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序章 心の声~side:H~
あの日から、私の青春というものは消滅した。
ただ1人の肉親を奪われてから、私は孤独だった。いつもいつも、1人。学校でも、家でも。唯一、『楽園解放』だけが私の居場所とさえ言える。
今の私をお姉ちゃんが見たら何て言うだろうか。私よりもずっと優しい性格の彼女のことだ、友達くらい作りなさいと言うかもしれない。もしかしたら、彼氏を作れとも?
その答えを確かめる術は、今は存在しない。だって、彼女が生きているのかさえ分からないのだから。
私は、エデンを壊せればそれでいい。私からお姉ちゃんを奪ったあの都市を壊せれば、それでいい。
そのためならば何でも利用する。
――それがたとえ、戦争だったとしても。