の色んな食べ物を輸入してたらしいから離宮のみんなも特に拒否反応なく作ったり食べたりしてくれて。でもやっぱり本場の味はいいね!今日の朝の味噌汁とかこっそり泣きそうだったもんな。
「・・・す」
「酢?」
「「「すみませんでした!!!!!!」」」
和食感動を思い返してたら勢いよく頭下げられた。いきなり何事?
「魔道具なんて魔法の足元にも及ばねぇって、勝手に決めつけてた!」
「こんな綺麗な精米、おれ初めて見たよ!」
「本当に!魔道具ってすげぇんだな!!」
魔道具の偏見が無くなった上に良さに気づいてもらえたか。良かった良かった。
魔法だとどうしたって出来にバラつきが出来るからね。それをどんな時も誰が使っても一定の力で均一に挽けるのは魔道具の利点だよな。
「分かってもらえて良かった。ちなみに粉々にしちゃった米はどこに?」
「へ?あぁ、それなら小屋の隅にまとめて置いてあるよ」
「粒が大きいから団子にも出来なくてどうしたもんかって・・・」
「細かい粉にしたいなら型はこれね。それでもう一回挽き直せば粉末状になると思うんで試してみてください。残りの挽き型については今から説明しますが、普段使わないやつは忘れちゃうでしょうからあとで挽き型に何用か分かるように印をつけますね」
「「「ありがとうございます!!!」」」
すっかり打ち解けて何なら魔道具にハマったらしい青年達は残りの説明も熱心に聞いてくれた。更に村長さんに預けるつもりだった他の魔道具の説明書を我先に読ませろと奪い合い(破れるからやめてくれ)、家にある魔道具を早速使ってくると走って帰って行った。
「本当にうちの若い衆が申し訳ありませんですじゃ」
「いえいえ、急に魔法が思うように使えなくなった上に使い慣れない道具を渡されてたんです。仕方ないですよ」
「ですが・・・」
「それに本来なら魔道具を輸出する際に説明と整備を兼ねた技師を一緒に派遣すべきなんです。それを人件費ケチって派遣しなかった前王が悪い」
特に大型の魔道具なんて扱いが難しい物が多いんだからキチンとすべきなのにあのクソ親父は本当に・・・。
「オルステッド様、今宜しいでしょうか?」
「うん、なに?」
「エドモンド国王陛下からの伝達魔法が届きました。1週間以内に技師の追加派遣が出来るよう調整すると。それからご提案されていた調査の許可をユグラシア国王陛下から頂けたとのことです」
「お、さっすが叔父上!仕事が早い!」
「では調査内容を影の者達に送らねばですわね」
「あぁ、リディよろしく」
「お任せください」
魔道具問題はこれでどうにか片付いた。
後は魔法力低下の調査だ!
そんなこんなで1週間。
叔父上から無事に追加の技師が派遣されると連絡が届き、更にユグラシア各所からの調査報告が続々と届いた。
「これがここで・・・それがこっちで、」
『テッド、それはこっちだよ』
「あ、本当だ!ありがとうジーク』
「テッド様、西側は全て書き込めましたわ」
「東側と南側も完了です」
「おぁ〜ッあとは俺だけ〜ッ!」
『小国とは言え、こうやって書き出すと大変だね』
『あぁ、だがこれで僕たちの考えが正しいかどうかが証明されるし、そうじゃないにしても何かしらの法則性は見えてくるはずだ』
宿として借りている役場の1番広い会議室。そこにあるデカい机にこれまたデカい地図を広げ、情報を書き込んで行く。
「よし!終わった!!」
「お疲れ様ですテッド様」
『こう書き出すと圧巻だね』
「はい、オルステッド様考案の円グラフがまた見やすくて良いですね」
「さて、どう言う結果が出たかな・・・」
俺達が影さん達に頼んで調べてもらったのは各町での伝達魔法使いと魔法属性の数だ。
伝達魔法については使える人に以前は何文字送れて、今はどこまで減ったのかを詳細に聞き出して記録。それをレベルに直して平均何レベル減ったかを各町毎に割り出した。
属性も複数使えていたのに使えなくなったと言う人の数を集計してもらい、各町の人口でどれくらいの割合でいるかを調べてもらった。
そうしてそれを書き込んだのがこの地図なのだが、今いる村がやはり1番レベルの減りも割合も大きく、近隣にある村や町になると似たり寄ったり。だがこの村から離れれば離れるほど魔法力低下はあまり見られなくなる傾向にあった。その事からもやはりこの近辺に何か原因があると見るべきなんだろう。
ただ、村から離れた中心部の王都付近でもこの村並みに減っている所もあればそうでない所もあったりして一見すると中心部だけ法則性が見えない。
「ここに調べてもらったばかりの正解な人口を書き加えると!」
『あぁ、僕たちの考えは間違っていなかった』
人口を書き込んで分かる。人口が多い場所ほど魔法力低下が激しい。王都や中心部の町の低下はこれが原因だと見ていい。それはつまり
『ユグラシアは空気中の魔力濃度が高い国、だから皆自身のレベル以上の魔法が使えていた』
「そして今、何らかの原因で魔力濃度が低下していっている」
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