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少年期編:8歳になりました!



「「「お誕生日、おめでとうございます!!」」」


「ありがとう、みんな!」


「テッド様、こちら受け取ってくださいませ!!」

「ありがとう!あ、コレもしかして折り畳みの工具ケース?」

「はい、以前欲しいと言っておりましたでしょう?」

「覚えててくれたんだ!ありがとうリディ!」

「おぉ、リディアナはそれにしたのか。では私と妻からの物でちょうどひとセットですな」

「え?あーっ新しい工具セットだ!!ありがとうガーディア侯爵!ガーディア侯爵夫人!!」

「オルステッド殿下、離宮にお兄様方からプレゼントが届いておりますと父から連絡がありましたわ」

「本当?嬉しいなぁ!」



 あの初めての茶会から3年、俺は8歳になった。


 あれ以降、俺は王都にあるガーディア侯爵のお屋敷に良く遊びに来させてもらっている。

 離宮の外に出る事が叶わなかった俺からしたらそれだけでも嬉しかったのに、なんと侯爵はこうして屋敷を盛大に飾りつけた誕生日パーティーまで開催してくれるようになった。

 リディアナが強く希望したからだ、なんて言っていたけど、絶対照れ隠しなんだよね。なんせ父親から一度も誕生日を祝ってもらった事がないって聞いた時の侯爵夫妻、顔が般若になってたからなぁ。

 ・・・リディがいない時で良かった、アレは絶対泣く。


 他にも何かしたい事や欲しい物があれば遠慮なく言ってくれとまで言ってくれて。俺はその言葉に甘えて商人や職人、工房をたくさん紹介してもらった。




「おぉ来たか若ぁ!!」

「久しぶりガリオの親方!」


 そのうちの1人がこのガリオ工房の親方。


「ついに完成したぜぇ、アンタが考えた『新型ベアリング』と『さすぺんしょん』ってやつ!」

「おぉ待ってました!」


 親方に頼んだのは『円筒ころ軸受ベアリング』と『ストラット式サスペンション』。まぁ簡単に言ってしまえばタイヤ等に使われる回転補助と衝撃吸収器具だ。

 ベアリングは元々この世界にあった形と大して変わらない。あえて言うなら『ころ』の数を増やして枠の部分を頑丈にしてもらっただけ。あと回転するところは全部つけてって注文したくらい。

 でもサスペンションに関しては完全に一から。この世界は前世みたいに道が整備されてる訳じゃないからちょっと市街地から外れるだけで王都でも悪路になる。だから本当は悪路特化のリジットアクスル式をお願いしたいんだけど・・・流石に段階として飛びすぎだからね。とりあえずまずはシンプルで部品も少なく、構造も簡単なストラット式サスペンションを作ってもらった。

 それでも初めての物だから、どこまで再現してもらえるか不安だったけど、


「すごいよ親方、完璧じゃん!!たった半年で形にしちゃうなんて!!」


俺の拙い絵で完全再現してるよ!流石職人!!


「いやいやすげぇのは若だろうよ。あんだけ詳細に描いてくれてたんだ、ワシからしたら時間が掛かっちまって申し訳ねぇと思ってたくら「あぁなんて美しいバネ曲線・・・ベアリングのころも均一の円が並んで美しすぎる」

「おーい若、聞いてるか戻ってこいとぶな」

「うぉっと!?ぁ、えへへ・・・ごめんごめん」

「全く。二つともうちのオンボロ荷車で試してみたが、すごかったぜ。ケツが全然痛くなくってよ!」


 早速試しましたか!しかも自分で!!

 でも分かる!俺も作った物は先ず自分で試したいもんね!


 ちなみにもう王都内で出来る範囲の耐久テストは終わってて、今は往復で4日程かかる隣町まで行かせてるそうだ。早ければ明後日の夕方には帰ってくるって。

 報告が楽しみだなぁ。


「あとは悪天候でのテストもしねぇとな」

「そうだね、テストは念入りにして欲しいし改善出来そうなところもどんどんやっちゃって。あ、テスト用の人手や馬車が足りなければ言ってね。ガーディア侯爵がいつでも声かけてくれって言ってたから」

「そいつはありがてぇ!そうだ、王都内は問題ねぇって立証済みだからよ、おたくの馬車に取り付けてみるか?お嬢と試しでデートでもしてきな!」


 マジか!?親方最高です!!


