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君は悪役令嬢?いえ、天使です!!



「でんかも、メリーさんも、へいきなのですね」


 2人でこっそり腹黒くニヤニヤしてたらリディアナ嬢が嬉しそうに呟く。

 そういえば魔法学の教科書にある母さんのメモにも冥属性の偏見がなかなかに根強くて、どうやったら差別がなくなるだろうかって書いてたな。希少な上に能力が霊との対話がメインだから、対話が出来ない他の属性使いからしたら支配してるように見えてどうしても勘違いされやすいって。


「リディアナ嬢、兄上が教えてくれたんだけどさ、冥属性は辛い思いを残した魂を浄化・・・えっと、キレイにしてあの世に案内してあげる魔法なんだって。俺はそれを聞いて、冥属性ってとっても素敵な魔法だなって思ったよ」


 両腕を動かせられるようになったブルーベリーを渡しながら俺はそう言った。リディアナ嬢は一瞬ぽかんとして、それから両手を万歳しているブルーベリーを抱き締めて、またポロポロ泣き出す。


 多分俺が想像しているよりたくさんたくさん、否定されてきたんだろう。彼女の心がこれ以上傷つかなければ良いな、と願わずにはいられなかった。






 ていうか今気付いたけど、俺と同じ年齢で冥属性の女の子って・・・もしかしてリディアナ嬢ってゲームの悪役令嬢!?俺ーオルステッドーの婚約者の!!?


 えーっと、なんだっけ?確か攻略対象の女の子達への嫌がらせはもちろん、ダンジョン攻略の時とかもオルステッドの右腕として死霊使いみたいなことをして邪魔してくるんだって聞いたような・・・?

 ん?てことはやっぱり霊の支配も可能ってこと?

 でもルーカス兄上の知り合いはそんな事出来んわ!って言ってたみたいだし。そういう風に使おうと思えば出来なくもないって事なのかな?うーん、分からん。


 それはさておき、落ち着いてきたリディアナ嬢がさっきから俺をチラチラと見てくるのは何故だ。メリーがニヤニヤしてるけど違うから!!

 だって俺の方なのに視線が合わない。これは俺の、後ろか?


 あれれ、もしや俺ってば幽霊に憑かれてる!?

 でも俺に憑く幽霊って誰だよ・・・そんな取り憑かれるような事した覚えないし、居そうな所に行った事もないぞ。

 いや待て、もしかして離宮が幽霊屋敷だったとか!?うそーん!!

 だってそうじゃなきゃ知り合いも兄弟も全員生きてるし、それこそ母さんぐらい、しか・・・・・・・まさか



「リディアナ嬢・・・いるの?ここに・・・」



ーー・・母さん・・ーー。



「はい、でんかのそばにずっと、ソフィアおうひさまがいらっしゃいます」


 にっこりと笑うリディアナ嬢に俺は言葉が出なかった。

 隣にいるメリーが息を呑んだのが聞こえる。


「わがやにあるしょうぞうがでみたことがありましたので、すぐにわかりましたわ。わたくしはまだまほうがじょうずではないのでおはなしはできませんが・・・」


 そう言いながらリディアナ嬢は一生懸命に手に魔力を込めて、それをフワリと俺の方に放った。

 魔力の塊は俺の身体を包む、のではなく、後ろの『何か』に吸い込まれていって・・・。それは徐々に人の形となっていく。



「・・・母、さん・・?」


 にっこりと笑う、眼鏡をかけた女性。

 俺と同じまっすぐの黒髪が風に揺れるレースのカーテンみたいに輝きながら波打っている。

 輪郭がぼんやりとしてふわふわしているのは幽霊だからなのか、リディアナ嬢の力が不安定だからなのか。

 でもそんな事は関係なく、俺は今世で肖像画以外で初めて、母親の顔を見ることが出来た事が嬉しくて涙が止まらなかった。


 周囲の人達からもそうだけれども、母親からだって恨まれているかもしれない。


 俺の後ろに母さんがいるってリディアナ嬢に教えてもらった時、真っ先に思った事はそれだった。

 だけど今俺を見つめる母さんにそんなものは感じない。すごく優しく笑って、俺の頭を撫でている。パクパクと動く口から声は出てこないけど、名前を呼んでくれているんだって分かった。



 音の無い親子の再会は時間で言うと2分か3分くらいだろうか。

 元々不安定だった輪郭がより不安定になって、光の粒子が舞い始める。


 あぁ、お別れだーー。


 母さんもそれが分かったのか、リディアナ嬢の方を向いてぺこりと頭を下げる。そして最後に俺を抱きしめるようにして・・・消えていった。




「ーーー・・・・・・リディアナ嬢」

「はい、すみません、ながくもたなくて・・・」

「ありがとう!!本当にありがとう!!」

「ふぇ!?あ、あの!!」

「リディアナ様!!」

「えぇ?!は、はいぃ!?」

「わたしからもお礼を言わせてください!!まさかこの目でソフィア様とオルステッド殿下が触れ合うお姿を見られる日がくるなんて!!生きてて良かった!!」


 俺とメリーにもみくちゃにされる勢いでお礼を言われたリディアナ嬢はあわあわしている。側から見たら小さな女の子に泣きながら詰め寄るヤバい人だよな俺たち。でもごめん、感動し過ぎてお礼を言わずにはいられないんだ!


「本当に、本当にありがとう!やっぱり冥属性は素敵な魔法だよ!!」


 俺のこの言葉にリディアナ嬢は急に、本当にボロっと音が鳴ったんじゃないかと思うくらい急に、大粒の涙を流し始めた。


「り、リディアナ様!?」

「ごめん、急に詰め寄ってびっくりさせちゃった!?大丈夫?」

「だ、だいじょうぶです・・・うぅ・・・わたくし、こんな、ヒック・・・おれいなんていわれたの、は、はじめてで・・・それで・・・う、うわぁーーーーんっ!!」


 ポロポロと嬉しそうに、でも大声で泣くリディアナ嬢は本当になんて純粋なんだろう。いやもちろん、まだまだ子どもだからっていうのもあるだろうけど。


 なんかもうアレだよ、悪役令嬢どころじゃないよ、天使だよこの子。






ここまで読んでくださってありがとうございます。

誤字脱字ありましたら、知らせていただけると大変助かります。


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