表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ビビりすぎだぜ、歳さん!  作者: 夢辺 流離
5/38

回想 そして伝説(ニート)へ

 弘化元年(1844)、歳三の母代わりでもあった姉ののぶが佐藤彦五郎の元に嫁いだ。

佐藤彦五郎は日野宿の名主である。


 これを期にのぶと歳三の縁が薄れたかというとそんなことはなかった。

「おう、おめーがのぶの言ってた歳三か。こいつは悪そうな面してやがるぜ」


 初対面での第一声がそれであったが、不思議とお互い気を許しているようで、歳三は度々彦五郎の元へ訪れ、彦五郎もまた歳三のことを可愛がった。父の跡取りとなった喜六は忙しく、もう一人の兄為次郎は病気により、視力が無くなったこともあり、本当の兄のように感じられたのが彦五郎だったのだろう。彦五郎にとっても実際に会ってみた歳三はのぶの言うとおり、を通り越してとんでもない人材だ、と思った。

ことあるごとに何かを教えてみれば、綿が水を吸うように吸収していくのを目の当たりにすれば育てがい、だろうか、教える方も楽しくて仕方がないといった様子で、のぶからすれば手間のかかる弟が2人になったような気もした。



 浅川の氾濫により、家が流され、家を移したりといろいろと事件はあったが13歳になった頃、歳三は奉公に出た。末子の歳三は当然ながら家を出て身を立てていかねばならない。彦五郎の元へ通う度にのぶに心配をかけるのも嫌だった。


 丁稚のころから才覚を現し、旦那に気に入られるも、番頭らから目を付けられ、あることないことを押しつけられたり、言いつけられたりとうんざりすることが多かったが、姉に心配をかけたくないがために10年間の奉公を勤めあげたのだった。


 しかし、歳三が抱いたのは「虚しさ」であった。

結局のところ、奉公に言った先でもあの様である。

商人としてやっていこうと思えばできないことはない。

だが、それほど「やりがい」があるとはとても思えなかった。

23歳の歳三の展望は果てしなく暗かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