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番外編6:これから語られる御伽噺・そのいち

今回はやっとこさ主人公オルステッドの旅先での話です。

どうぞお楽しみください!




「ーー・・・馬車の旅なんて久しぶり過ぎてなんかすごい変な感じだ・・・」

「ふふふ、そうですわね。最近はずっとテッド様に飛んでいただいてましたから」

「だってその方が楽だから・・・でも車輪からの振動がまた減った?ガリオの親方さすがだなぁ。アリトさん、あとで車輪見せてもらっても良い?」

「調査後で良ければご存分に」

「やった!!」



 あの『クワンドゥルスの内乱』と呼ばれるようになった出来事から約2年。


 俺とリディアナはルーカス兄上とジークムンド、それから影の皆を連れて諸国をあちこち旅していた。

 本当は新婚旅行のつもりだったから1年くらいで国に戻って新国王となったエドモンド叔父上の手伝いをするつもりだったんだけど、


ーー諸外国をまわってお前達が見聞きした事を私に教えてくれ。


という、叔父上からのお願いで旅を継続することになった。

 まぁドラゴンの姿になって本気で飛べば行き帰りなんて一瞬だからな、何かあったらすぐ戻れるから良いんだけどね。実際ガリオ工房の親方やペスターさんの力を借りたい時とかピュンって飛んで帰ってたりするし。

 ドラゴンの身体超便利!!


 と、まぁそんな感じで悠々自適に旅して過ごしてたんだが、今は叔父上の頼みで同盟国である魔法国家『ユグラシア』に調査にきている。


『それにしても驚いたよ。まさかあのユグラシアから調査を頼まれるとは』

『元々閉鎖的な国だもんね』


 2人が言うように今回来ている『ユグラシア』という国はあまり周辺の国と交易をしていないことで有名だ。

 何故なら魔法が超発展してて、大体の事が魔法で出来ちゃうから。

 作物栽培、交通整備、土木事業、浄水、娯楽施設、その他量産品の製造などなど。魔法で全部パパッと出来ちゃうらしい。

 だから当然のことながら魔道具も必要としていなくて、魔道具の最先端国家である俺たちの故郷『クワンドゥルス』とは一応同盟国ではあるんだけど・・・ってくらい、ほとんど接点がなかったのだ。

 お国柄なのか王族はもちろん国民も穏やかな気質で周りに戦争吹っかけるようなこともないらしく。みんな国内でのんびりと生活しているのだそうだ。


 そんな感じで鎖国、とまではいかないにしても周辺国とはちょっと距離をおいていたユグラシアなんだが。今からちょうど3年前、何故か急に魔道具を積極的に輸入させてくれないだろうか、という交易の申し込みがあった。

 俺達の父親であり、先代国王でもあるマッケンベルはここぞとばかりに高額で取引を持ちかけてユグラシアを金ヅルのように扱おうとしたそうだ。直前で兄上が調整して事なきを得たけど、それでも他の国よりお高めの取引になっていたらしい。

 あーもぉ〜、あの親父はマジで害悪でしかねぇな。


 そんな大変申し訳ありません!な状態だったんだけど、国王が叔父上に代わってすぐ、魔道具を適正価格で買えるように調整したんだという。

 更にそれだけじゃなく、


・急な魔道具普及で国民は混乱していないですか?

・魔道具はメンテナンスなども必要です。なので技術者が必要であれば無償で手配しますよ。


と、今まで迷惑かけていた償いとばかりにユグラシア国王に提案したそうだ。


 もうさすが過ぎです叔父上!親父とはまさに月とスッポン!貴方は本当にあのクソ親父と血の繋がった兄弟なんですか?叔父上がクワンドゥルスの国王になってくれて本当に良かった!


 ・・・なんて、身内の俺らですら感動してしまう相手を思いやる心遣いと対応に、ユグラシア国王はそれはもう感謝感激あめあられだったそうで。

 『貴方なら信頼出来る』と、内密にしていた国の現状を相談してきたのだそうだ。



「ーーしかしまぁ、叔父上も驚いただろうなぁ。相談内容が『魔法力の低下』なんてさ」

『魔法で発展してきたユグラシアからしたら死活問題だろう。叔父上相手とは言え、ユグラシア国王はよく話してきたものだね』

「それなのですが、どうやら元々一部の地域だけで見られていた現象でしたのに、最近では国全体で魔法力の低下が見られているそうなのですわ」

『えぇ!国全体!?』

『それはまた・・・深刻だね。ユグラシア国王からしたら藁にもすがる思いだった訳だ』


 本当にその通りだと思う。

 で、さすがにどうしたものかと考えていた叔父上のところに、ちょうど俺たちがユグラシアの近くにいるよーっていう定期連絡を送ってて。

 叔父上が魔王の身体を持つ俺なら何か分かるんじゃないのか?っていうので頼んできたわけなのです。


『でもこんなの国の一大事でしょう。ユグラシア国王も何かしら調査をしていたんじゃないの?その結果は教えてもらっているの?』

「もちろんジークの言う通り、原因があるはずだってすぐ調べたらしいよ。だけど、なぁんも分からなかったらしくてさ。一応この辺りの地域から魔法力が弱まってきたっていうのは分かったみたいなんだけど・・・」


 馬車の窓から外を覗けば広大な牧草地と畑、それから小さな森や雑木林が点在している。道は適度に整備されていて、たまに見かける住民はみんな農耕用の魔道具を使って勤勉に働いていた。

 でもその働いている人たちは魔道具に慣れていないようで、少し見ただけでも分かるくらいに使い方が下手だった。効率が悪い使い方をしていたり、そもそも使い方がよく分かってなかったりと悪戦苦闘していて・・・。


「調査はもちろんの事、出来れば魔道具の使い方もレクチャーして欲しいとユグラシア国王からも頼まれておりましたが・・・想像以上に深刻ですわね」

『数は足りていても使い手がキチンと理解出来ていなくてはね。せっかくの便利な魔道具も宝の持ち腐れ、効力が落ちている魔法を使った方が早いと言われるだろうな』

『本当危なっかしくてつい何度か止まってその場でレクチャーしちゃったもんね、お疲れ様テッド』

「ありがとう。まぁ魔法だけに頼ってた弊害ってやつだな。アリトさん、村に着いたら村長に頼んで人を集めてもらえる?一人一人にレクチャーしてたら調査する時間取れないだろうから。あと叔父上にもレクチャー用の技術者派遣を急いだ方が良いって伝えて」

「かしこまりました。・・・皆様、ちょうど村が見えて参りましたよ」


 アリトさんに言われて窓から前を見れば、藤のような花をあしらった門が見えた。

 門の前では既に伝わっていたのかたくさんの住民が待ち構えていて、皆一様に笑顔で俺たちを迎えてくれたのだった。



ここまで読んでくださってありがとうございます。

誤字脱字ありましたら、知らせていただけると大変助かります。


もしよかったら、下の、★★★★★の評価を押していただければ今後の励みになりますので、よろしくお願いします。作者をお気に入り登録や感想なども、していただければとても嬉しいです!

何卒よろしくお願いします!!!


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