また会う日まで
体調不良と実家帰省が重なって更新が遅くなりました!
怒涛の立太子パーティー翌日。
「お疲れ様でした、オルステッド殿下」
「本当に、ご立派なお姿に感動いたしました」
「ガーディア侯爵夫妻こそ色々と手配してくださってありがとうございました」
離宮の応接室でゆっくりお茶を飲みながら昨日のことを労ってくれるガーディア侯爵夫妻。
俺のちょっとした(?)復讐とわがままを叶える為に行なった昨日のパーティーの騒動は、緊張しまくったけど満足のいく結果となった。
それもこれも全て
「リディもありがとう、『母さんの声』を届けてくれて」
『本当、リーちゃんありがとう!』
リディアナが冥属性魔法で母さんの声を俺にだけ聞こえるようにしてくれたおかげだ!
「お役に立てて光栄ですわ」
この3年でリディアナは冥属性魔法のレベルをこれでもかとばかりに上げまくった、というか上がってしまった。
何故なら俺に憑いてくれている『母さんの霊』を少しでも長く俺と触れ合えるように、なんなら会話が出来るようにとずっと頑張ってくれていたから。今も母さんがみんなに視えて会話が出来るように魔力を送ってくれている。
そんなリディアナの冥属性魔法レベルは現時点でなんと69!ちなみに上限レベルは99。
俺も頑張ってたんだけど木属性が51に水属性が48。これでも年齢で言えば十分過ぎるほど優秀らしい。
そう考えるとリディアナがどれだけ俺たちの為に頑張ってくれていたのか・・・。今回のこともそうだけど本当に感謝しかない。
『うふふふふふふとぉっても愉快痛快だったわぁ!マッケンベルもアルジュリーネも8歳の子どもに良いようにされちゃって!!』
「実際は百戦錬磨の母さんの言葉をそのまま喋ってただけだけどね〜」
俺の周りをふわふわ浮かんで踊っている母さんは心底楽しそうだ。パーティーの時もノリノリでこう言えば何も言えないわ、とか言ってたし。ちょっとでも親父に仕返しが出来たなら良かったよ。
「やっぱり犯人はソフィア様だったか!!」
母さんの様子にほのぼのしているところにバターン!!と誰かが扉を開けて入ってくる。何、この漫画的展開。
ま、この部屋まで通して貰える人なんて限られてるけどね。
「ルーカス兄上いらっしゃーい、ってジークまで?ちょっとちょっと、2人揃って離宮に来ちゃったら怪しまれちゃうんですけどぉ?」
「誰かさんのせいで父上も母上もそれどころじゃないから大丈夫!と言うか、そんなことより!!」
2人揃って机もバーンって叩いて痛くない?みんなのお茶も溢れるだろうが。
魔法で浮かせといて良かった。
「王位継承権放棄ってどう言うことだよ!?」
「本当ですソフィア様!!人酔いレベルMAXのテッドに一体何を言わせてるんですか!!?」
「ひどい兄上!!その通りだけど!!」
『あらあらルー君落ち着いて?』
「ルー君!?兄上ルー君なんて呼ばれてたの!?」
「ギャァぁっ!?!ジーク今すぐ忘れて!!ソフィア様もやめて僕もう18です!!」
『え〜、可愛いのにぃ」
わぁ・・・もうなにがなにやら。ガーディア侯爵夫妻が苦笑いしてるよ。ごめんなさい騒がしい親子兄弟で。
「メリー、兄上たちの分のお茶お願い」
「今母が追加のお茶菓子と共に準備しております」
さすが、仕事が早いね。
じゃぁ待ってる間に説明しておきますか。
「兄上、ジーク。親父をコテンパンにしたのは確かに母さんだけど、王位継承権放棄を言い出したのは俺」
「なんだって!?」
「テッド、どうして?」
「どうしてって、そんなの王家の派閥争いに巻き込まれたくないからに決まってんでしょう」
ルーカス兄上もジークムンドも、大好きな兄たちだ。
王家のドロドロに巻き込まれるだけでもウンザリなのに、その上2人と争うことになるなんてお断りだ。
「俺はガーディア侯爵家に婿入りして、リディや領民の為になる開発が出来たらそれで良いの。趣味と実益を兼ねてるんだから完璧じゃない?でも、王位継承権があるとどうしたって俺を担ぎ出そうとする輩が出てきちゃって、兄上の治世の邪魔をしかねない」
