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真実の手鏡

「本来の姿……ってことは『リアルボディモード』ってことか?」


「はい、そうです。

 やっぱり兄さんとわかってはいますが、姿形も兄さんでいて欲しいので……」


「え~、でも本名プレイだし……他のじゃダメか?」


 名前考えるのが面倒だったから、本名にしたけど、リアルボディとの併用は避けたい。


「……むぅ、何でもって言ったのに。常識から外れているわけでもありませんし」


「ダメか?」


「仕方ありません、そこまで言うなら、私の初めてを……」

「よし、約束は約束だからな、うん、きちんと守らないと」


 この往来で何言おうとしてんの、この娘? それこそ常識外れの要求だし……常識の範囲内の要求を断ろうとした俺が悪いんだけどさ。リサもそれを見越しての要求なんだろうけど。……その証拠に頬が赤らんでるし。


「……まぁ、冗談ですけどね…………ちょっと残念です」


「リアルボディモードってどうやるんだ?」


 やるつもりがなくて説明聞き飛ばしてたからわからん。


「システムウィンドウからインベントリを開いて、重要アイテム欄にある『真実の手鏡』を使えばできますよ」


 手鏡、ね。大昔、VRが未来の技術だったころに一世を風靡したVRMMOを舞台にしたラノベで、アバターをリアルの姿にするアイテムも手鏡だったっけ? そのオマージュかな?


 リサに言われた通り操作して『真実の手鏡』を取り出し、己の姿を映す。


『アバターを現実の姿にします。よろしいですか?

※使用すると『真実の手鏡』は『夢想の手鏡』となり、『夢想の手鏡』を使うと現在の姿に戻れます』


 するとメッセージウィンドウが現れ、使用確認される。

 できればOKしたくないが……ま、仕方ないか。

 OKをタッチして、『真実の手鏡』を使用すると、一瞬身体が輝く。


「……ん、これでこそ兄さんです」


「「「え?」」」


 どうやら現実の俺の姿に戻ったらしく、リサが満足の、俺らの様子を傍観……と言うか、美少女なリサに声をかけようと隙を伺っていたギャラリーが困惑の声を出す。

 自分でも確認すべく『夢想の手鏡』に姿を映し、メッセージウィンドウを無視しながら中を覗きこむ。するとそこに映っていたのは──


「やっぱり兄さんは銀髪に黒瞳の美人さんなのが一番です」


 自分で言うのも難だが、美人と表現してもあまりのある美貌だ。


「「「銀髪美少女キタ────\(・∀・)/─────」」」


 ただし女顔のな!


 この銀髪からわかる通り俺、そして青瞳のリサは純粋な日本人ではない。リサはまだ眼が青いだけで他は日本人なのだが、俺に関しては顔立ちも日本人ではない。ついでに言うと黒瞳も、日本人ならは物凄く濃い茶色なのだが、俺のは物凄く濃い青なので日本人の特徴がないとさえ言える。


「ねぇ、君たち、良かったら俺らとパーティー組まない?」

「あ、てめ、抜け駆けすんなよ!」

「るっせぇ! 早い者勝ちだ!」


 俺の姿を見た衝撃からいち早く立ち直った奴が俺らをナンパするように誘うと、連鎖するように他の奴らも正気に戻る。そしてそれと同時にナンパ男を責めだして騒ぎになる。


「……だから、嫌だったんだ」

「あはは、やっぱりこうなっちゃいますか」


 俺とリサが並んで歩いているとよくナンパされるので慣れた光景ではあるが、やはり俺相手に欲情する男はキモい。

 だから精悍系の男にしてたのに……。つーか、コイツらさっきまで男顔で、リサが兄さんって呼んでたのに即女扱いってどうなの?


「逃げるか?」

「ええ、逃げましょう、兄さん掴まってください……《忍び足》」


 いつも通りリサの手を握り逃走を開始。いつもと違うのはリサがゲームシステム上の何かをしたことだ。

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