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第一章  歓談部の平和な日常(8)

 『永続模倣』は、1度コピーした能力ならば何時でも使えるという性質を持つ。これの強いところは、『見るだけ』でコピー出来ることだ。さらに加えて言えば、たとえ相手がどんな能力者であろうが今までコピーした能力を用いて対応できるというところか。


 いずれにしろ、敵からは最も嫌悪され、味方からは最も頼られる。それが『永続模倣』という能力である。

 さて、今黒神は形式的には藤原の敵だ。つまり、先ほどの前提に当てはめるならば――


「畜生ぉぉぉぉぉぉ!!」


 近づこうとすれば周りに電撃を放ち、遠くから攻撃すれば地面のアスファルトから形成した壁で光線を防ぐ。


 ようやく近づけたとしても身体強化の能力で全ての攻撃を受け止められる。

 結論から言えば、為す術がない。寧ろ、『二重能力』の方が敵からしてみればやりやすい相手かもしれない。


(でも、部長は弱点があるって言った。考えろ、あのチート能力の弱点はなんだ)


「考えてる余裕があるのかい?」


 逡巡した黒神の眼前に、藤原の顔が迫ってきた。彼の両手には炎が纏われている。


「く、うぬぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 だが、スピードは黒神が勝った。あと一瞬でも判断が遅れていたら届かなかったかもしれない。いや、反射的に出した拳だからこそスピードが速かったのか。


 予想外の展開に驚いた藤原の顔面に、白いオーラを纏った黒神の拳が突き刺さる。藤原も攻撃の体勢だったからか、今度はダメージを逃がすことが出来ず、彼の体は数メートル後ろまで吹き飛んだ。


「……? な、なんでだ!?」


 驚いていたのは、黒神も同じである。しかし、その理由は藤原とは異なる。

 すなわち。


「なんで今ダメージが通ったんだ……?」


 最初に殴った時には傷1つ付かなかったのに、ゆっくりと立ち上がった藤原の鼻からは少なくない量の血が出ている。


 ストレートの金髪も乱れ、唇にもかなり大きい擦過傷が出来ているようだ。


「ふふ、まさか間に合うなんて……にしても、凄い威力だね。これはもう攻撃を受けるわけにはいかないな」


 口から垂れる血をブレザーの袖で拭いながら、藤原は言う。彼が再び戦闘態勢に入るのと対称的に、黒神は拳を突き出した体勢のまま怪訝な顔をしていた。


(どうしてダメージを受けたんだ? 身体強化の能力を使えるのなら、さっきもダメージは通らなかったはず。考えろ、最初とさっきとで何が違った。何が……)


 藤原は両手に炎を纏って突進してくる。それを見て、黒神の中で何かが繋がった。


(分かったぞ、あの能力の弱点……いや待て、でもこれって弱点なのか?)


 そして再び、炎の拳と『氣』の拳がぶつかる。

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