Section10
Gilles
歴史資料館を出た後、僕たちは集合場所のクラクスの駅前に向かっていた。
ルシェルナも僕も、ミネラドロワの歴史だけでなく、当時の隣国の歴史なども再確認することができてよかったと思う。
「ジルって案外変で面白いところあるんだね!」
「え?」
「なんかしっかりしてる感じだったから、資料館であんなに騒ぐとは思わなかったもん」
ルシェルナに言われて気づいたけど、そういえば騒いでたかもしれない。
……なんか自分でも気づかない間に恥ずかしいことをしていた気がしてきた。
「僕そんな騒いでた?」
「ラルフに注意されてたじゃん!」
「あぁ、そういえば……そうだったね」
確かにラルフに注意されたな。
歴史というか、自分の好きなことに没頭していると周りが見えなくなるのは僕の悪い癖だ。
かなり自分でも熱中してるものではあるけれどそれはそれこれはこれ。
これから気をつけることにしよう。
……そんなことを考えている間に待ち合わせ場所の駅前についた。
「……なんか、ティアナ達遅いな」
ラルフがつぶやく。
「そうだね。もう待ち合わせの時間からもう20分くらいは過ぎてるかな」
ちょっと遅いような気はする。
まあ、クレアのことだから心配ないとは思うけど……少しは気にする。
「あ、クレアとティアナ来たよ」
やっぱり、クレアなら心配なかったか。
大方、ティアナがまたなんかして……とかどうとか、というところだろうと思うけど。
「ルーシェちゃんだー!」
「うわぁ!」
相変わらずルーシェは大変そうだ。
ティアナは何にも知らずに抱きついてるけど。
そんな一方でクレアは遅れた理由を話してくれた。
「ごめんー遅れちゃった、ちょっと道に迷っててね」
「クレア、無事で何よりだよ。それはそうと、どこ行ってたの?」
「ティアナとクレープ屋さんに行くことにしたんだけど、ちょっと道に迷っちゃってね。結局ついたんだけど、帰りも道に迷ってこうなちゃった」
これは予想通り、かな。
ティアナに事実関係を聞いてみる。
「ティアナ、なんかした?」
「……う、ちょっと道に迷っちゃっただけだよ!私迷惑かけてないよ!」
たぶんかけてると思うけど……
まあ、クレアはそんなに機嫌悪くしてないみたいだし大丈夫そうだ。
「……はいはい、次からは気をつけようね」
「うん!」
何はともあれみんな何事もなくてよかった。
それじゃあもう時間も大分遅くなってきたし、宿に向かおうかな。
みんなに声をかけて宿に向けて出発することにした。
幸い、駅からそれほど遠くないのでここからは歩いて10分くらいの所だ。
ティアナ達が仲良くしゃべっているのを横目で見ながら僕たちは宿に向かって歩き出した――