マッチョうりうりの少女
身長2メートルです。
うりうりー!!!
アタシ、マッチョ!
真冬の夜の真っ暗闇で、ボディビルの格好してるの!
フィットネスのビキニだよ〜、いえーい♪
❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️
「マーッチョマッチョマッチョ、プロテイン、ホエイプロテインあるよー、2割引だよー」
……
マジ客来ない。
クリスマスなのに浮浪児ばっか。道端に座って、あー、目が死んでるよ。
てか靴下はいてないじゃん。金欠なの? マジありえないんですケドー。
……あ、貴族の馬車だ。無駄にキラキラ、ウケるー。中身は……
オッサン、デブ、ジジイ、姫。
よし金持ってるな。売り込みだー!
ドシドシドシドシ ドシドシドシドシ
「すみませーん!」
「うわ!? なんだー?」
「プロテイン買ってー」
「バケモノだ、逃げろー」
は?
逃げんなコラ!
「ホエイプロテイン、2ヶ月分、20万円、安いよ安いよー、買いなよー、ね、いーでしょ」バンバン
マッチョは自動車より速いんだぞー。
「ひえー、おいもっとスピード出さんか」
くそう。こうなったら! 持ち上げてビビらそう。
「ふんっ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ!
「ぎゃー」
「馬車が浮いたー」
「いや、いやあああ」
「落ち着いてくだされー」
あはは、ビビってるビビってるwww
「プロテイン買おうよ。栄養満点だよー、イチゴ味、バニラ味、ショコラ味もあるよー、今ならダンベル1キロついてくるよー」
「キィィヤァァァァーーー、誰か、誰か助けてー」
「わかった、買う、買うから許してくれー」
草w オッサンと姫、鼻水たらしてるーwww
「まいどありー♪」
馬車は風とともに去りぬるー、なんつって。
❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️
さーて、あの浮浪児どもを、マッチョ道へと引きずりますか。
「おーいお前ら、プロテインやるぞー」
くっそw ゾンビじゃんwww
「みんなー、プロテインが欲しいならー、『ナイスバルク』って言うんだぞー」
「ほら、言いな、『ナイスバルク』」
ごにょごにょ
ん? 何言ってるんだ? ガキ大将が説得してる?
「「「「「イエス、ナイスバルク!!」」」」」
うお、言いやがったな。気に入った!
「よーし飲め飲めー」
んぐんぐ んぐんぐ
「飲んだら筋トレするんだぞ」
「「「「「 イエス マッチョ! 」」」」」
あはは、なにこれすごい。このままマッチョ軍団作っちゃおう。
うん? あそこにいるのは?
❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️
「おばあちゃん、私を天国まで連れて行って!」
シュボボボボッ!!
ホワッ? マッチ売りの少女じゃん! てか死にそう!?
「まてまてー、アタシの筋肉を見ろー!」
「え?」
「アンタの妄想力は、そんなもんじゃ、ないッ!」
「……?」
なによ金魚みたいにポカンとしちゃって。
「サイドチェストォ、見なさいこの大胸筋ッ!」
「ハッ、クリスマスの七面鳥だわ!」
「バックダブルバイセップス、どやぁ!」
「背中に天使の羽が見えるわ!」
「モストマスキュラー!」
「おばあちゃん!!」
「孫ぉーー!!!」
「私、マッチョになる!」
「いえーい!」
こうしてマッチ売りの少女はマッチョうりうりの少女とマッチョになりましたとさ。
めでたし めでたし。
いえーい