第二章 復活の覚悟(3)
「さて、情報をまとめとくか」
現在、エデンには『楽園解放』のメンバーが侵入している。その人数は不明だが、最低でも神原と朝影を合わせて2人。
だが、朝影に敵対心は無い。寧ろ、黒神とは協力関係にある。
ならば、現在の脅威は神原ということになる。
そして、その神原の能力は未確認。黒神に対しても、朝影に対しても能力を使ったような素振りは見せなかった。
「怪しむなら、最後に終夜の光線をかき消したってところだが……能力を無効化するのかもしれないな」
そうなるとやっかいである。どんなに強力な能力を放ったところで、無効化されてしまうのでは勝ち目などない。
「だが、必ずどこかに欠点がある。終夜は、気になることはあるか?」
「1発目。1発目の光線は当たったんだ。狙いがそれて頬をかすめた程度だけど……」
「なら、頬が弱点かもしれないな。そこだけはガードできないとか」
赤城は顎に手を当てながら考える。
「まあ、なんにせよ、やっぱり欠点はあるんだ。そこを突ければ勝機はある。可能性はゼロじゃない」
黒神は、両拳を握り締めた。
同時に、赤城を一瞥する。
(俺は、最高の親友を持ったな。本当に、最高の)
彼がいなければ、黒神は今頃廃人と化していただろう。赤城はもう一度立ち上がる理由をくれた。彼のためにも、そして朝影のためにも、拳を握らなければならない。
「焔……」
「ん、どうした? ああ、お前の入院は大事をとってのことだから、外出は自由だぞ。最近の医療は凄いよな――」
「ありがとな」
赤城は驚いたような顔で黒神のほうを見た。
「へっ、なんか照れるな」
「……止めろよ、こっちまで恥ずかしくなってきたじゃねぇか」
2人は顔を見合わせ、大声で笑った。そして、お互いの拳を突きあわせる。
覚悟は決まった。
少年は、もう一度死地へと足を踏み入れる。
今度は親友と共に。




