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第一章  似すぎる姉妹(7)

 午後。というかもう夕方になってしまった。


「あー、楽しかったっ!」

「まさかこんなに時間が潰せるとは……」


 朝影と月宮の2人はベンチでしばらく会話した後、一緒に大通りの店を巡っていた。ゲームセンターへ行ったり、アクセサリーを売っている屋台を見てみたりと大通りにある店の半分くらいを制覇したのではなかろうかという勢いだ。


「ね、最後にもう一度ケーキ買いに行こうよっ」

「ええ、いいわよ」


 1日に2回も同じスイーツ店に行くとは思ってもいなかったが、あの店のケーキはかなり美味しかったので朝影は躊躇うことなく承諾した。


 店には夕方ということもあってか、午前中に来たときよりも客が多かった。だが、それを想定していたのか、店側は大量のケーキを用意しており、朝影たちが買う予定の苺のショートケーキはまだたくさん置いてあった。


「うわあ、でもこれレジに並ぶの大変そうだねっ」

「どうしてこの状況で楽しそうなのよ」

「えへへ……じゃあ、並ぼうっ」


 そう言うと、月宮はケーキを2つトレイに乗せて、レジの列に並ぶ。朝影も彼女の隣に立つ。


「時間、かかりそうね」

「そうだねー……んっ?」


 なんとなく辺りを見回していた月宮が、驚いたような顔をして、ケーキを選んでいる人ごみの中を指差す。


「どうしたの?」

「えっと、お姉ちゃんがいるんだけどっ。それも、ちょっとイケメンな男の人とっ!」

「え」


 月宮が指差している方を見ると、朝影も見知った少年を発見した。それも、中々可愛い女子と一緒に楽しそうに話している。


(なんでちょっとムカついてるんだろ、私。そうだ、朝のことでムカついてるんだそうに決まってる!)


「ん、もしかして知り合いでもいたのっ?」

「ええ……同居人がちょっと」

「どこっ?」


「あそこ」

「……あ、その横にいるのがお姉ちゃんだよっ……って、えぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

「はぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 2人の叫びに周りにいた客はもちろん、件の少年と少女も2人のほうを見る。そして、向こうも同じく驚いたらしく、こちらを指差してアワアワと口を開いたまま立ち尽くしていた。

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