第二章 疑念と確信(3)
歓談部。
その活動はいわずもがな。その活動の性格から部員は多そうに思えるが、実は不知火高校の歓談部は黒神を含めても7人しかいない。
1年生が3人、2年生が2人、そして3年生が2人である。さらに言えば、現在3年生は受験のために部活には出れない。つまり、実質的には部員は5人ということになる。
「1年生は何か行事があるのか?」
「確か、この時期は模試じゃないかしら」
今日も、歓談部は2年生2人しか来ていなかった。
「模試、ねぇ。つーか俺たちも4月からは受験生か」
「……そう、ね。嫌な時期が近づいてきたって感じ」
早織は通学バッグを適当な場所に置いて、椅子に座る。そして、ポニーテールを1度解き、また結びなおした。
「あ、昨日買ったお菓子はその戸棚に入ってるから」
そう言われて、黒神は早織が座っている場所の反対側にある戸棚を開ける。すると、手前の方にお菓子の入った袋が置いてあった。
袋を取り、中に入っていたクッキーを数個取り出し、同じく戸棚に入っている皿に移す。
「ほい」
テーブルに置かれたクッキーを1個ずつ取っていく。
「ねえ黒神君、あの朝影さん……だっけ。彼女とはどこで出会ったの?」
「え、ああ。どう言えばいいのか……その、倒れてたんだ」
「倒れてた?」
早織は頬杖をつきながら怪訝な顔をする。
「道端に、な。それが出会いだな」
「そんなメルヘンな話、冗談でしょ」
本当なんだなこれが、と黒神は言いかけたが、とりあえず愛想笑いをしておいた。その先を話すと(特に、倒れてる女の子を介抱という名目で自室に連れ込んだこと)、また説教が始まりそうだったからだ。
「そういえば、昨日妹は私服だったけど、何年生なんだ?」
「……中学3年生よ。今はまだ冬休みだから、ね」
早織ははにかんでみせたが、どことなく、その笑顔はぎこちなかった。
「似てるってよく言われないか?」
「あんまり言われないかな。というか、外に2人で出歩くこと自体が少ないからね。黒神君はレアな体験をしたよ」
「そうなのか。兄弟とか姉妹って言ってもいつも一緒ってわけじゃないんだな」
「当たり前じゃない。黒神君は1人っ子だっけ」
「ああ、正直、兄弟姉妹が欲しかった気もするけどな」
「いるほうが大変よ、本当に」




