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大人達はズルい




「あははははははははははは!!!やだもう最高っ!!!」

「ちょっとぺスターさん笑いすぎ!」

「だってぇ!あはははははははは!!!」


 あれから数日後。

 8歳児が魔道具を作る、それこそ魔術回路を理解して組んで書き込みまでするなんて普通は無理なんだと教え込まれた俺は、諸悪の根源であるぺスターさんのところに来ていた。

 魔道具のベアリングをこのまま宣伝したらさすがに俺が悪目立ち過ぎるからと、組んだのはぺスターさんって事にしてほしいと頼みにきたのだ。


 その話をした結果が、コレだよ。



「あーおっかしぃ!頭良すぎてお説教とかウ・ケ・る!!あはははははははは!!」

「お説教じゃないし!魔道具に関する説明だし!!・・・まぁ・・報告しなかった事はちょっと怒られたけど・・・」

「ブフッぶあははははははははは!!!ーーゴホッゲホッ!!」


 とうとうお腹抱えて床に転がったぺスターさんを俺はギロッと睨んだ。

 スリットが超際どいところまで入ったワンピースの上に白衣という本当だったら目のやり場に困る服装だけど気せず睨む。


 だってデカくて筋肉モリモリのおっさんだし。

 例え見えても違う意味で目逸らすよ。つかそのまま呼吸困難になりやがれ!



 この見た目はおっさん、心は乙女なぺスターさんは出来るやつに年齢性別は関係ないと思ってる人みたいで。だから俺が電子回路の要領ですらすらと魔術回路を理解していっても


『あらまぁ、アタシとおんなじ子きちゃー』


としか思わなかったらしい。



「ほんとに資格のこととか知らなかったなんてね!そんな気はしてたけど、でもマジでとか・・・ぶふふ、あはははははは!!」

「うっさい!思ったんなら教えろよ!!カール、アンタもだよ!」

「え〜、だってその方が絶対面白いじゃん?あとルーカスを驚かす機会は逃さないって決めてるんで!」

「うわ、最低・・・」

「あはははははカール様最高!!」

「・・・もうやだこの大人たち・・・」


 今思えば前世でもプログラミングはともかく、電子回路を読み解いて組める8歳児なんて多分いない。そこに気付かず楽しんで組んじゃった俺も悪い。けど、こうしてワザと教えなかった大人たちはもっともっと悪いと思う!


「あは、ははは、あー苦しかったぁ〜。・・・えっと、で?なんだったかしら?」

「今回の魔術回路の名義はぺスターさん、これ命令」

「あーはいはい。お坊ちゃまの隠れ蓑ってことね。資格取るまでって言うならいいわよぉ」

「あっさりだね?」

「アタシもパパにそうしてもらってたもん」

「・・・コレ、いいの?」

「マジか・・・いや俺らも今おんなじ事してるから言えた義理じゃないんだけどさ、本当ならアウト。でもハオ家はこの国で指折りの魔道具師だからなぁ・・・んー〜、バレても注意受けて終わりじゃねぇかな?」


 ぺスターさんはふざけた格好のおっさんだけど、代々爵位を獲得するほどすごい魔道具を開発し続けている一族の嫡男だそうで。

 なんと俺が魔道具に興味を持つきっかけになった離宮の呼び鈴もぺスターさんの作品だった。あれは大きなレストランや病院とかは勿論、王城でも愛用されてて、その功績から爵位をもらったらしい。

 兄上もぺスターさん個人の名前だと分からなかったけど、ハオ家と聞いてすぐ気付いてた。そして「あの家か〜」って、頭抱えてた。

 他にもたくさん便利な魔道具を開発してて本当に優秀な魔道具師なんだよね・・・性格と見た目はアレだけど。

 兄上が思わず頭抱えるくらいなんだから、きっと一族みんな変人なんだろうな。ま、前世でも学者は変わり者が多いってよく聞いたし、あるあるってやつでしょう、多分。



「ただ、殿下の事がバレた場合はアウトどころの話じゃないから・・・。ーーぺスター・ハオ男爵、ルーカス王太子殿下の名のもとに、オルステッド殿下の功績の盾となる事を命じる」

