Section49
Teana
――バスを降りて歩く。
途中休憩もとりながら、クレアちゃんやルーシェちゃんと話しながら……歩いていく。
歩く……の疲れちゃった。
「……ルーシェちゃん」
「ティアナ、どうしたの?」
「足疲れちゃったからおんぶ!」
「……え、私もそれはきついよ……」
うぅー疲れちゃったー。
足痛くて歩けない……
「じゃあジル、おんぶー!」
「ティアナ、もう少しだから頑張って」
「足痛くてもう動けないもんー」
「まったく……ティアナはいっつもわがままだなぁ」
ごめんね、わがままで!
でもちゃんとジルには感謝してるんだよー?
……言わないけどね。
「あ、ティアナみて!」
私が疲れてへとへとになった時だった。
道を抜けて目に入ってきた景色……
……私の、エルナの思い出の場所だった――
決してここにいい思い出だけがあるわけじゃないけど……でも。
エルナとアルフォンスが一緒に過ごした場所だった。
(――アルフォンス、200年もかけて戻ってきちゃった……)
心の中でアルフォンスに話しかけてみる。
おかえりなさいませお嬢様、とか今にも言われちゃいそうな雰囲気なんだよね……
でも、もう一度アルフォンスと話してみたいなぁ――
無理だとは分かっていても、話したいんだもん。
この場所に来ちゃったらなおさら!
……それにしても、ジルとは長いあいだ一緒にいたけど、まさかジルの叔母さんの家がここだなんて思いもしなかったよー。
もっと早く言ってくれれば良かったのに……
あ、でもエルナの記憶を思い出してないからここに来てもわからなかったかも?
「ティアナ、すごくいい景色だね!湖が透き通って綺麗ー」
「うんうん!ルーシェちゃんもそう言ってくれると思ってた!」
ルーシェちゃんだけじゃなくて、他のみんなもこの景色に見入ってるみたい。
「ティアナは昔ここに住んでたのか?」
珍しくラルフにも話しかけられる。
「うん、あ!ティアナじゃなくてエルナだけどね!」
「あぁそうだったな、エルナ・ラインブルクだったか?」
「そうだよー、アルフォンスと一緒にここに住んでたの」
一応ジルがラルフにも私やルーシェちゃんがエルナやシエラちゃんの記憶を持ってるってことを伝えたみたいだけど、伝わってるのかな?
アルフォンスの日記を私たちが見たときにラルフはいなかったから信じてもらえるかわからないけど……
「そうだったのか、すまなかったな」
……知らなかったから謝ってるのかな?
全然気にしなくてもいいのに。
「大丈夫だよ、あ、みんな行っちゃうからラルフも行こう?」
気づいたら景色に圧倒されちゃって疲れなんて吹っ飛んじゃったみたい。
……さっきまでおんぶしてもらわないとダメだったけど、自分から歩こうだなんて言っていた。
「そうだな、こんなところで遅れを取ると迷子になりかねないしな」
ラルフは迷子になってもすぐなんとかなっちゃいそうだけどね!
その後も景色の話や雑談なんかをしながら私たちは歩き続けた――