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復活とサイコパスと天使と


 俺の王位継承権が復活してる、だと?


「え、ちょっと待って!?なんでとっくの昔に放棄したもんが復活してんの!?!」

「嘆願書が送られてきたからですわ」

「・・・嘆願書?」

「わたくしもあの日、お父様に伝えられて知ったのですが。なんでもルーカス殿下がお亡くなりになった直後に大量の嘆願書が王城に送られてきていた様でして。それによって復活しているのですわ」


 いやいや、サラッと言ってるけどあの親父に復活させなきゃって思わせるほどの量って事だろ?どんだけきたんだよ。


「正確な数はお父様に確認してみないと分かりませんの。ですが、我が国の子爵家以下の貴族と商会はほぼ全部、他国の王侯貴族からの嘆願書も2桁を軽く超えたと聞いておりますわ」

「えぇぇぇぇ・・ちょ、なんで?そんな量が届くほどの事、俺なにかしたっけ?兄上に魔道具あげて、リディの家の力借りて商会立てたくらいじゃない?」


 その商会も俺のわがままと趣味を叶えてもらいたいが為のもので、経理とか全部ガーディア家に投げてたし。侯爵ごめんなさい。


「あのテッド様?その魔道具と商会が、どれほどこの国を潤しているかご存じないのですか?」

「え?」

「本当に貴方様は・・・まぁそういうちょっと抜けてるところも素敵なのですが」

「リディ?」

「あ、コホン。よろしゅうございますか?先ずテッド様が幼少期に開発された玩具リーバイスとボーリグは貴族から庶民まで大人気の商品で」


 ルーカス兄上達と遊ぶ為に作ったオセロとボウリングね。

 オセロなんて作り方簡単で子どもの時の俺でも作れたもんな、円形様万歳。


「それからフラワーファイヤーのおかげでお祭りがより華やかになりまして、他国からの観光客がここ数年増加し続けておりますわ」


 兄上とガーディア侯爵が食いついたやつね。あれは職人の技と円形のコラボレーションだよな!円形様最高!!


「そして1番はなんと言っても馬車の衝撃緩和装置と脱水洗濯槽!これらがない貴族の家なんて今どこにもありませんのよ?」


 だってベアリングとサスペンションがない馬車なんてケツが死んじゃうもん!!

 あ、そういえば脱水機はペスターさんとの共同名義にさせられたけど良かったのかな?ぶっちゃけペスターさん個人で良かったと思うんだけど。

 しかしやっぱり円形って最強すぎだよね!うんうん。


「他にもまだまだありますけれど、今言ったものだけでも国家予算並みに売れておりますわ。テッド様は我が国きっての天才発明家でいらっしゃるのです。しかもどれも庶民にも届くようにと低コストに改良、更に職人達への休暇まで配慮されて・・・。実際嘆願として効力があるのは貴族と王城御用達の商会だけですが、国民からも相当な数の嘆願書が届いていたと聞いておりますわ」

「・・・全然知らなかった」

「国王陛下が隠されていたのですもの、仕方ありませんわ。けれど他国からの嘆願書もありましたから無視は出来ませんので、テッド様の王位継承権は復活しております。そして王太子は同じ歳で複数候補がいる場合は投票で決めると国法で決まっておりますの。ジーク殿下が今から頑張ったところでテッド様の人気を越えることは不可能なのですわ」


 それで考えた策が暗殺って、野蛮すぎだろう。

 大体一言相談してくれてたらもう一度放棄するなりなんなりしたのに・・・。


「ていうかジークってこんな事考える奴じゃないよな?」


 ジークもルーカス兄上と同じ様にクソ親父の俺に対する態度には難色を示してて、普通に仲良くしてくれていた。

 俺はだからこそ争いたくなくて早々に王位継承権を放棄したんだ。


「そこなのですわテッド様、わたくしも信じられなくて。ですが影が暗殺を企てる陛下とジークムンド殿下の会話を記録しておりますの」


 しっかり証拠まであるのか。でもやっぱりこの行動はらしくない。本当にジークなのだろうか?


