表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/311

第一章  運命の邂逅(8)

次に目を覚ましたとき、景色が一変していた。


「なん……何が……?」

 並んでいた露店は店主ごと氷づけになっている。地面も凍ってしまい、その冷たさに黒神は自分が倒れていることに気づく。


「うぐっ……」

 凍てつくような冷たさに耐え、黒神はなんとか立ち上がる。

 やはり夢ではないらしい。さきほどまで話していた店主も店と共に凍っている。


「おっちゃん……」


 死んでいるのだろうか。笑いも泣きもしない。話していたときと同じ表情で氷の中にいる。彼はきっと、何が起こったのかも分かっていないだろう。


「朝影……!」


 ふと前を向くと、そこには驚いたような表情でこちらを見ている朝影がいた。青い髪、ブルーの瞳、そして青いオーラのようなものを纏っている。


「どうして、凍ってないの? それに、貴方は……」

「お前がやったのか」

「質問してるのは私よ」

「お前がやったのか」

「……そうよ」


 否定してほしかった。こんなことしたのは私じゃない。貴方も奇跡的に凍らなかったんだね、と。

 だが、彼女は否定しなかった。真っ直ぐ、黒神の瞳を見つめて、はっきりと肯定した。


「ふざけるなよ……なんでこんなこと」

「助けてくれたから貴方だけは巻き込まないって決めてたのに。はあ、でももう後には引けないのよね」


 朝影は頭をかきながら呟く。


「なんでこんなことしたんだよっ!!」


 今度こそ、黒神の言葉に力がこもる。明確な、怒りが。


「『エデン破壊論』って知ってる?」

「はあ?」

「その名の通り、エデンの破壊を主張する論。私はその論者の1人なのよ。エデンに来たのは破壊を実行するため。まあ、まさかあそこで気を失うとは思わなかったわ。でも、もう止まらない。私は、エデンを破壊する」


 彼女の言葉の全てを理解したわけではない。だが、エデンを破壊するのが目的だったということは理解できた。そう、つまり彼女は――朝影光は、敵だ。


「さて、次は私が聞く番ね。どうして貴方は凍っていないの?」


 言われてみれば、周りは人も露店も建物も、視界に入るもの全てが凍っているのに対して、黒神はほぼ無傷である。明らかにおかしい。


「た、確かに、どうして俺だけ……」

「からかってるの? こんなことができるのは、能力者しかいないでしょ。貴方の能力はなんなの?」

「…………」


 知らない。知っているはずがない。なぜなら、彼は能力を持っていないからだ。デバイスが適合せず、能力が発現しなかった。故に、彼は能力を使えない。

 では、この状況はなんだ。なぜ彼だけが凍っていないのか。


「その様子じゃ、まさか本当に知らないってわけ? ……まあいいわ。どちらにせよ、殺すから」


 朝影の両手から氷柱のようなものが飛び出す。


「『氷槍(ひょうそう)』」

「――っ!?」


 そして、朝影は黒神に向かって突進してくる。そのブルーの瞳に、明確な殺意を宿して。

 死ぬのか。

 黒神は恐怖を抱いた。

 今まで、死など考えたことは無かった。能力の無い自分は傍観者。能力者の戦いを見て、憧れたり、嫉妬したり、そんな人生を過ごすんだと思っていた。

 目の前に迫るは、能力者。そして、死の文字。


(死んで、たまるか。こんなところで死ぬわけにいくかよ……!!)




 そして――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作投稿開始しました→「風と歌と勝利のΔ(ラブ・トライアングル)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