第三章 最終実験(10)
とある研究所の、とある研究室のモニターには、どこかのゴミ処理場が映っていた。そしてそこには2人の少女がいる。
彼女たちの話し声は聞こえないが、2人はコンテナを使ったりして戦っている。
「ふむ、不意打ちへの耐性が出来たか」
黒縁の眼鏡をかけた初老の男性が、しゃがれた声で呟いた。
「だが、まだ足りん……む、とはいえもう決着か。しかし、これでは完全体へは移行出来ん。あと一歩のところまで来ているというのに……」
部屋の中には白衣を着た研究員が数名いる。彼らはモニターの映像を眺めながら、自分の机の上にあるパソコンに何かを打ち込んでいる。
「先生、やはり早織では完全体へ導くことは出来ないのでは」
若い男が提案する。先生と呼ばれた先ほどの初老の男性は眉をひそめながら、
「確かにな。ここまで導いたことから多少遠慮していたが、このままではワシらにも影響が出るか……」
「ええ、早急に別の能力者を見つけて、早織は処分すべきかと」
初老の男性は顎に手を当て、そして結論を出す。
「ならば、この実験が終わり次第上にかけ合うとしよう。上の結論が出次第、早織は――」
その時だった。
トドメを刺そうとしていた少女が放った黒い光線が、何者かによって放たれた光線に相殺されてしまったのだ。
「な、なんだ!? 何が起こったのだ!!」
初老の男性は声を荒げて叫ぶ。そして、部下の研究員に映像を拡大するように命じた。
光線を放った主――その中肉中背の少年は、劣勢に立たされていた少女の隣まで歩いていき、そして凛とした表情で何かを言っていた。
「この餓鬼、一体何を……!! 先生、今すぐに排除を!」
「いや待て。これはいい機会だ」
初老の男性は不気味に笑いながら言った。
「ふふふ、神はワシらに味方したようだな。さっきまで言ってただろう、早織では足りないと。それに、この少年の顔は知っているだろう?」
「――あ!! 確かに、彼ならばもしかして……」
「続けろ。ふふふ……ふははははははははは!! これが、『最終実験』だ! さあ、早苗よ、成るのだ、完全体に!!」
その後も、初老の男性の笑い声が研究室の中に響いていた。