「・・・『前王妃派』も一枚岩ではありませんからね。十分にあり得る話です」
『だからずっとどうにかして放棄したいって言ってたのよ。本当は難しいんだけど、リーちゃんとの婚約の条件として出すならきっと通ると思って助言したの』
「テッド・・・」
「わざわざ全貴族の前で宣言したのもその為。ここまでして俺を担ぎ上げてくる馬鹿はいないでしょう。親父が俺の代だけガーディア家を公爵にしてくれるって言ったし、これで心置きなく兄上の手足としてお手伝いすることが出来ますよ」
俺が満足がいく結果になった理由はまさにコレ。
リディアナとの婚約と侯爵家であるガーディア家が俺が当主の代だけ公爵家に、次代は王国への貢献次第で公爵家を引き続き名乗って良しとの盟約を貰った。近日中に俺とガーディア家に正式な署名も届く。
随分と大盤振る舞いに見えるけど、多分婿入り時の持参金とかを出したくないからその代わりってところだ。
ある意味超どケチだけど文句をいうつもりはない。兄上達に会いやすい立場になるから俺としては十分だ。
「・・・そうか、テッドがそこまで考えて行動したなら僕はもう何も言わないよ」
「ぼくも・・・王位継承権がなくなったからって、テッドが弟じゃなくなった訳じゃないもんね」
「そんなのあったりまえだろ」
笑って話す俺とフォローに回ってくれた侯爵と母さんの言葉で兄上もジークも納得してくれたみたい。
おかげでやっと空気が落ち着いたかな?
全く、やれやれだ。
「ガーディア侯爵夫妻、これまでもオルステッドの事を我が子のように良くしてくれて本当にありがとう。正式に婚約者となったこれからも、どうか弟を宜しく頼む」
「ルーカス王太子殿下、お顔をお上げくださいませ!!」
「こちらこそ素晴らしい弟君が娘の婿として来てくださり、家を継いでくださるのです。感謝の念しかありませんよ」
え、何これ急に保護者挨拶会始めないでなんか恥ずかしい!!
リディアナはそんな俺見て始終ニッコニコだし!クソォ可愛いから許す!!
『ふふふ、色々良い方にまとまってくれて良かったわ。これで、来世の輪に行けるわね』
「・・・母さん」
「ソフィア様?え、どういう・・・こと、です?」
「テッドの母上様・・・いなくなっちゃうの?」
戸惑う兄上達を尻目に俺はメリーとサリナに向かって小さく手を上げた。2人はすぐに承知して他のみんなを呼びに行く。
サリナがエプロンで目を押さえ、メリーがそれに寄り添いながら出ていくのを、敢えて見ないふりした。
「・・・ソフィア様はお亡くなりになられてから今までの8年間、ずっとテッド様のお側におりました。本来未練を残して人や場所に憑いた霊は早ければ数ヶ月、遅くても4、5年で悪霊化してしまうものなのです。わたくしが魔力を送っていたとはいえ、ソフィア様はいつ悪霊化してもおかしくない状態なのですわ・・・」
「そんな!?」
リディアナの説明に兄上達は驚きを隠せない。
でも部屋に戻って来たサリナ達がフリッドとアランだけでなく門番のザックとウィルも連れて来た事で、母さんと本当にお別れなんだと理解したようだった。
『テッドちゃんにこんな可愛いお嫁さんが決まったし、ルー君や他の教え子達も頑張って国を支えてくれてる。本当にもう・・・思い残す事はないわ』
「母さん・・・」
くっきりと視えていた母さんの身体が少しずつぼやけて輪郭を無くしていく。その中で母さんはこの場にいるみんな1人1人に視線を向け、笑い、最後に俺を見た。
『・・・元気でね、私の可愛いオルステッド・・・(ぁ、私の性癖は内緒のままよ!!)」
「ごぶっ!!?・・ふふ、うん、分かってる。・・・じゃぁね、母さん」
『えぇ、またいつか・・・どこかで会いましょう』
爆弾をこっそり俺だけに残して、母さんは光の粒子となって消えた。
寂しいけど悲しくない、なんて母さんらしい別れ。
ありがとう、またいつか会う日まで・・・。
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