番外編6:これから語られる御伽噺・そのに
「おぉ皆様!このような遠い異国の辺鄙な村まで足を運んでくださり、誠に、誠にありがとうございますじゃ」
村の住民総出で出迎えてくれたんじゃ、と言わんばかりの人数に迎えられ、俺達は村の広場に降り立つ。
ユグラシアの人はみんな紺色髪に紺色の目。紺色が黒に近い色なのもあって、なんだか懐かしい感じだ。しかも服は前世で言う着物に近い形で、家も瓦屋根の平屋が多いから余計にそう思っちゃうのかも。
そんな風に辺りを見回していたら、たくさんの人の中から1人のおじいさんが歩み出てきて俺達に頭を下げてきた。
「この村の村長を務めさせていただいておるカンカですじゃ。皆様ようこそおいでくださいました」
「歓迎していただきありがとうございますカンカ殿。私はクワンドゥルス王国から魔道具の指導と魔法力低下の調査で派遣されました、オルステッドです。こちらは妻のリディアナ、そして従者のアリトです」
「ユグラシアの都から遠く離れた我が村まで魔道具指導に来ていただけるとは、誠に感謝申し上げますじゃ。しかも既に道すがらご教授頂いたそうで!ほんになんとお礼を申し上げれば良いか・・・」
「そんな、その為に来ているんだ、当然のことをしたまでです。皆さんも頭をあげてください!」
涙を浮かべて深々と頭を下げるカンカさんに習うように他の村人達も次々に頭を下げる。
いやいや!こういうのは慣れないから勘弁して欲しい!
あ、ちなみに昔だったらこんな大勢に囲まれてたら人見知りと人酔いまっしぐらだったけど、ドラゴンになってからはそれが緩和しました!やったね!!
「村長様、何故わたくし達が既に魔道具を指導したとご存じですの?」
「伝達魔法ですじゃ。魔法力が落ちておりますが、全く使えなくなった訳ではございませぬので」
「なるほど」
「・・・ですが、これもいつまで保つかどうか・・・」
「もしや、魔法力の低下は今も続いて?」
「はい、その通りですじゃ。これまでの伝達魔法であれば巻物レベルの文章量だろうと簡単に送れておったのですじゃ。それが今では手紙一枚、いや、人によってはその半分も送れぬ次第で・・・」
「それはまた・・・」
「想像以上に深刻だね」
がっくりと項垂れるカンカさん。村人達もこんな状況に不安を隠せないようで縋るように俺たちを見ている。
いや、調査はするけど解決出来るかどうかは保証出来ないからね!なんだかんだで他国だし、お願いだからそこんとこあんまり期待しないで!
「オルステッド様、いかが致しますか」
「とりあえず先ずは魔道具指導だね。村長、明日から早速指導に入りたいんだけど大丈夫でしょうか?」
「勿論ですじゃ!帝様より御触れを頂いてからというもの、皆心待ちにしておりましたのじゃ!呼びかければ今すぐだったとしても集まりましょうぞ」
わぉやる気十分でありがたい!
でも準備もあるからさすがに今すぐは無理かなぁ。何だかんだでもう夕方だしね。
「熱意があって良いことですね。とりあえずそうだな、明日の昼間、この広場に村で使われている魔道具を一台ずつ集めてください。あとそれらを主だって使う者も10名ずつ。お願い出来ますか?」
「お任せください!すぐに呼びかけましょう!」
カンカさんはそう言って広場にいる村人達に声をかけ、数人がここに居ない村人達に向けて一斉に伝達魔法を送っていた。
その後、俺達はカンカさんの案内で村役場の客室に案内された。小さな村だから宿屋なんてものは無く、ここが唯一外から来た客をもてなすのに適した場所なんだそうだ。
素朴ながらも品数の多い食事をカンカさんのご家族と共に頂いて今日は解散。
客室に戻った俺達は早速兄上達にも顕現してもらって話し合い開始した。
『すっごい歓迎ぶりだったね!途中途中でレクチャーした時もすごいお礼言われてたけど、まさか村人総出で出迎えてくれるなんて』
「それだけ深刻な状況ってこったな。実際今日教えてて思ったんだけど、もしかしたら魔道具どころか道具と言うものを殆ど使った事がないんじゃないかな」
『え!?そんなことってある?』
「可能性としては十分に有り得るかと。皆様、村長様のお言葉で何かお気付きになりませんでしたか?」
「村長様の言葉、ですの?」
『あぁ、【伝達魔法であれば巻物レベルの文章量だろうと簡単に送れてた】って言っていたね。そんなのは我が国で言えば風属性がマスターランクレベルの魔術師じゃないと無理だな話だ』
「え、てことはこの国ってマスターランクがゴロゴロいるってこと?怖っ!」
『国民全員がそのレベルの魔法を容易く使えてたっていうなら、確かに道具なんて要らないかもね』
「はい、そしてこうも続けられていました。【今では手紙一枚、人によってはその半分も送れない】と」
「それは我が国で言うところの魔法レベルが40前後と言ったところですわね。成人であれば普通レベルですわ」
「普通か・・・普通・・・・・え、もしかして、そういうことアリトさん?」
俺の気付きにアリトさんがこくりと深く頷く。
ルーカス兄上も合点がいったのか霊体なのにポンと音を出しながら手を叩いた。
『なるほど、そういうことなんだね!それならば調査のやり方も自ずと決まってくるよ。アリト、今すぐ叔父上に連絡するから他の影に知らせてくれないか?内容は僕がまとめよう』
「承知いたしました」
俺達がサクサク話を進めてる隣でリディとジークはポカン顔。2人とも可愛いなおい。
「ジークムンド様、今のどういうことか分かりまして?」
『いや、全然。この3人頭の回転早すぎて着いてくの無理だよ』
なんか自分達は頭悪いみたいに言ってるけど別にリディもジークも普通に頭良いからね?何なら学園時代に記憶科目系で2人に勝てたことないからね俺は!
多分頭の使い方のベクトルが違うだけだと思うんだよな。俺はひらめき系といいますか、完全に理数系だし?そういう意味で全学問を網羅してる母さんとルーカス兄上とマーガレットは超人だよなぁ。
ーーなんてことを考えながら、俺は話し込む兄上とアリトさんを横目に、リディとジークに俺達の予想を話して聞かせるのだった。
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