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生命の危機

*ーー*


(身体中がいてぇ…くそ、もう体が動かねぇ…もう俺はダメだ。あんなに魔法の訓練を重ねたにもかかわらずここで終わりとは…情けない。ああ、じいちゃん、今まで支えてくれてありがとう。心から感謝してる。……。でもなんで俺を助けにきちゃったんだよ…もう敵に囲まれてるんだから助からないに決まってるじゃないか……アホ…あんたを逃すために最期まで戦ったのにな……天国に逝ったらさ、また魔法極めようぜ、じいちゃん)


*ーー*


激痛が走った。

息がしにくい。

真っ赤に染まった人がたくさん横たわっている。

俺は転生したんだ。

でもこのままじゃまた死んでしまう。

早く治療を…と思っていると目の前を骸骨数体が通っていく。

よく見ると盾と剣を持っている。


俺 (スケルトンか。これは…見つかったら死ぬ)


死んだふりをしてやり過ごした後、這いながら進んでいく。

周りの家は全部壊されている。逃げたが死んだだろう。治療なんか受けられっこない。これで終わりかと思った時、小さな声が聞こえた。


金髪の女「ヒール。大丈夫?」


そのまま横たわっているとみるみるうちに痛みが消えていった。


俺「あ、ありがとうございます!」


金髪の女は指差しながら言った。


金髪の女「良いってことよ。それより向こうの隣町にあなたも逃げた方がいいわ。多分魔王軍の攻撃第二波が来るだろうから。第一波の軍勢はあらかた片付いたけど、まだ生き残りがいるかもしれないから気をつけて」


金髪の女は立ち上がって周りを見渡した。


俺「あの、お名前は?」


金髪の女「秘密よ」


金髪の女は骸骨を見つけるとすぐにタタタッと駆けて行ってしまった。

さて、俺も逃げないとな。

影に隠れながら誰もいないか確認して、ずっと隣町まで走った。

道中誰も合わず、本当にただただ静かで無人で無限に広がった大地を駆けた。


ーー隣町ーー


門兵「隣の、タルティヤーン集落から来た者ですね?こちらへ」


案内してもらった中には既に集落で襲われた人たちが治療を受けていた。


少女「痛いよー!」


母「よしよし、痛かったね」


少年「みーちゃんが死んじゃったよー!オロローン」


母「辛かったね、よしよし」


母は子をなだめるのに忙しそうだ。


兵士「えー、では食事を配布します。」


最低限の食事は用意してくれてるみたいだ。

まあ寝るのは雑魚寝だろうが寝る場所があるだけありがたいと思わないとな…


ばあさん「おや、タクトじゃないかね」


じいさん「ほんとだがね。タクトよ、お前のおじいさんのことは気の毒じゃったな。あんまり気を落とすでないぞ」


俺「おじいさんに何かあったんですか?」


ばあさん「覚えてないのかい?!おお、ショックのあまり記憶喪失してしまったのね!」


じいさん「何ということだ」


俺は記憶を辿ろうとすると、すぐ思い出せた。

確かにタクトのおじいさんらしき人がいる。

ずっと家にこもって魔法の練習をしていた所、魔王軍が攻めてきてそれを撃退するために最前線で奮戦した。しかし数十体程倒した時敵の攻撃を食らって気絶したようだ。それ以上は思い出せない。


俺「それでおじいさんはどうなったんですか?」


じいさんとばあさんは少し顔を見合わせた後、言いにくそうに切り出した。


ばあさん「死んだよ。お前を庇ってね」


そうか。気の毒に。思い出そうとすればおじいさんとタクトの思い出が火山噴火したかのようにどんどん溢れ出てくる。


じいさん「お前のおじいさんはええ人じゃった。家に引きこもってるお前に文句一つ言わずに養っとったんじゃ。いきなり手伝いをやめて魔法を極めるって言い出した時も文句一つ言わずにがんばれって応援してたんじゃ。集落ではそんな前例ないし、普通は許さんじゃろう。おじいさんはお前をよっぽど大切に思ってたんじゃろうな」


確かにそんな思い出が次から次へと出てくる。

一緒に釣りをしたり、魔法を見せあったり、たまにお菓子作りに挑戦したり、魔法を極めてる最中に窓を開けてふと外を見るとおじいさんが一生懸命に腰を丸めて畑を耕してたり。

印象的だったのはいつも自分と話す時、笑顔だったこと。よっぽどタクトのことが好きだったんだろうな…

全く、俺の親とは大違いだぜ。


ーー3日後ーー


兵士「今日限りで出てもらう」


おっちゃん「なっ…2週間は面倒見てくれるんじゃなかったのか?!」


兵士「すまんな。上からの命令だ」


おばちゃん「そないなこと急に言われてもねぇ。あたしら明日のご飯もないよ」


兵士「上からの命令は絶対だ。すまんな」


もともとそこは兵士の訓練所だったらしい。

訓練できていない兵士が多数出たことにより不満が募り、出ていかねばならなくなった。


兵士「7:00, 12:00, 18:00になったら兵舎に来るといい。最低限の食事は用意できるだろう」


最低限2週間弱、餓死することはないようだ。

俺らはすぐに追い払われた。

と思ったらみんな仕事を紹介してもらえないか必死に町人に聞いている。やれやれ、殊勝なことよ。俺はどうしようかな。

生産職は嫌だし、かといって毛嫌いしていたら死んでしまう。俺無双できるんじゃなかったのかよ。早く俺TUEEEしたい!

そう思っている矢先、俺の前に金髪の女が現れた。

金髪の女「ねえ、あなた魔道士目指してみない?」

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