ファイル01 はじまりの夢、高校初日の朝
ところどころ、時系列が合わなかったりするとは思いますが、どうかご勘弁下さい。
また、誤字脱字も少なからず。
漢字も、読みが複雑な物を多用したがる癖があります。
グダグダな話や、主人公最強・特別etc.・・・のようなものも含む(だろうと思います)。
まだ、未熟ですが、もっとおもしろくしていければな、と思います。
「やった・・・」
そう、感嘆の声を漏らし、満面の笑みを浮かべる少年。
歳は14、5歳くらいに見える。
陽の光に燦然と輝く金髪に、透き通った深い、蒼の瞳。
少し、幼さの残る、中性的にも見える、整った顔立ち。
どこにでもいる、普通の少年に見える。
いや、金の髪と蒼い瞳は確かに、この世界では珍しいのだが。
それを含めても、普通に、どこにでもいそうな少年である。
しかし、少年の周りを見れば、明らかに、おかしいとわかる。
そう、今、少年は空中を浮遊していた。
「・・・よし・・・。
・・もう少し、ここを調節すれば・・・」
と言って、体を空中で動かす。
浮遊から、飛空へと段階を進める。
飛空の文字通り、空を飛んでいる少年。
そんな、空を自由自在に飛び回る少年は、思う。
もっと、空高く。
天に手が届くぐらいな高さまで、翔け上がろうとして・・・――――――。
――――――目を覚ます。
そこは、いつもの自分の部屋のベッドで。
少年は、
「・・・また、夢・・・だったのか・・・。
・・・飛空術式・・・か・・・」
そう呟き、体を起こす。
そして、学校へ行くための身支度を手早く始める。
そんな彼は、今日から高校1年生となる。
「王立・魔導士育成特別学校」の高等部である。
(以後、王立・魔導学校と略します。)
そして、彼が高校に進学したことから、彼を取り巻く世界は、動きはじめる――――――――。
戦乱へと――――――――――――。
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時は、18~19世紀、英国。
私達の世界とよく似ていて、どこか違う世界。
「魔導」と呼ばれる、超常の技術が認知されている世界。
人々は、「魔導」に関する事を生業としている者を「魔導士」と呼び、尊敬、畏敬を混ぜ合わせたような、複雑な羨望の眼差しを向けていた。
そんな中、国中・・いや、世界中から注目を集めることになる少年がここにいた。
その少年は名をヒューイ・リードと言った。
ヒューイはこの春、いや、今日から、晴れて高校1年生になる。
しかし、ヒューイはまだ、14歳な訳で。
本来、14歳はまだ、中学3年生のはずで。
だが、現に、ヒューイは高校へと進学している。
なぜか?
それは、ヒューイが、あまりにも優秀すぎるが故の、異例。
もともと、魔導に対する理解・吸収力が非常に高く、魔力も並大抵の量ではないヒューイは、国からも一目置かれている。
いや、ヒューイにはもう、国家魔導士として、実戦の前線で活躍することも容易いくらいの実力があった。
その証拠に、すでに、「魔導士」の目標のひとつである、国家資格の「国家魔導士」も、「国家魔導士Ⅰ種」、「国家魔導士Ⅱ種」ともに取得済みである。
しかし、まだ学生である為、「学生のうちは、勉学に励みなさい」という王の命に従い、軍での階級はもっていない。
本来、ヒューイであれば、小隊を率いれる程の実力があるというのに、今は、有事の際のみ、王直属の親衛隊長として、王を直接護衛しているのだ。
しかし、資格を持つということ、そして、王と面識があるということは、周囲には秘密にしている。
それは、あくまで軍での階級をもってはいないが、事実上、国家資格をもつ「魔導士」は強制的に軍に入れられる。
つまり、王直属という形で、軍に所属しているのだ。
故に、軍に所属している者や、関係のある者と同じ制約を受ける。
要は、守秘義務がある、ということ。
