伝説のバンドの狂詩曲
第2章は全5話。21時までに全部アップします。
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第2章 伝説のバンドの狂詩曲
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「そこはA→C7→D7にした方がしっくりくるよ?」
パメラに歌わせてみる。
「あ、やっぱりA→D7→C7の方がパメラらしいわね」
私たちは曲作りをしていた。
パメラに現代音楽の基礎を教えつつ私が作曲しているのだけど、パメラの声がスゴすぎて基本のコード進行だと物足りなく感じてしまう。
「ヒメカ、私ずいぶんと太陽を見てないわ。空も飛びたいし美味しい空気が吸いたいの」
ずっと教会の聖堂と部屋と食堂で過ごしてきたことに気が付いて愕然とした。
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「ごめんね。集中すると回りが見えなくなってしまうの」
「私もとても勉強になるし楽しいのだけれど、根を詰め過ぎると良い音楽は作れないわよ」
気分転換に街を散策してみることにした。
私がこの異世界に飛ばされて三日目だったがこの街のことを殆ど知らなかった。
パメラに案内してもらいながら色々な店を巡ってみる。
改めて元の世界との違いに新鮮な気持ちになる。
「あの広場で休憩しましょう」
そこは公園のような場所でベンチに座ってる人や芝生に寝転んでる人、手を繋ぎ花を愛でるカップルなどが思い思いの時間を過ごしていた。
パメラが飲み物を買ってくるというので私は暇つぶしにスキルの画面を見てみた。
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名前 ヒメカ 16歳
職業 バンドマン Lv.5
種族 人間
EP 1359
スキル
・酒
・タバコ
・ロック
・エリサーナの加護
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(あ、レベルが上がってるEPってのも増えてるけどどうやって増えたんだろう?)
ついでに『楽器手配』で色々探してみる。
(これパメラにピッタリね!EP39でとってもお値頃ね!ポチっとね♪)
衝動買いしてしまった。
「何をしているの?」
パメラが両手に飲み物を持って戻ってきた。
「はい!プレゼント!」
それは真っ赤な鍵盤ハーモニカ、通称『ピアニカ』だった。
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そして突然始まる路上ライブ
元々ピアノを弾けたからすぐになれるとは思ってたけどやっぱりパメラさんパねえっす。
数分で自在に演奏し始めると、あの独特な脳に直接響かせる声を息に乗せたらしく広場中の人が集まってきた。
そこですかさずギターを取り出しケースを開いたまま前に置く。
いわゆる「投げ銭」入れだ。
ケースの中にエリサーナ像をたくさん入れてお礼に渡せば少しでも布教できそうだと閃いた。
私もギターを弾いてセッションを始めるが、『歌姫』は声を封じられても『歌姫』だった。
小一時間セッションをしてお開きにした。エリサーナ像も30個くらい配ることができた。
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名前 ヒメカ 16歳
職業 バンドマン Lv.6
種族 人間
EP 1782
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(レベルもEPも増えてる!これはこまめにチェックして法則を見つけていっぱい稼がないと)
片付けを終え教会に帰ろうとすると先ほどのギャラリーなのか長身の女性が残っていた。
頭の上にロバのような耳が立っていて忙しなくクルクル回っている。
・・・
(なんかめっちゃ小さい声で話しかけてきた?!)
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