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第一章  初心者ノタメノ説明書(8)

 補給所の場所がバレないように何回か視線を別の建物に移しながら、2人はその場を移動した。


「ちなみにですが、さっきの本部はホープにおけるものです。カントリーやコルンにも本部……いえ、支部と言ったほうがいいでしょうか。それがあります。とはいえ、『黒』の本部はホープにはありません。彼らはカントリーに本部を構えています。具体的な場所は分かりませんが」


 その言葉に、赤城の心臓が跳ね上がった。彼は神原との戦闘の前に、神原が潜伏しているビルを探すために様々なビルに突入した。もしかしたらその時、『黒』に関係する場所に入ってしまった可能性もある。

 時間帯のせいとはいえ、『白』の本部に殆ど人がいなかったことを考えると、人がいないビルしか突入していないのに不安になる。


「何を怖がってるんですか? たとえ『黒』の反感を買うようなことをしても、結局は彼らと戦うことになるのですから一緒だと思いますよ」

「真って、凄いんだな。ポジティブの塊かよ」

「はは、何年も『裏』にいればこうなりますよ」


 狩矢は赤城と同年齢のはずだ。その彼が何年もここにいるのならば、彼は赤城が『表』で何も知らずに遊んでいた時から『裏』に身を置いていたことになる。



「ところで焔さん、気を抜いてはいけませんよ。襲撃は突然やってくるのですから」



 赤城が不思議そうに首を傾げた瞬間、パァンッ!! という乾いた音と共に前方から何かが飛んできて彼の頬を掠めていった。


「――っ!?」


 頬に手を当てると、鋭い痛みが走り、その手には少量の血が付いていた。その事実を認識した瞬間、赤城の体は狩矢に引っ張られて何かが飛んできた方向からは見えなくなるよう、壁の影に隠れていた。


「驚きましたか? マズルフラッシュが見えてたので、恐らく下っ端でしょうね」


 清清しい笑顔で話しかけてくる狩矢に、高鳴った心臓が少し落ち着いた。このような状況では寧ろ、彼の態度が救いとなる。


「これが、『裏』の常識です。早く慣れてくださいね。ちなみに、下っ端ならマニュアル通り動いてくるでしょう。というわけで襲撃者は能力を使い始めます。銃器は乱戦でもない限り不意打ちでしか使いませんから」


「ま、待ってくれ。今そんなこと言われても……」

「泣き言は後で聞きます。今は必死に動いてください。でなければ」


 狩矢はそこで一呼吸置くと、小さく低い声でこう告げた。



「死にますよ」


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