後の隊長達
「なぁ、八っつぁん、あの野郎をどう思う?」
「あぁ?」
唐突に話しかけられた八っつぁんこと永倉新八はいきなり話しかけられ、振り向いてみればその相手が歳三で2度驚く羽目になった。
4つ年上のこの男は無愛想で自分から話しかけてくることが希だったからだ。
呆っとしていると、小突かれて顎で誰かを差す。
その先にいたのは最近客人として加わった山南敬助である。
「どうもこうも、なぁ。お高くとまった野郎かと最初は気に食わなかったが、はなしてみると案外つきやすい人だぜ」
「そうか」
自分から聞いてきておいてそれであるから、
新八があんたよりよっぽどな、と小声で呟いたのもまんざらではない。
「だいたい八っつぁんってなんだよ」
山南が加わるようになってしばらく、姿を見せなくなった山南を心配して藤堂平助が表れ、キッと睨むなり、
「俺と勝負しやがれ!俺が勝ったら山南さんを脅すのはやめて返してもらおう」
と大音声で叫んだ。
「おいっ藤堂君」
山南が宥めようとするも聞かず、面白がった近藤さんが
「うむ、やろう」
と言い出して始めてしまった。
キレのよい動きではあったが、そこは経験の差か、近藤が危なげもなくあしらうと
「もう一度!」
と幾たびか繰り返された。
息が上がり、身動きできない平助に、
「技は未だ未熟なれど、その域やよし!なんなら君もうちの道場にどうか?」
と声をかけた。
幾度かの打ち合いで感じるものがあったのか
「気が・・・向いたらな」
とふてくされたように言っていたがその後2日と空けず通っている。
聞き出してみると、
「山南さんが道場に姿を見せなくなって、心配して後をつけてみれば、試衛館道場に度々詰めている。こんなボロ道じょ・・・」
と言いかけたところで周囲から視線を浴びせられ、「何か不都合があって通うのを強いられているんだと思いこんでしまったのです」
「ここはね、なぜだか居心地がいいんだよ」
という山南の一言が妙に印象的だった。
新八は周助が連れてきた客分だった。
馴染みの飲み屋で息が合い、つい飲み過ぎたのか眠ってしまった周助を連れてきてくれたのが新八だったのだ。その日泊めてもらった新八だったが、翌朝聞いてみれば武者修行の途中で金欠気味だというので、周助が昨晩の礼にしばらくうちを好きにするとよい、といいそのまま知らず知らずのうちに客分になっていた。
酒やお金に意地汚いところも見せるが、基本的にまっすぐな性格で、誰かの意見を聞いて自分の意見を曲げることをしないので、この男の意見というものをそれなりに評価している歳三だった。
町女に不埒を働いた男たちと共闘したといって連れてきた原田左之助や、斬り合いの挙げ句妙に気があったという斎藤一らも道場に顔を見せるようになり、道場の中は賑やかになっていた。
源さん「…ここまで一度たりとも描写がないですorz」