終章 黒キ結末(1)
1月13日。それは、2つの光が少しだけ交わった日である。
が、それを語る前にまずは1月1日の顛末を記しておくとしよう。
赤城と氷川は無事生存。だが、氷川は『酸素増減』の過多使用により、視力が低下してしまった。とはいえ、近眼と言える程度だ。よって、現在彼女はコンタクトと眼鏡を使っている。
成宮と闇野の戦闘は闇野の離脱により中断された。原因は、爆発音だ。赤城が起こした爆発の音を聞き、闇野が突然離脱した。恐らく彼は全てを察したのだろう。すなわち、自身の作戦が『成功しなかった』と。
戦闘自体は、『白』の作戦が成功した形となる。成宮が率いる部隊によって、『黒』の支部は壊滅していた。これで、ホープの『裏』は『白』が制圧したこととなった。しかし、『黒』としては狭い領域の1つを失っただけに過ぎない。
つまり、実質的には引き分け――否、『白』の敗北であると言えよう。
『白』の損害は、『黒』よりも大きい。諜報部隊は『表』にいた者以外全滅、戦闘員も16名が死亡。合わせると、34人の死者を生み出す結果となった。
『黒』の損害は、支部の壊滅と40名の死者。確かに人数では『白』よりも多いものの、支部の人員であるため直接的な被害とは言えない。人命の重さでの比較は悪しきことだが、データ上はそう結論付けられる。
もちろん、戦闘員や『表』にいたメンバーは今回の作戦の結果に納得をしなかった。
だが、結局の所『白』は成宮に頼らなければならない。現状、彼以外にリーダーとしての資質を備えている者はいないのだから。消去法ではあるが、彼らは成宮についていくことを選んだ。成宮も、その判断に敬意を表した。
『白』と『黒』の戦いは続く。しかし、その決着は案外近くまで迫っているのかもしれない。