番外編1:叔父上と元護衛騎士への裏話
お待たせ致しました!
今回から番外編となります。
先ずはエドモンド叔父上とルーカスとジークムンドの元護衛騎士であるベルトのお話です。
どうぞお楽しみください!
これは、ドラゴンに転生してからのちょっとした裏話。
俺は相変わらず魔王であるドラゴンを封印していた地下ダンジョンにいて、膨大に増えた魔力のコントロールを繰り返していた。
そして目覚めてから5日目、ついに
「ど、どう?出来てる?」
『・・・うん!目の色が違うけど、テッドだ、どこからどう見てもテッドだよ!!』
『すごいぞ!!テッドおめでとう!!』
ドラゴンから元の人の姿に変化出来るようになったのだった!!
「まぁ!おめでとうございますテッド様!!お目覚めになってまだ数日ですのに、素晴らしい魔力制御ですわ!」
側で俺やルーカス兄上、ジークムンドの魂の状態を観察していたリディアナも2人と一緒になって喜んでくれる。
あぁもう本当可愛い。
「なんとか俺の葬儀には間に合ったな、よかったぁ」
『そうだね、大聖堂を破壊せずにすみそうで良かったよ』
『それなんだけどさ、葬儀は逆にドラゴンのまま行った方が良いんじゃないの?その方が相手も威圧と恐怖でペロっと白状してくれるかもよ?』
成人しても兄上に比べて凛々しさより愛らしさが際立つ顔のジークが結構黒い事を言う。まぁぶっちゃけその方法も有りっちゃ有りなんだけど、俺はそうする気は初めからなかった。
「ドラゴンのままだと俺だって信じてくれないかもだろ?それでリディ達ガーディア家が王家への反逆目的で魔王を蘇らせた!とか出鱈目言われるのは絶対に避けたい」
ただでさえ今回のことで苦労をかけまくっているんだ。ガーディア家にこれ以上の事を負わせる訳にはいかない。
そう思っていたらリディが俺の腕にぎゅっと抱きついて来た。
「リディ?」
「我が家の事をそこまで気にかけてくださって・・・わたくし感動ですわ」
涙目で微笑むリディに俺も笑ってぎゅーっと抱きしめ返す。
あーめちゃくちゃ久々のリディの抱き心地!!やっぱ人型最高!!
「御前を失礼致します。至急お知らヘァぁあああぁっ!??!!」
なんて、ちょっとイチャイチャしてた所に俺付きの影であるアリトさんが姿を見せた。
変な叫び声と共に号泣しながら。
「え!?アリトさん?!」
「殿下が、殿下が元のお姿にぃいいいぃぃぃっ!」
俺の姿がドラゴンではない事に感動してるみたいだけど。なんか、反応がヤバくない?アリトさんってこんな感情ドバドバ出してくるような人だっけ?
「オルステッド様、魔力制御完遂お見事でございます。あと、同僚が騒いで申し訳ございません。すぐ元に戻しますので」
「あ、エリスさん。あの、戻すってどうやって」
アリトさんと一緒に報告に来ていたのはリディ付きの影であるエリス姐さん。ザ・大人のお姉様って感じの美人でナイスバディなエリスさんはにっこりと綺麗に笑う。
そして今も天に向かって泣きながら祈りを捧げているアリトさんに近づくと、
ーーバキッ!!!!
ゴロゴロゴロゴロどガン!!!!!
『『「「っ!!?!?」」』』
片足を軸に綺麗な円を描いて回し蹴りをした。
その足は見事にアリトさんの背中を強打し、蹴られた彼はボウリングの球のように転がって壁に激突する。
ーーて、いやいやいやいや??!エリスお姐様!?おかしいおかしい何してんですか!?!?
あまりの事に言葉も出ずにみんなであわあわしてしまう。けどそんな俺たちを他所に蹴られたアリトさんはすぐにスクっと立ち上がって
「お騒がせいたしました。皆様方にご報告すべき件がございまして、お時間よろしいでしょうか?」
何事もなかったようにいつもの無表情と態度に戻った。
一瞬の早変わりに何がなんだか分からない。というか今の本当に大丈夫なの?人間ってあんなに転がれるんだって感心しちゃうレベルでゴロゴロ転がってったよ?
でもとりあえず見た感じでは怪我とかなさそうだし・・・良いの、かな?
「うん、俺は大丈夫、何かあった?あとアリトさんこそ大丈夫?」
「全く問題ありませんのでご安心を。ご報告はエドモンド大公閣下の事でございます。王都手前の街にお入りになられたとの情報を入手致しました」
「本日はその街でご宿泊され、明日の午前には王都へご帰還なさるかと思われます」
「え、嘘。叔父上葬儀に間に合うんだ」
叔父上のいる国境沿いの辺境都市から王都までは移動だけで1週間以上かかる。手紙等の知らせは魔法のおかげで数時間以内に届くんだけど、物理的に来るとなると準備や引き継ぎもあって相当時間がかかるのだと、前にルーカス兄上から教えてもらった。
だから俺は叔父上が王都に来るのは早くても2週間後くらいと思っていたんだが。
「あとベルト様もご一緒だそうです。それから実際に移動中のお姿を見た者曰く、大公閣下は私兵全員をお連れしていた、とのことです」
ーー・・・ナンデスト?
