表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/311

第二章  動乱の産声聞こえし時(3)

 結局、黒神は朝影の姿を見ることなく登校した。

 教室に入るやいなや、茶髪ロン毛の少年、南波洋介(なんばようすけ)が話しかけてきた。


「よお終夜。冬休みの宿題は終わったか?」


 ニヤニヤしながら話しかけてくるのを見ると、彼は黒神の口から『終わっていない』という言葉が聞きたいようだ。


 だから、黒神はこう返した。


「終わったよ」


 実は、黒神は月宮姉妹の一件の後、入院している最中に宿題を進めていたのだ。基本的には自分でやっていたのだが、時折早織や朝影に手伝ってもらいながら。


 そして正に昨日、コンプリートした宿題を各教科の教員へ提出し終わっていた。


「ふはは、いつまでも怠けてる黒神君ではないんだよ!!」


 黒神の勝ち誇ったような笑いが教室に響き渡る。周りの生徒からは白い目で見られていたが、彼は気付いていなかった。


「ま、まさか終わらせてるなんて……俺と同じくらい忙しかったはずなのに……」

「おい、洋介。お前もしかして……」


 笑うのを止めて、黒神は俯く南波に恐る恐る声をかける。すると、南波は目尻に薄っすらと涙を浮かべながら、


「うるせぇ! 終わってねぇよ!! 終わってねぇんだよぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!」


 まるで子どもが口喧嘩に負けたかのように喚き、南波は腕で目を覆いながら教室の外へと走っていった。その背中は、何となく小さく見えた。


「な、何なんだあいつ。つーか、俺よりも好条件なのに終わってないってのはどうなんだ?」


 南波の言葉に気になる点があったものの、首を傾げながら黒神は自分の席に座り、1時間目に使う教材を取り出しながら、近くの席のクラスメートと話したりして時間を潰した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作投稿開始しました→「風と歌と勝利のΔ(ラブ・トライアングル)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