特に、王直属の親衛隊長であるヒューイは、通常では考えられないくらいに若い年齢で、国家資格を取得してしまったために、周りに狙われる危険もあった。
難関である国家資格を持つ魔導士は少ないのに、こんなにも才能と可能性に満ちた魔導士を失うわけにはいかない。
魔導士自体が少なく、魔導士の数がその国の力に結びついている、死活問題である。
そして、「学生」でなくなるまでは、「普通に生活させたい」という王の意向でもある。
もちろん、それだけで隠せるはずもなく、国からいろいろと措置を受けている「特待生」なのだと思われている。
学校側は、この真実を知ってはいるが、国からの直接命令によって、口止めをされている。
そして、ヒューイが中学二年生のときの冬、中等部の校長と、当時の担任が彼に告げる。
「もう、中学の全過程を修了してしまっている君には、春から、高等部に編入してもらうことになった。」
「すまんが、もはや、我々中等部の教師では手に負えない。
もう、私と同じ・・・いや、それ以上の知識と技能を身につけている。
学校側も、そんな君には、より高度な教育を受けられる高等部に行ってもらった方が
いい、という結論に至った。
すまない。
担任としては、来年も見てやりたかったんだが・・・・」
「わかりました。
わざわざ、ご報告、ありがとうございます」
そうして、飛び級し、高等部1年への編入が決まったのだった。
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そして、今日が学校の全学年の始業日となっていた。
もともと、優秀で、国から措置を受けている(と思われている)ヒューイは注目の的だったのだが、滅多にない飛び級をしたとなれば、なおさら注目を集めるのである。
そんな好奇の目線を全身に受ける、当の本人は、気にも留めない様子で、新しい自分の教室で、自分の席につく。
そして、鞄の中身を机の上に取り出して、並べる。
それから、授業で必要な物を残して、進級式に必要な物とそれ以外を机の中へとしまう。
その、一連の動作には、一切の無駄も、迷いもない。
洗練された動き。
本当に、(1歳のみだが)年下なのか信じられないくらいに落ち着いている。
誰も、その落ち着きように、声をかけられずにいた。
そんな中、ヒューイに声をかけた人物がいた。
「ハァイ!
ねぇ、あなたが、噂のヒューイ・リード?」
「ああ。
僕がヒューイだ。
何か、用でも?」
と、少し、喧嘩を売っているかのような態度をとるヒューイ。
しかし、それは、いい方へと転がる。
そんな態度にも、声の主は顔一つ崩さず、かえって、微笑を浮かべる。
それを見たヒューイは思う。
自分が一番苦手なタイプの女だな、と。
ヒューイに初対面で苦手意識を抱かれた彼女は、エレン・A・アレクサンダー。
エレンは、ヒューイが飛び級で、この学年に入るまでは、ずっとこの学年の主席だった。
苦手意識を持たれたとは、夢にも思わない彼女は、
「いえね。
“時の人”がどんな子だか見たくて、ね?
・・・そう。
あなたが・・・
あのヒューイ・リード・・・」
と、答える。
最後の方は、少し意味深な発言に聞こえる気もするが、ヒューイは気が付いていなかった。
そして、その会話は、ヒューイも案外、年齢に違わぬ態度をとってしまうくらいには、お子様なのだ、ということを表していた。
それに、周りの空気は一気に緩む。
緊張が解け、ヒューイに対して、好奇心を隠しきれない者は皆、声をかけ始める。
「お前が・・・・。
なぁ、俺、アンディ・スチュアートだ!
よろしくな!!」
「飛び級してきたんだろ?
すげーよなっ!
俺にも勉強を教えてくれよ!」
などなど。
エレンのおかげで、どうやら無事にクラスに馴染めた(?)ヒューイ。
実は、落ち着いているように見えて、ヒューイ自身も緊張をしていたのだった。
まだまだ、未熟なので、つまらないかと思いますが、「どうぞ、最後までお付き合いいただければな・・・」と思います。