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武器選び

「さて、それじゃあ、武器に慣れましょうか」


「ああ、そうだな、爺さんのことを考えてても時間の無駄だし……」


 爺さんのたちの悪さは手に負えるもんじゃないからなぁ……、とりあえず今後も似たような罠があることを覚悟しとくか。


「リサがそこまでやったからには、キャラクターリセットなんてできないしな」


 さすがにキャラリセは、β特典を不意にしたリサに悪いだろう。……たぶんリサは笑って許してくれるだろうけど。


「あれ? 兄さん、キャラクターリセットをするつもりだったのですか?」


「ん? 何か問題でもあったのか?」


 だが、その予想に反しリサはキャラリセに反対だったようだ。


「ええ、キャラクターリセット後は二十四時間ログインできなくなりますから。安易なやり直しはダメだそうです。

 ちなみに今のところ一アカウントにつき一キャラクターなので、別のキャラクターをつくるのも無理です」


「うわぁ、とことん厳しいな」


「まぁ、この辺りもお爺ちゃんらしいですよね」

「まぁな」


 俺らの爺さんは遊びに関してはとことん厳しい。ズルなんかは絶対に許さないし、子供相手でも勝ちは譲らない。遊び以外には結構ユルいのだが、遊びには……いや、遊びにこそ真剣になるタイプなのだ。


「普段はリサにダダ甘のクセに、ゲームでは絶対手を抜かないくらいだからな」


「一応、手加減はしてくれてましたけどね……」


「あれか……」


 リサのいう手加減とは、格ゲーをリサとやりながら俺とオンラインのFPSをやる、というものだ。ちなみに結果はどっちもほとんどが爺さんの勝ち。リサにはほぼパーフェクトで、俺の方も短剣一本で、ほぼ一人で俺のチームを制圧するといった具合だ。

 うん、爺さんは本当に人間なのか激しく疑問だ。

 ……って、また爺さんの方に思考がズレたな。


「とりあえず武器は何にするかな……。リサはβのときは何を使ってたんだ?」


「私は短剣と爪ですね。格闘系スキルは武器持ちだと発動に制限があるのですが、《格闘武器スキル》に対応している小型武器だとその制限がユルいんです。特に爪に関しては制限がない状態ですね。まぁ、その代わりに威力が低めなんですけど」


 ふむ、格闘系スキルは装備で制限あり……つまり、大型武器だとアーツが発動しないって考えた方がいいか。《格闘スキル》を無駄にしないためにも大型武器は却下だな。


「兄さん、双剣なんかはどうですか? 兄さんは双剣に必須な《武器防御》を取ってますから、向いていると思いますけど」


「う~ん、それだと両手がふさがるからな……」


「《二刀流スキル》を取ったら《片手剣》のアーツも使えるようになるのでオススメなんですけどね」


 このゲームでの双剣の扱いは片手剣を左右の手に装備するのではなく、双剣というカテゴリの武器を装備するのだが、二刀流は先に述べたものを可能にする制限解除系スキルなのだ。そうすると片手剣と双剣のアーツを両方とも使えるようになる。

 《片手剣》と《双剣》と《二刀流》はテンプレ構成の一つのようだ。


「ちなみに、両手剣で片手剣アーツを発動できるようになる《片手持ち》を併用して大剣二刀流なんてことをやってる人もいましたね。要求Strが大きすぎてイロモノ扱いでしたけど」


 イロモノではあるが、ハマれば強そうな構成だな。


「うーん、まぁ、最初の予定通り一通り使ってから確かめるか……まずはオーソドックスな片手剣から……」


 そう言って、俺は訓練場にいる間のみインベントリに追加されている『訓練用武器』から『訓練用片手剣(片刃)』を取り出す。


「そうですね。せっかく《全武器適性》を取ってるのですから、一通り試してからでもいいですね。

 それじゃあ、早速やりましょうか」


 すると、リサもインベントリから短剣を取り出し……お互いに距離を取って構える。


「ああ、現実リアルでは最近負け越してるけど、こっち(ゲーム)では負けんぞ」


「ふふっ、このゲームでは私が先達なのですよ。これから私が兄さんに手取り足取り指導するために勝たせてもらいます」


 現実リアルでも武術をやっている俺たちは、武器の扱いは素振りなどではなく、実際に戦って確かめた方が分かりやすい。



「それじゃあ……」

「ええ」


「「征くぞ/征きます!」」


 だから、お互いの武器を手に戦いを始める。










「結局、兄さんは片刃の片手剣で盾無しにしましたか」


「ああ、片手剣なら足と片手が空くからな」


 リサと一緒に色々武器の使い心地を確かめた結果、片刃の片手剣になった。

 ……え、勝負の結果? ははっ、ぼろ負けしましたよ。うん、リサちゃん強い。

 まぁ元々リサの方が強い上に、《全武器適性》と《格闘武器》の二つ分のステータス補正があるし、そもそもこのゲームはリサの方がやり込んでいるんだから勝てるはずがなかったよな……。

 一応、リアルでも俺の方が巧い弓や投擲武器での射的勝負は俺が勝ったけどな。


「とりあえず、訓練場ここで上げられる上限までスキルレベルを上げたし、そろそろ外にでるか」


 訓練場ではスキルレベルを五まで上げられるので、全スキルをそこまで上げた。ちなみに万能スキルはやっぱりと言うべきか、レベルの上がりがかなり遅かった。


「あ、兄さん、そろそろ時間ですよ」


「ん、もうこんな時間か。…………なぁ別に明日でも、いや、明日の方がよくないか?」


「絶対今日じゃないとだめです! 毎年毎年同じことを言わないで下さい」


 何で毎年同じことを言ってるか考えて欲しいんだがな……。


「いや、でも今年は父さんも母さんも忙しいし……」


「その忙しい中、無理言って予定を開けてもらったのですからぐだぐた言わず、帰りますよ」


「ああ、わかったよ」


 結局リサの説得はできず、訓練場を出てログアウトしてゲーム初日を終えた。

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