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一生に一度のワガママですよ?



 ルーカス兄上の立太子パーティー当日。



 俺は生まれて初めて城内に、しかも1番デカいパーティー会場に来ていた。

 会場内には国中の貴族が集まっているもんだから、見渡す限り人、ひと、ヒト!

 ちなみに1週間後には他国の王族や高位貴族を迎えてのパーティーもある。だから城内だけでなく王都自体がお祭り騒ぎ状態だった。


「ぅぇぇ〜・・・酔いそう・・・」


 この3年間で小さな茶会(しかも兄上主催オンリー)を両手で数えられるくらいしか参加してこなかった俺には場違い過ぎて・・・。ある程度のマナーはどうにか身についてるとはいえ、元庶民にこのギラギラでごちゃごちゃでギスギスな世界は正直めっちゃキツイです。


 本当、兄上のお祝いじゃなかったら絶対逃げだしてるよ・・・。


「大丈夫ですか、テッド様・・・」

「うぅ・・・あんまり大丈夫じゃない・・・でも、」


 こう言った場だからこそ出来る事がある訳で・・・。今後の事を考えても今日、やるしかない!


 俺が何をするかを知った上で、笑顔で送り出してくれた離宮のみんな。そして今も傍で応援してくれているリディアナ、ガーディア侯爵夫妻・・・。

 そして・・・母さん。


 どうか、見守っててください!!

 



 ・・・とりあえず今は円形様探そう、そうしよう。







 国王マッケンベルと王妃アルジュリーネ、そして今日の主役であるルーカス兄上が入場し、パーティーが本格的に始まった。

 先ずは兄上の挨拶兼宣誓、国王である親父の乾杯の音頭。んで次からは位が高い順に王へ挨拶に行くんだけど・・・1番手は親父にとって唯一の弟である大公爵エドモンド。


 あれが兄上に「なんでもっと早く生まれてくれなかったんですか叔父上ぇ!!(ギリィ)」って惜しまれる程に優秀な叔父上か。


 柔和そうな見た目のおじ様だけど、優秀過ぎるからって疎まれて親父に国境沿いの辺境に飛ばされた不遇の人。

 でもそれを気にしないどころかしっかり国防で活躍して隣国との争いを停戦させ、友好条約まで結んだらしいんだよね。まぁ母さんからの手助けがあったからこその条約締結だったみたいだけど、それでもすごいよなぁ。


 と、ついつい見つめてたら目があって・・・ウィンクされた!!?

 ちょっとちょっと、イケおじのウィンクなんてときめいちゃうじゃないか!!カッコいい!!



 ・・・なんてアホなこと考えてたらいつのまにかジークの挨拶が終わった。

 8歳とは思えない立派な挨拶だったみたいで周囲はルーカス同様教育が行き届いていると感心してる。


 そんな中で次は俺の番。

 殆ど公の場に出て来ない俺の登場にみんながどよめいて視線が集まるのを感じる。


 おぁ〜っみんなカボチャじゃがいも豊作畑〜!


 そんな風に念じながら俺は兄上と、親父達の前に歩み出た。



「第三王子オルステッドが、王国の太陽と月、そして若き太陽にご挨拶とお祝いを申し上げます」



「・・・面をあげよ」

「来てくれて嬉しいよ、オルステッド」


 主役のルーカス兄上が玉座から一歩前に出た位置で立って俺を笑顔で迎えてくれる。

 玉座に座る親父は並んで座った王妃と一緒に自分の子を優しく迎える、なんて事はなく。むしろ値踏みして見下している目つきで俺を見ていた。


 まぁそれも当然か。

 大嫌いな女の息子で、出来の良い2人の愛息子の後で教師も付けなかった子どもがどれ程無様な挨拶をするのか。笑い者にしたくて堪らないんだろうなぁ。

 あー嫌だ嫌だ、本当悪趣味!


「ルーカス兄上、立太子おめでとうございます。貴方の弟である事は私の誇りでございます。そして・・・」


 だから、俺はその悪趣味を



「お初にお目にかかります、父上」



超笑顔の爆弾付きで叩き返す!!