 そんな風に考えていたらリディが「ただ・・・」と言いながら思い返すように俺を見上げてきた。


「わたくし自身の話なのですが、ジークムンド殿下の近くにいると何とも言えない気持ち悪さを感じておりましたの。それに合わせてここ最近ジークムンド殿下は異様に陽気で女性方を侍らせておりまして・・・」

「ジークが女の子を侍らす!?なにそれ全然イメージが湧かないんだけど?!」

「はい、ですから最初はルーカス王太子殿下の死のショックからと思っておりましたわ。けれどそれにしては節度が無さすぎですし、同じ様に婚約者のマーガレット様や他何人かのご令嬢がいつもと様子が違う様に見えましたの」


 兄上が亡くなってからずっと工房に引きこもってたからなぁ。必然的にジークともまともに会って話をしていないからリディの言う変化に気づかなかった。

 それにしてもなんだろう、すごく嫌な予感がする。


「なので不敬とは思いましたがジークムンド殿下に影をつけたのですわ。そうしましたら・・・殿下が我が国で禁止されております『誘惑の薬』を入手している事が判明しましたの」


 誘惑の薬!?確かゲームでハーレムEDを迎えるには絶対必要なアイテムだったはずだ。


「・・・薬が令嬢達に使われてたって事?誰に使われたか分かる?」

「はい、マーガレット様を筆頭に、神官長のご息女ヴァイオレット様、テッド様の商会とライバル関係にある大商会のご息女チェリー様、学園教師のリリィ女史、理事長のお孫様のライラック様です」


 はい、アウトー!

 全員ゲームに出てくる攻略対象のヒロイン達です!


 これはつまり、乗っ取られたんだ。ジークの体が別の、『転生者』の魂に。

 しかも難易度MAXのハーレムEDを狙ってるって事は俺の友達並みにゲームをやり込んだガチ勢。更に問題解決方法が全部殺人というサイコパス野郎ときた!


 本当、最低だよ。

 よくも・・・よくも俺の兄の体で好き勝手しやがって!!


「テッド様?」


 急に喉を鳴らして唸り出した俺にリディは心配そうに声をかけてくれる。こんなドラゴンの姿をしているのに全く怖がった様子がないのが素直に嬉しい。

 俺のためにたくさん苦労をかけてしまって・・・。今すごく抱きしめたいのにそれが出来ないこの体が恨めしい。


「テッド様どうされましたの?」

「いや、リディに触れたいのにこの体じゃ難しいなって。助けてもらったのにごめんな、こんなわがまま言って・・・」

「まぁ!わがままだなんて!!」


 そう言ってリディはしょんぼりと垂れ下がっていた俺の頭に手を伸ばしてきた。尖った鱗がビッシリで硬いし痛いし冷たいだろうに何の躊躇もない。


「テッド様が触れられないならわたくしが触ればよろしいのですわ。・・・あんな事があったのですもの、わたくし片時もテッド様のお傍を離れませんことよ」


 鼻先に頬を当ててにっこり笑ってくれるリディに愛しさが限界突破です。

 

 俺の嫁、可愛過ぎか!!


 友達がリディがマジウザいとか言ってたがどこがだ!こんな強くて可愛くて優しい最高な婚約者、世界中探してもどこにもいないぞ!今すぐ抱きしめたいけどやったら確実にプチるから出来ない!おのれ!!


「それに魔王の魔力はとても多いですから、テッド様の魂がもっと馴染めばそれを使いこなして人型にもきっとなれますわ」

「マジか!?いいこと聞いた、がんばろう!リディとのイチャイチャハグの為に!!」

「も、もぉテッド様ってば!」


 赤くなって俺の鼻先をペチペチしてくるリディマジ可愛い天使!速攻で人型になってやる!



「さて、それはさておき今後のことだ。・・・リディアナ」

「はい、オルステッド様」

「俺の葬儀とジークの立太子の儀はいつ?」

「一週間後、同日に行うと御触れが出ております」

「そうか・・・それまでにリディ達にはかなり動いてもらう。面倒ばかりかけるけど、やってくれる?」


 リディアナは俺から一歩下がると、それはそれは美しい淑女の礼を取る。

 更にその後ろにはいつのまにか影達がずらりと揃っていて。全員が片膝を折って首を垂れる臣下の礼を俺に向けてくれていた。


「我らはオルステッド様ただお一人に忠誠を誓う者。この身をとして、必ずやご期待にお応え致しましょう」


 やられっぱなしは性に合わない。

 さぁ反撃開始といこうか!!


ここまで読んでくださってありがとうございます。

誤字脱字ありましたら、知らせていただけると大変助かります。


少しでも面白いと思っていただけたら↓から評価、感想コメントなどをいただけると嬉しいです。

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