「ありがとう親方!!工房の皆さんも忙しい中で俺のわがままを叶えてくれてありがとうございました!差し入れたくさん持って来たから休憩の時に食べてね」

「「「ありがとうございやす若様!!」」」



 てことで早速車輪を取り替えてもらってリディアナとデートだ!





「素晴らしい乗り心地ですテッド様・・・このように快適な馬車は初めてですわ!」


 新しい車輪に交換した馬車でリディアナを迎えに行って、ただいまデート中。いつもならクッションをこれでもか!とばかりに敷き詰めて乗るんだが、今回は半分以下の数で済んだ。

 さすが親方!良い仕事してくれたよ!

 


「・・・間に合って良かったですわね」

「え?」

「ルーカス王太子殿下の外交に、間に合わせたかったのでしょう?」


 おぉう、バレてる・・・なんでぇ?


 18歳になったルーカス兄上は今年から国の内外問わずに自分が次期国王・王太子であると発表し、内政と外交に参加出来るようになる。近々それを祝う大々的なパーティーも開催される予定だ。

 そのパーティーの後、初めての外交として周辺各国を回る事になるんだけど、俺はそれまでにベアリングとサスペンションを完成させたかった。長い旅路が少しでも快適になるように・・・。


 ずっと世話になってきた兄上に、恩返しがしたくて。


「さすがリディ・・・でもよく分かったね?」

「テッド様の玩具に力を入れていたお父様が急にこちらに鞍替えしたのですもの、分かりますわ」


 ガーディア侯爵は俺の作ったオセロと手足が動くぬいぐるみに感銘を受けたらしい。茶会の後で即手紙が来たと思ったら「信用出来る商人がいるから売り出しましょう!」という商売の提案だった。

 離宮のお財布事情を憂いてた俺からしたら正に渡りに船!こちらからも即了承の返事を出して玩具を売り出した。


 で、どれだけ売れたかはよく知らないけど、結構流行ったらしくて。他にも魔法練習も兼ねて作った玩具があるよ、って話したら絶対それも売れるからもう商会立ち上げましょうって話になって・・・。

 その手の商売の話になると本当に訳が分からないから申し訳ないと思いつつ「子どもですから〜」って全部侯爵に丸投げした。


 貴族として領地経営とか色々あるだろうに、仕事増やして本当ごめんなさい。


 ただおかげで離宮にまとまった額のお金が入って、且つ何か作りたい時に色々融通が効くようになったから本当にありがたい。

 みんなはもっとわがまま言って良いんだって言われたけど、十分稼げて好きな事出来るならそれで良いじゃんかって思うんだけどなぁ。


「今度出来る支店にはテッド様の新作玩具が売り出されるのでしょう?それらを部下にお任せして、テッド様と鍛治師の方との仲介に専念されていました。つまり急ぎで、しかも重要な事・・・となればルーカス殿下の即位お披露目パーティーに間に合わせたいのだと気付いたのですわ」

「なるほど、名推理ですリディ」

「うふふ、お褒めに預かり光栄ですわ」


 ちなみにこんだけ侯爵に良くしてもらって、リディアナとの関係も良好だと言うのに、彼女は婚約者ではなく候補扱い。

 なんで許可が降りないんだと不思議に思って兄上に聞いたら、とんでもなくバカバカしい理由だった。


 王国は今『国王派』と『前王妃派』と『中立派』に分かれていてガーディア侯爵は前王妃派。それも結構中核にいる人らしい。

 国王派の連中からしたら前王妃の息子である俺が敵対派閥の中に深く食い込むことで力をつけるのを恐れているから、という事らしい。


 いやもう本当にバッカじゃない?って思うんだけど、これが国ってやつなんだろうな。ゲームでは一体どうやって了承してもらったのやら。

 特にここ最近になって侯爵が力をつけてきているらしいから、俺の護衛騎士や教師の時以上に邪魔してきて鬱陶しいってルーカス兄上がぼやいてた。



 はぁ・・・、仕方ない。

 クソ親父に認めさせる作戦を考えなきゃ。


 それにせっかくだからね。ここぞとばかりにギャフンと言わせてやろうじゃないか!!




ここまで読んでくださってありがとうございます。

ちょっとだけおっきくなりました!後ろ盾も出来たので大分好き勝手やってるテッド君ですw

次回はダメ親父ざまぁの回になる予定ですので皆様お楽しみに♪


誤字脱字ありましたら、知らせていただけると大変助かります。


少しでも面白いと思っていただけたら↓から評価、感想コメントなどをいただけると嬉しいです!

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