・・・ざわざわ

「今、初と仰いました?」

「第三王子殿下は病弱で離宮にて療養されている、と聞いていたが・・・」

「そこに一度もお訪ねになっていない、ということ?」

「まさか!第三とはいえ、ご自身のお子だぞ?!」

「だが、今確かに初だと・・・」



 「お初」の言葉に会場が一気にザワつく。

 そりゃそうだ、このクソ親父、なんと世間では愛妻家で子煩悩という事になってるんだから。俺の無様な姿が見れる=自分の評判が下がるってなんで分からないんだろうね、馬鹿だねー。


 でも実際、兄上の子育ては母さんに殆ど丸投げしてたくせに、ジークに対しては意外と積極的に関わっているらしい。同い年の俺と差をつけたかったからなんだろうけど、当のジークは嫌悪してるし、何よりこういう場では墓穴にしかならないんだよ!


「今宵初めてお顔を拝見でき、このオルステッド、とても感激しております(訳:ねぇねぇ一度も顔見せた事ないよねぇ?それ父親としてどうなの?)」

「う、うむ・・・大きく、なったな」

「父上の選んでくださった大変優秀な方々に育てて頂きましたので(訳:アンタが追い出した人材が全員超優秀だったから苦労せずにすんだんだよ)」


 ニッコニコの俺に対して親父の顔色はどんどん悪くなっていく。ちなみに兄上は笑いそうになるのを必死に我慢中。

 そんな兄上にプレゼント!さぁ日頃の鬱憤をちょっとでも晴らしとこうぜ!


「兄上、立太子のお祝いとして私が懇意にしている工房が新型の『ベアリング』と衝撃緩和に特化した『サスペンション』と言う器具を開発しました。今後の旅路にどうぞお役立てください。もちろん、父上にも献上いたします。お使い頂けましたら幸いにございます」

「相変わらず君は、こちらが驚くものを作ってくるね。ありがとうオルステッド。父上も、良かったですね。これで外交に行かれる際に腰を痛めずに済みますよ?」

「ぁ、あぁ、そうだな・・・」


 母親のこともあって今まで散々放っておいた息子が突然渡してきたプレゼントだ。怖くて使うことなんて出来ないですよねぇ?別に良いよ〜、兄上を筆頭にたくさんの貴族が使ってケツと腰の痛みから解放される中、アンタだけケツが割れる思いでもしてれば。

 あ、そもそも外交自体他人任せで馬車になんか乗りませんでしたね!城から出ないからお腹が醜い肉だるまなんだもんね!

 周囲も親父の外交が人任せなのはとっくに知ってるし、兄上からも皮肉もらっていい気味だ!


 ぐぬぬ、って顔してるけど悪いね。まだまだ俺のターンは終わりじゃないんだよ。


「ところで父上、一つお願いがあるのですが宜しいでしょうか?」

「オルステッド!今宵は貴方の兄の立太子を祝う宴ですよ!いつまで留まるつもりです、他の貴族の方々をお待たせしていると分からないのですか?!」

「申し訳ございません。何分教育係をつけてもらえなかったものですから無作法をお許しください、それに」


 おやおや王妃様、わざわざ自分で墓穴掘ってくれてありがとう!ならこっちも遠慮なく追撃していくよ〜。


「私は父上との時間を頂いた事がございません。面会も常に断られてる次第で・・・。ならば相対出来ている今、お話しすべき事をさせて頂きたいと思うのは致し方ないことではありませんか?」


 この年齢で未だ教師をつけず、しかも会いに来ない面会もしないのがここぞとばかりに晒されちゃったね。

 自分で掘った穴に落ちる気分は如何ですか?


「ぐっ、・・・何用だ、早く申せ」

「ありがとうございます。では、手短に。ガーディア侯爵家の息女リディアナとの婚約をお認め頂きたい。第三王子が婿入りする家柄としても問題ないはずです。そして今この場で認めて頂けるなら私は」


 さぁ、これ以上醜態を晒したくないなら認めやがれ。

 そうすれば俺はアンタ達にとっても有益な条件を提示してやるからさ!






「王位継承権を放棄いたします!!」








ここまで読んでくださってありがとうございます。

誤字脱字ありましたら、知らせていただけると大変助かります!


少しでも面白いと思っていただけたら↓から評価、感想コメントなどをいただけると執筆の励みになりますので宜しくお願いします!!

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