第一章 運命の邂逅(4)
朝が来た。吹雪も収まり、一転しての快晴。カーテンの隙間からは太陽の光が差し込んでいる。
黒神はむくりと体を起こす。硬い床で寝ていたせいか、体の節々に痛みを感じる。同時に、あることを感じた。
「夢じゃなかった……」
本来彼が寝ているはずのベッドには、青髪の少女が気持ちよさそうに眠っていた。
「まあ、冬休みだから別に良いんだが……あ! 思い出したぞ!! あの野郎、俺をからかいやがって!」
あの野郎、とは朝影のことではない。隣の部屋に住む、黒神の親友、赤城焔のことである。
「畜生、何か言わないと気が済まないな。とはいえ、こいつをほっとくわけにも、なぁ」
黒神は困った顔で頭を掻く。
だが、彼の葛藤は思わぬところで解決した。
「よう終夜、昨日はお楽しみだったみたいだな!!」
なぜか、赤城は黒神の部屋のドアを開けて入ってきた。
金髪のツンツン頭、赤い瞳のタレ目。ジャージ姿で入ってきた中肉中背の少年は、ヘラヘラしていた。
「おまっ! なぜ入った、どうやって入った!? つーか当たり前のように入るな!!」
「まーまー、昨日は俺も迷惑かけられたんだ。お互い様だろ?」
「ぐっ……悪かったよ」
言い返せず、悔しそうな顔をする黒神をよそ目に、赤城はベッドで寝ている朝影に興味を示した。
「なんだよ超可愛い子じゃねぇかよ!! ふざけんな俺にもヤらせぶへぇっ!?」
興奮して飛び上がる赤城の頬を、黒神は右手で思いっきり殴った。吹き飛んだ赤城は壁にぶつかり、妙な声を出した。
「ったく、よくもまあそんな台詞を惜しげもなく言えるよな、焔は」
「へへ、まあな」
「褒めてねぇよ」
「そうだ、終夜」
「何だよ」
「デバイスは適合したか?」
はあ、と黒神は大きなため息を吐いた。
「まだだよ。いい加減、適合して欲しいんだがな。焔は、火属性だったよな」
「ああ、『永遠の炎』だ」
赤城の能力は専ら戦闘用の能力である。というのも、同じ火属性の能力でも蝋燭に火を灯すだけのものもあれば、町1つを燃やし尽くすほどの能力もある。そんな様々な能力の中でも、彼の能力は上位の方に入るのだ。
「そのネーミングはどうかと思うがな」
「うるせぇ。自分で付けられるんだ、カッコいいのが良いだろ」
能力の名称は自分で付けられる。能力自体も自分で成長させていくため、そのような自由も与えられている。
「ところで、見たところあの子の制服、エデンの学校のものじゃないみたいだが?」
「分かるのか!?」
「いやあ、エデン中の女子高生の制服は熟知してるからな。はっはっはっ!」
黒神は若干嫌悪の念を抱いた。本当にこいつと親友になって良かったのか、とまで考えてしまう。
「つーことは、外界から来たってことか?」
「なーんで少し距離を取ってるのかは知らないが……恐らくそうだろうな。となると、終夜は侵入者の手助けをしてしまったってことになるな!!」
赤城に言われて、黒神は気づいた。
(あれ、これってかなりまずいんじゃね?)




