Section18
Sierra
先日の会議でブロンシェルの参戦が明確になり、ミネラドロワとブロンシェルはその後正式に同盟を結んだとアルフォンスから聞いた。
現在も国境付近での争いは絶えないらしい。
一方私たちの国、アルジェントでは公式に立場を示しておらず、事実上中立の立場を取っている。
私がこの前会議に出席したときは、国境の警備とか軍備の拡大とかを決定したけど……どうなったんだろう
いまいち事態がちゃんと把握できなくてちょっと困る。
(――最近エルナとも話してないし……)
私ももう一度アルフォンスから色々と事情を聞きたいんだけど、私の家エルスリール家では連日大忙しで予定がなかなか合わない。
アルフォンスはアルフォンスでまた予定があるみたいだし。
――忙しいというのは、私自身の問題もあるんだけど……
エルスリールの当主に正式に就くことになってから、父と交流があった家柄の人とかいろいろと顔合わせをしたり、筆頭四家の会議に呼び出されたりと時間が空かない。
現に今も明日の会議の内容の整理に追われているし……
「お嬢様、よろしいでしょうか?」
「あ、ちょっと待ってて」
マリエルが突然来て、なぜか私は焦る。
とりあえず書類をまとめて並べて軽く整理整頓していく。
……なんだかこれも、最近身についてきてしまっている。
いいのか悪いのかわからないけど――一応ちゃんとこなせるようになってるからいいのかな?
そんなことを考えながら私はマリエルに声をかける。
「マリエル、もう入ってきていいよ」
「それでは、失礼いたしますね」
「ええと、どうしたの?」
「ちょっとお話がありまして……」
(――う、マリエルが話をすると言ったら大抵はまともなことに違いない……)
最近疲れ気味だから少し休みたいんだけど……
「お話?何についての話?」
私は仕方ないけど、まともな話を聞く時は聞かないと!
そんな風に構えた私だったけど、予想とは裏腹に意外な答えが返ってきた。
「お嬢様、あまり無理なさらないでください」
「……え?」
「最近のお嬢様は、以前と確かに変わられて立派にお仕事などもこなしていますが……」
「その、ご自身のお体の心配やエルナお嬢様とまたお食事をなされたりしてもいいのではないかと私は思うのです」
なんというか、別の意味で予想通りだった。
(――やっぱりマリエルも心配しているんだよね…)
確かに、最近切羽詰ってる感じはするし、すこし気分転換するのもいいかもしれない。
だけど明日は会議だし……いつなら大丈夫なんだろう……
そんな私の様子を察したのか、マリエルは言う。
「お嬢様、来週のこの日ならラインブルク家の方も予定がないそうです」
「その日なら……大丈夫かな?」
「あらかじめ私も調べておきましたので、おそらく大丈夫かと思います」
「うん、なんか心配かけてごめんね……」
「……とんでもないですよ、お嬢様」
「え?」
なんだかんだで私はマリエルに心配をかけてしまっていると思う。
最近は前ほど話もしなくなっちゃったし、いろいろ心配するのも無理ないと思うんだけど……
「お嬢様は最近頑張りすぎです、全て自分でやろうと思わずに私たち使用人にできることがあったらなんでも言ってくれて構わないのですよ?」
「そうなんだけど……私の仕事みたいなものだしちゃんとやらないといけないかなと思って――」
「わざわざ部屋の掃除までご自分でなさらなくても……お嬢様が本当にご自身でしたいというのならもちろん構わないのですが……」
マリエルの言うとおり、自分でも全て自分自身でやらないといけないみたいな強迫観念みたいなものが最近はあるのかもしれない。
そう考えると、流石に自分で言うのもなんだけど頑張りすぎな気がしてこなくもない。
――お父様が亡くなってから、自分が責任を果たそうとするばかりになって周りが見えてなかったのは事実。
「そうだよね、じゃあ部屋の掃除は今度からお願いしようかな」
「わかりました、お嬢様、これからも腕をかけてお掃除しますね」
「うん、いつもありがとうねマリエル」
「いえいえ、これは私の仕事ですので」
そう言うとマリエルは、もう一度体に気をつけてと言ってから私の部屋を出て行った。
(なんだかマリエルに言われて少し休みたくなっちゃった……)
そう考えると急に眠くなってきてしまって、その日はそのまま寝てしまった――




