表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
133/311

第三章  覚悟ノ焔(3)

 その地には、幾度となく轟音が響いていた。

 戦いを終えて、その場に座り込んでいた者も彼らの戦いから目を離せないでいる。目の前に敵がいても、その場から動くことが出来ない。

 それもそのはずだ。なにせ、『裏』の二大勢力の頂点同士が戦っているのだから。


「清二、貴様弱くなったか?」

「黙れ氷河。君こそ、腕が落ちたのではないか?」


 成宮清二と闇野氷河。

 拳をぶつけ合い、回し蹴りを繰り出し、それを回避した勢いでまた拳を振るう。成宮が頭突きをすれば闇野は肘打ちでそれを受け止める。闇野が膝蹴りをすれば、成宮は闇野の膝を手で受け止め、その腹にもう片方の拳を叩き込む。


 一進一退。

 だが、彼らは未だに能力を使っていない。今行われているのはただの殴り合いだ。それだけなのに、まるで地が震えるような音がする。


「私は君をさっさと倒して、本部に向かわなければならない。だから早くそこをどいてもらおうか!!」


 口から血を吐き出しながら成宮は言う。


「連れないこと言うんじゃねーよ。もっと楽しませろよ」


 闇野は成宮の拳を姿勢を低くして避け、そのままタックルをしかける。それを避けられなかった成宮は後ろにあった壁に体を叩きつけられてしまう。


「ぐっ……氷河、君は――!!」

「またいつもの説教か? いい加減聞き飽きたぞ。貴様にも目的があるように、俺様にも目的がある。今更変わることなんか出来ねーよ」


「どうしてエデンを守ろうとするんだ!! エデンは皆を不幸にする。そんなもの、壊してしまった方がいいだろう!」

「ちげ-な。寧ろエデンを壊す方が皆を不幸にするんだよ。清二が抱えてる理想なんか知ったこっちゃねーが、それだけは確かだ」


 成宮は歯噛みして、腰にしがみついている闇野の顎に膝蹴りをした。闇野の体が一瞬だけ浮き、成宮の腰に回していた手が外れた。


 どれだけ議論しようとも、一方通行。交差こそすれど、同じ道に進むことは無い。

 成宮は闇野の体を蹴り飛ばし、壁から離れた。

 長年、彼らはこのようにして戦ってきた。そして、これからも戦っていくのだろう。


 突き詰めれば、『裏』とはこの2人の争いの場であるのかもしれない。

 再び、轟音が響いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作投稿開始しました→「風と歌と勝利のΔ(ラブ・トライアングル)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