Section4
Gilles
――待ち合わせの時間までまだもう少しあるけど、ラルフを除いて既に4人は集まっていた。
ティアナとルシェルナ、そしてクレアは楽しそうに話している。
ラルフはいつもこんな感じで時間とかにかなりルーズだ、そしてそもそも研究会の正式なメンバーではない。
それでも、ちょくちょく研究会に顔を出しては僕たちと雑談したりしてくれるので僕としては嬉しい。
こうして旅行のような行事にも参加してくれるし。
……そんな感じだけどなかなかいいやつだと思う。
と、こんなこと考えている間に――来たみたいだ。
「遅れてすまん、ちょっと寝坊してた」
「遅いよラルフー!私待ちくたびれちゃった」
ティアナは文句言ってるけど、さっきまで楽しそうにルシェルナやクレアたちと話してたよね……
「……それじゃあ、みんな集まったことだし行こうか」
僕は区切りをつける。
出発の時間ももう少しだし。
……でも、これからのことを考えると少し楽しみだ。
出発にあたって、僕はあらかじめ買っておいた切符をそれぞれみんなに渡していく。
電車に乗るまでにティアナは早くもおろおろしていた。
ティアナはちょっと目を離すとすぐこれだ。
「ええとええと……ジル、どっちに行けばいいの?」
「……僕について来てくれればいいから。頼むからあちこち勝手に回らないでね」
「……ぅ」
「ティアナ、一緒に行けばいいでしょ?みんなで楽しく一緒に回っていこう!」
「ルーシェちゃんがそういうなら……私おとなしくする!」
どうやら僕よりもルーシェのいう事のほうが効果があるみたいだ。
なぜだかルーシェとすぐ仲良くなっちゃって僕の言うことを聞いてくれないと勝手に行動しそうで心配だけど……
でも、ティアナはルーシェと気が合うみたいだし、ルーシェにもティアナの事を見てくれるように頼んでおいてもいいかもしれない。
それに歴史研究の一環とはいえ、せっかくの旅行だし、あまりトラブルなどは起こしたくない。
そんなこんなで、皆電車に乗って……
――僕たちの旅は今、始まった。