「御意。このペスター・ハオ、我が命に変えてもオルステッド殿下の功績をお守り致す事をここに誓います」


 跪くペスターさんにカールが一枚の紙を頭に乗せる。

 これは契約書に魔術印をかざして行われる正式な儀式だ。

 元々押されていた兄上の魔術印がぼんやりと光って、その上に重なるようにしてペスターさんの魔術印が焼き印みたいに描かれ押されていく。



 目の前で急に大人の、身分あるやりとりをされて俺は黙った。


 ・・・こういう時はキチンとしてるんだから、大人ってズルいよな。



 ちなみになんで兄上の護衛の筈のカールが俺の側に居るかと言えば、今は俺の護衛兼剣術指南役になっているからだ。実はベルトもで、彼はジークの方。

 6歳になった頃にやっと選ばれた俺の護衛兼剣術指南役がなんと若い近衛騎士見習いで。兄上のカール達みたいに話し相手兼で選ばれたならまだ分かるけど、剣術指南役込みでの人選で見習い。騎士の中でも優秀な者だけがなれる近衛騎士とは言っても見習いって・・・。


 これには離宮のみんなは勿論、兄上もブチ切れちゃったのはいうまでもなく。

 弟達に自分の優秀な護衛を下賜するって言う名目で俺とジークにカールとベルトをそれぞれ与えてくれたと言うわけだ。



「はい、堅苦しいのおっしまい!それよりもお坊ちゃまの事だからこれからも新しい魔術回路組んで魔道具作る気満々でしょ?2人分の開発なんてやっかまれる原因にしかならないんだから、さっさと資格取ってよねぇ」

「ぅえ〜・・・資格試験って筆記あるでしょ?実技だけがいいな・・・」

「アンタ魔道具師舐めんじゃないわよ?」

「はい、すみません」

「よろしい。大丈夫、アタシがみっちり仕込んであげるから13歳で取って最年少記録よ!」

「ヤダよ目立つじゃん!!」

「平気よぉ。アタシも13歳で取ってるから並ぶだけ!」

「ぺスターさんと同じとかもっとヤダ」

「なんですってぇぇ!!?」

「アンタら国家資格をなんだと思ってんだ・・・」



 俺としてはこんなやりとりしてても気にしないどころかツッコんでくれるカールが来てくれて本当にありがたいんだけど、兄上には迷惑かけてるよなぁ・・・。

 今回も結局迷惑かけちゃったし、恩返しが全然出来てないや・・・本当、どうしたら良いのかなぁ。






◆◆◆



「外交準備で大変な時期にすまないね」

「いえ、問題ありません。お披露目の時は殆どお話しが出来ませんでしたから、嬉しいです」

「ふふふ、そうか」

「はい」

「外交はアグレス国からだろう?その時に私も領地に帰ろうと思う。同じ旅路だ、同行しても構わないかい?」

「え、それは僕としても大変ありがたい話です!ですが、出立は二週間後ですよ?」

「あぁ」

「・・・珍しいですね、王都に長居されるなんて」

「そう、だね・・ーーあぁ、本当にそうだ・・・。でも、もうすぐ・・・だろう?」

「あ、・・・はい」

「ずっと行けなかったんだ・・・。でもあの子を見て、やっと受け入れられてね・・・」

「・・・とても、良い子ですよ」

「そうだろうね」

「頭も良いです。勿論、ジークもですが」

「良くなければあの場であんな事は出来まい」

「んン、まぁ・・・そうですね。おかげで心配事が一気に減りました。こんなにも清々しい気持ちで外交に行けるとは思っていなかったです」

「君が居ない間に動きたかったであろう連中をまとめて押さえ込んだからね。それにしても・・・アレは本当に痛快だった、くくく」




「エドモンド叔父上」

「なんだい?」





「ぜひ、オルステッドに会ってやってください」





ここまで読んでくださってありがとうございます。

誤字脱字ありましたら、知らせていただけると大変助かります。


少しでも面白いと思っていただけたら↓から評価、感想コメントなどをいただけると嬉しいです。

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