「ちょ、待て、待って。・・・叔父上の私兵って・・・あの私兵?」
「はい」
『叔父上とあらゆる戦を共にして生き残った猛者だけで構成されていると有名なあの?』
「はい」
『一騎当千の言葉を体現していると言っても過言ではないとされるあの?』
「はい」
「・・・もしや、王家に戦を仕掛けにいらっしゃる?」
「他の貴族なら護衛でしょうで済むのですが、閣下の私兵となると・・・その可能性は、否定出来ないかと」
苦笑いを浮かべて答えるエリス姐さんに俺は天井を仰いで叫びたくなった。兄上たちもそれぞれ頭抱えたり、遠い目したりしている。きっと心は一つだろう。
叔父上、ベルト・・・何で葬式に出るだけなのに進軍してきてるんですか〜っ!!!!
「ーー・・・・・・アリトさん」
「はい」
「叔父上達が宿泊してる場所、調べて来てくれる?」
「そう仰られると思いましたので既に調査済みです」
アリトさんマジ優秀!!ありがとう!!
そんな報告を受けた日の夜中。
「うわー・・・これはひでぇ」
『ひどいね』
『うん、ひどい』
俺たちはこっそり外に出て叔父上たちが泊まっている街のホテルまで飛んで来た。
さすが叔父上たちが泊まる場所なだけあってその街1番の高級ホテルだ。一つ一つの部屋が広くて、窓の外には綺麗な花の飾られた広いバルコニーまである。
そこに降り立って部屋の中を覗くと、何故かソファーに座ったままとか机に突っ伏した状態とかで寝ている叔父上とベルトが見えた。
更に周りには大量の空瓶が転がっていて・・・。
窓を開けなくても分かる、この部屋絶対酒臭い。しかも喧嘩したのか暴れたのか、調度品がいくつか割れて散乱してる訳で・・・荒れてんなぁ。
ま、それも俺たちへの愛情故だと思えば嬉しいものだ。ホテル側には大変申し訳ないけど。
弁償はもちろんだけど、この件が解決したら何か送ろうっと。
とりあえず防音等々の結界張って、お邪魔しまーす。
俺は他の部屋に泊まっている私兵さんたちにバレないように結界類を張り、部屋の中に入った。
気配をできるだけ消して入ったんだけど、そこはさすが軍人と元護衛。酒で落ちていた筈の2人は俺が部屋に入った瞬間、ピクリと体を震わせて覚醒し始める。
「ーー・・・ぅん?」
「あ、叔父上起きた?こんばんは〜」
「・・・・・・・・・オルス、テッド?」
「はい」
「これは・・・夢、か?」
「いえいえ、現実ですよ?ベルトもばんわ〜」
「え?・・・殿下、え?」
「2人とも飲み過ぎ。体に悪いですよ?」
『そうそう、叔父上も若くないのですから』
「っ!?ルーカス!!?」
『ベルトもお酒苦手なくせに飲み過ぎだよ』
「ジークムンド殿下!?!」
死んだ筈の人間が生きてたり、透けてたり、生きてる筈の人間が透けて魂状態だったら驚くよね〜。いや本当申し訳ない、でもおかげで寝起きなのにバッチリ2人は覚醒してくれたようだ。酒の所為もあって顔色超悪いけどね。
「待ってくれ、理解が追いつかん」
「一体何がどうなっているんです?!」
「リディアナ嬢、これは君の力かい?」
兄上たちの魂を保護・視認出来るようにとついて来ていたリディに叔父上が問いかける。
ま、この状況なら誰だってリディに確認するよな、分かる。
「それも含めてご説明いたしますわ。とりあえず御二方とも、お水をお飲みくださいませ」
問われたリディはニッコリと笑って水を差し出す。それを素直に受け取って飲む2人を見ながら、俺たちはこれまでのことを説明したのだった。
「ーーという訳で今に至るんだけど、何か分からないこととか聞きたいこととかある?」
ある程度の説明を終えて(途中本当に本物の俺たちなのか、特にまだ生きてる筈のジークムンド、っていうのでお互いしか知らない思い出話の暴露大会になった。何度かみんな叫んでた。防音結界三重にしといて良かった)、俺は問う。
2人は揃いも揃って社会現象まで引き起こした有名ロボアニメのこれまた有名な某司令官のポーズを取った状態で推し黙ってた。
やっぱり違う魂が入り込んで乗っ取られたとか信じて貰えないか。でも他に説明しようがないしな、どうしたもんか。
「「ーー・・・ふ、ふふふふふふふふ」」
なーんて考えてたら同じタイミングで笑い出す叔父上とベルト。え、ヤダこわい。
『お、叔父上?』
「よくも、よくも私の可愛い甥っ子たちを・・・もう許さんぞあの×××××兄がっ!!」
「殿下の体を使って悪事など・・・万死に値する」
『え、あの、ベルト?」
あれ、何か今叔父上から聞こえて来たらダメな台詞が聞こえたような。リディの耳を反射的に塞いだけど聞こえてない、よね?
ベルトもいつもの真面目な好青年ってイメージとかけ離れたドス黒い声が聞こえて・・・え、これ、ヤバくね?
「私兵を連れて来て正解だったね、ベルト」
「はい、此度の正確な詳細を吐かせる脅しとして連いてきてもらったのですが、城落としに変更ですね。早速伝えてきます」
「はっはっは、皆喜びそうだ」
『ちょっと叔父上!?』
『ベルトも何言ってるの!?』
「待って待って2人とも落ち着いて!」
「何も心配いりませんよ殿下方、害虫駆除をするだけですから」
「そうとも、安心して私達に任せておきなさい」
『『「その笑顔が逆に安心出来ないから!!?!」』』
暴走する2人を宥め、こちらの作戦を説明して納得してもらうのに骨が折れた、とさ。
END
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