番外編6:これから語られる御伽噺・そのさん
「おぉぉぉ・・・・」
「まぁ・・・」
「これはこれは」
次の日、広場に集められた魔道具の数に俺たちは目を丸くした。
農耕具がメインだと思っていたが、家庭用の魔道具もかなり多い。俺たちの国ではごく普通に、当たり前にある物だけど、この国の人にとっては目新しいものだ。それを一からこれだけの数を買い集めて国民に配るとは・・・。
1番最初に魔法力の低下が見られた村とはいえ、ユグラシア国王の国民への愛が感じられる--と同時に全部最新式だから言われるままに買っちゃったんだろうなぁというのも透けて見えてしまった。
「全て最新式ですね。物によっては複雑で使いづらい物もあったのでは?事故などはありませんでしたか?」
「あ、えぇ、事故などはうちの村ではありませんですじゃ・・・使い方が分からぬものは・・・その・・・」
目が泳いで口籠るカンカさんに、苦笑いを浮かべる集まった村民達。
あ、これ放置してたな。
でもまぁそうだよな。使い方が分からん物なんて怖くて触れないってもんだ。いくつか新品のままの物もあるし、こいつらは特に気をつけて説明した方が良さそうだ。
「分からぬまま適当に動かす方が良くないですから懸命な判断ですよ。実際今回の説明を聞いても難しいと感じたらすぐに教えてください。この状態での返品であれば受け付けられますし、皆さんに合った魔道具を注文出来るように俺から紹介状を書きますから」
「なんと!!本当にありがたいことで・・・感謝申し上げますじゃ」
「いえいえ、俺はその為に来てますから。ところで魔道具はこちらで全部ですか?」
「いえ、もう一台粉挽きの物がございますじゃ。大型故、こちらには運べず・・・」
「設置型の物ですね。下手に動かすのは危険ですからそれはそのままで、他の魔道具の説明が終わり次第向かいましょう。ただ数が多いのでもしかしたら今日中には難しいかもしれません。待って下さってる方にそう伝えてもらえますか?」
「承知しました」
カンカさんはそう言って昨日と同じく伝達魔法を使える人に声をかけていた。
よし、これで俺たちの準備も終われば説明会開始だ。
「アリトさん、俺がする説明を紙に書き写してください、あとで必要数刷って配りますから。原本は〜、まとめてカンカさんに渡しておいたら良いかな。リディは俺が専門用語で話しちゃってる時のフォローをお願い」
「了解致しました」
「お任せくださいませ」
「では、これより魔道具の説明会を始めます」
そうして始まった魔道具の説明会は大盛況だった。魔道具の数が多いし人も多いしだからどうなるかと心配したけど、みんな生活がかかってるからかすごく真剣に聞いてくれた。自分からメモを取ってる人もたくさんいたし、質問も代表者が聞いてくれてあれもこれもとなる事はなかった。
きっとカンカさんが先に話しておいてくれたんだろう。この人、出来るな。
そんな感じで思ったよりもスムーズに終わっていき、広場での説明があと一つとなった頃、
「おい!いつになったら説明に来るんだよ!?」
ガタイの良い青年が数人、広場に怒鳴り込んできた。
「不良品寄越した上に説明にもこねぇってのはどう言う事だ!」
「全くだぜ、それで金は寄越せってか!悪どいことしやがってよ!!」
「知ってるんだぞ!他より割高にして道具を売ってるって!!」
「クワンドゥルスは前王も今の王も金に汚ねぇんだな!!」
ギャンギャン喚いてるけど、多分粉挽きの魔道具の所で待ってた人たち、かな。俺最初に大分待つかもしくは今日中が難しいかもって伝えたよね?カンカさんが俺の目の前で伝達魔法送ってたし。
「何を言っておるんじゃ!お前たちの所は今日中は難しいかもしれぬと、伝達魔法を送ったであろうが!!」
「はぁっ?!知らねぇよそんなん!!」
「何にも届いちゃいねぇぞ!」
うーん、これはもしや。
伝達魔法を受け取れなかった、か?
風属性魔法である伝達魔法は送る側のレベルと受け取る側のレベルが同等で無くてはならない。正確には送る側の文字数が受け取れる側の文字数を超えると全てを受け取れない、と言えばいいのか。とにかく受け取る側のレベルが高い方が確実だと言うことだ。
でも彼らは全く受け取れていない。恐らく今までは受け取れていたのに、だ。
村長さんや村人はそれに気付いたようで、「まさかそこまで魔法力が?」と不安そうにしながらざわついている。
「お待たせして申し訳ない。今説明している魔道具で広場の物は最後なのですぐそちらに向かいます。その時に不良品とはどう言う事なのか教えてください。あと、」
これは、益々俺たちが考えた事が信憑性を増してきたな。でも今はそれよりも誤解を解かねば。
「俺たちの派遣は我がクワンドゥルス王国の現国王、エドモンド国王陛下の善意で行われています。村には勿論、ユグラシア国に対して金銭の要求は一切していません」
叔父上をあのクソ親父と一緒にするのはマジ許さん。これ以上叔父上を悪く言うなら容赦しねぇぞ?
「ちっ!ならさっさと来いよな!!」
俺が笑顔ながらも感情のままにちょびっとだけ威圧をかけたら、青年達は顔色を悪くして悪態を吐きながら持ち場に逃げて行った。
はい、そんな訳だからアリトさん暗器しまって。兄上もジークも追っかけて呪わないようにね。リディがいるけど悪霊化が爆速で早まるよ。
そんな感じで心の中から呼びかければみんな引き下がってくれた。良かった良かった。
「あれ?これ俺が改良した型のやつだ」
そんなこんなで粉挽き小屋まで来てびっくり。
なんと設置されていた魔道具は俺が作った物だった。
「まぁ、そうなのですか?」
「うん、6年前に宰相にお願いされて輸出用にね。ペスターさんと共同名義だけど。しかしなんで他は最新式ばかりなのにこれだけ型が古いのを?」
「テメェがこれ作ったのか!?」
「こいつの所為でうちの米が全部粉々になんだよ!」
「粉々がダメ?もしかして精米しようと?」
「その為の道具なんだろうが!!」
「あー、なるほど。そう言うことか、確かにそれなら俺のやつだわ」
俺は周りで騒ぐ青年達を無視して粉挽きの魔道具に近付く。そして筒状の装置についたボタンをポチっとな。
すると
「これ、挽き型が交換出来る魔道具なんですよ」
カション、と小気味良い音を立ててCDのような形の挽き型が出て来た。
「これ本当苦労したんだよな色んな国に輸出する事になると思うって宰相が無理難題言うからその国や育ててる穀物の品種によって挽き方が違うだろうと思ってあちこちから穀物と粉を両方手に入れてそれぞれにあった挽き型を作って簡単に取り替えれるようにして・・・あ、これ他の挽き型は?部品ありませんでした?」
「こ、これか?」
「あぁそれですそれです。ほら、全部で8パターン、穀物と挽きたい粉の形状に合わせて挽き型を変えられるようにしたんですよ。精米用なら、これですね。これを入れ替えてっと。それから袋をかけて、精米されてない米を入れて、よし、スイッチオン!」
言いながら勝手に準備して起動スイッチを押せば、フォンっと筒の中と挽き型が回転して米を精米していく。重さを魔石に記録してあるから袋がいっぱいになる手前で魔道具は自動で停止。
中を見れば綺麗に精米されたツヤッツヤの米が出来上がっているのだった。
うん、やっぱり円形様は素晴らしいね!
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