伝説のバンドの狂詩曲
♪~♪♪~♪~♪♪~♪~♪♪~♪~♪♪~♪~♪
「殴り込みか?!」
男たちが一斉に立ち上がりこちらに向かってくる。
「フリーダ!それはダメよ!楽器は鈍器じゃないの!それをやって許されるのは映画の中だけ!SNSで叩かれてステージに上がれなくなるわ!」
・・・
そして男たちに向かって再び魔ギターを弾いた。
「単音がダメならこれでどうだぁ!」
『C~♪』
今度はコードで弾いてみた。
すると光の玉が発射された。
「ぎゃあ!」
(これならいける!)
『D~♪』
電撃が男たちに降り注ぎ痺れさせる。
『まだまだぁE~♪』
今度は地面から石礫が襲いかかる!
『F~♪(簡単な方だけど)』
火の玉が男の腹を直撃して爆発し、最後の用心棒は倒れた。
・
「よしっ!フリーダ!オルトロ君を助けにいくよ!」
フリーダはギターを野球のバットのように持って戦闘モードに入っている。
(もうそのギター使い物にならないかな、、、あれ?でも傷はなさそうね。そうだ!)
「『楽器鑑定』ポチッとね♪」
ヤ〇ハ クラシックギター8点セット
確かな造りの入門者向けクラシックギター。
特殊効果
・『チューニングを維持する』
・『清潔な状態を維持する』
・『不壊』
(あらやだファンタジー♪っていうか『不壊』って!)
鈍器として使えるらしい。
私は勇んで酒場の扉を開いた。
「頼も~、げふぅ!!」
蹴り飛ばされた。
♪~♪♪~♪~♪♪~♪~♪♪~♪~♪♪~♪~♪
・
相手のヤクザキックはギターに当たったからダメージは少ないが、衝撃でギターも飛ばされてしまった。
「おうおう、殴り込みとはいい度胸じゃねぇか。たっぷり可愛がってやるか」
「オルトロ君を返しなさい!もうすぐ衛兵が駆け付けてくるわ!捕まりたくなったらとっとと逃げることね!」
私は立ち上がりながら虚勢を張ってみた。
「ほう、じゃあ駄賃換わりにお前らを売り飛ばすとするか」
先程よりもゴツい男たちが近付いてきた。
・ 『D~♪D~D~D~♪』
いつの間にか魔ギターを拾ったフリーダが掻き鳴らし始めた。
周囲には電撃が舞い、いつ私に当たるかと戦々恐々した。
『D~DD~D~♪D~DDD~D~♪』
・・・・・・
・・・
・・
・
やがてフリーダのリサイタルは終わった。
駆け付けた衛兵が見たものは
焼け焦げた盗賊団たちと
焼け焦げた酒場と
焼け焦げた酒場の従業員と
焼け焦げたオルトロ君と
焼け焦げた私だった。
♪~♪♪~♪~♪♪~♪~♪♪~♪~♪♪~♪~♪




