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第三章  死力の再戦(6)

「足音がするなァ。まさか、来たッてのか?」


 神原は誰かがビルの階段を上ってくる音に顔をしかめる。

 対照的に、壁にもたれかかっていた朝影は表情が少し明るくなった。


「はァ、あんだけボコボコにしたッてのに……しかも、もう1人いるみてェだな」


 2人が想像している人物は同じ人間だろう。神原は、面倒くさい敵として。朝影は、唯一の希望として。それぞれの認識は違えど、その対象は1人。

 そして。


「見つけたぞ……神原……ぜぇ、ぜぇ」


 神原たちがいた部屋のドアは壊れていた。そのため、膝に手をつきながら息を切らして、それでも啖呵を切る黒神の姿は丸見えだった。彼は死にそうな表情をしている。

 なんとも、ダサい登場である。


「戦う前から疲れてるなんて、一体どォいうことだァ?」


 実は、ここに到るまでに黒神たちは3つのハズレを引いてきた。なので、もはや体力がピンチなのだ。


「お、おい終夜! 待てって言ったろ!!」


 続いて、赤城が上ってくる。黒神とは対照的に彼は特に息が上がっている様子はない。

 能力者が受ける授業の中には、戦闘訓練が存在する。それを受けていた赤城は黒神よりも体力量が格段に多い。というか、黒神の体力が少なすぎるだけのような気もするが。


「っ! あんたが神原か……」


 赤城と神原、2人は初めて視線を交える。


「ッたく、面倒くせェことになッたなァ。で、どッちが来るんだ? 別に2人同時でも構わねェぞ」


 神原は先ほどまで座っていた椅子を蹴飛ばし、戦闘区域を確保する。


「そんなの……おえっ、俺に決まって――」

「無茶だろ。吐きそうだし……俺が行く。終夜はその間に体力を回復させろ」


 そう言うと、赤城は黒神の前に出た。その表情に、余裕は見えない。


「焔……」

「俺にもいい格好させろよ。ああそれと」


 赤城は無理矢理笑顔を作って、黒神のほうを見た。そして、こう告げる。


「別に、俺が倒しても良いんだろ?」


 次の瞬間、赤城の体は炎に包まれた。

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