第一章 似すぎる姉妹(1)
1月7日。
黒神終夜の通う不知火高校は、この日から学校が再開する。他の学校に比べると少し早いが、その代わりに長期休業に入るのが他の学校よりも早い、という調整が為されている。
さて、黒神終夜の年末は激動であった。
12月24日に路上に倒れていた朝影光と出会い、翌日にはコルンで彼女と戦った。さらに、その日の夕方には公園で特訓をしていたところ、朝影の所属する『楽園解放』の隊長である神原嵐に叩きのめされた。
その翌日の12月26日、朝影救出を目的として黒神は親友の赤城焔と共に、神原と再び戦闘。様々な策を駆使して、神原に何とか勝利した。
その後、何やかんやとあり、何故か朝影と同居することに。
その忙しさは年が明けても変わらず、結局正月も自分の時間というものが確保出来なかった。
ところで。
長期休業の際、学生にはあるものが課される。それは宿題である。
殆どの学生はそれを休業の後半になって急にやりだし、前半に終わらせていた学生(ごく少数)はそれを見て、得意げに笑う。それに加えて、宿題を計画的にやる者もいる(こちらもごく少数。最初は計画通りに進むが、途中で挫折する者多数)。
ここで、黒神のケースを見てみよう。
元々彼は、宿題を計画的に終わらせる派である。しかも、計画をきちんと実行出来る人間だ。
だが、昨年末から今日にかけての出来事は明らかに計画外であり、彼が立てていた計画は狂ってしまった。
何が言いたいかというと。
彼は今、終わっていない宿題の山を見て、恐怖に打ち震えているのである!!
「どうしてこうなったんだ……」
彼は学校へ行くために制服に着替えながら呟いた。狭い部屋の真ん中に置いてあるテーブルの上には、殆ど白紙の宿題が積んである。
冬休みは期間が短いため、夏休みなどよりは宿題の量が少ないのだが、それでもかなりの量が積んである。
「貴方が怠けてたからでしょ。諦めて早く行ってきなさいよ」
ロングストレートの青髪、透き通った綺麗な青い瞳の少女、朝影光はベッド(元は黒神のもの)に寝転がったまま気だるげに言う。
「怠けてたって……あのな、この状況は大部分がお前のせいなんだからな?」
「少なくともここ3日間はやる暇あったでしょ……まあ、私のせいだと言うのは否定できないけど。でも、もうリミットは来ちゃったわけだし、覚悟決めなさいよ」
ちなみに、朝影は未だにどこかの学校の制服姿である。とはいえ、同じものを着回しているのではなく、スペアとして持ってきていたもう一着とを交互に着ている。エデン破壊作戦は2日間を予定されていたらしく、そのためにスペアを持ってきていたのである。
「つーかお前、学校行かなくていいのか?」
「行きたくても行けないんだから仕方ないじゃない。それに、今は自由に動けるほうが助かるわ」
「まあ……別にいいけどよ。外に出るなら鍵閉めとけよ」
「盗られる物なんか無いじゃない」
「うるせぇよっ!!」
ベッドに寝転がっている朝影は膝を立てており、ツッコミをした瞬間に彼女プリッツ柄のスカートの中が見えてしまいそうで、黒神は慌てて目をそらす。朝影は気づいてないらしく、寧ろ寝返りをうつ際に際どい状態になってしまう。
「と、とにかくだ。戸締りとかはしっかりしてくれよ!」
「もう、分かったわよ」
黒神は部屋の鍵のスペアを朝影に渡している。居候である以上は持っておいてもらわないと困る、と判断したからだ。
「それから、服を買って来いよ。その、一着くらいは買えると思うからさ」
「……そうね。今日は天気もいいし、行ってみるわ」
「一応家計は赤字まっしぐらだから、高いのは止めてくれよ」
「分かったから、早く行かないと遅刻するんじゃないの?」
「ああ、後下着もグホッ!?」
「とっとと行け!!」
飛び起きた朝影の見事な蹴りをくらい、転がるようにして黒神は玄関のドアにぶつかる。その拍子でドアが開き、彼は外にでた。
白のシャツの上に黒いブレザーを羽織り、紺色のズボンを履いた黒神は立ち上がり、埃を払うと、顔を赤くして玄関に仁王立ちしている朝影に向かって、
「いってきます」
「いってらっしゃい」




