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過去編中篇になってしまった。
短いです。そして今回も読みにくいです。本当にすみません。
出会うべくしてであった二人。
二人が出会うことは、思えば運命だったのかもしれない―――。
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ハーネット元公爵一家の一件から、オルは国の医療発達に力を入ていた。
当時、マクセス帝国は医薬品のすべてを輸入品に頼っていた。
貿易相手は、隣国セレナーデ国を仲介にはさんで、遠く東の国―――穂澄国。
帝国マクセスが存在する大陸、アルドトスにおいて、穂澄国からの輸入品の他国への分配、価格はすべてセレナーデ国が決定し、大きな利益を上げていた。
それは、逆に言えば、マクセス帝国は多くの金をセレナーデ国に払い、少量の薬剤を買わざるおえない状況だった。
医療にさける国の予算は決まっており、そのほとんどが、穂澄国の薬剤を買うのに消えていた。そのため、自国内での医療技術の発達はもちろん、治療法の発達などあるはずもなかった。
オルは、穂澄国とのマクセス帝国の直接貿易にて、薬剤はもちろんのこと、知識、技術を輸入しようと考え、目標としていた。
その足がかりに、隣国セレナーデで行われる建国記念パーティーを利用することを考えた。
穂澄国とセレナーデ国は、多国間貿易におけるパートナー。建国記念のパーティーならば、来賓として、国の重鎮を招いていると考えての行動だった。
アメリアの扱いは、帝国内では正室のそれと変わりなかったが、隣国のパーティーの同伴として伴うのは無理があった。また、幼いナーナ姫のことも考え、アメリアとナーナ姫を帝国においていくことに決めた。
はたして、この選択が正しかったのか。今でも私にはわからない。
けれど私は、忘れることは、ないだろう。
オルが、本当の愛を知った瞬間を、アメリアがいなくてよかったと感じたことを、普段のオルが、向けたことのない眼差しを、アメリアに見せなくてよかったと感じを・・・・・・きっと忘れはしないだろう・・・・・・。
もし、アメリアがいたならば、聡いあの子は気づいてしまう。
オルが、自身の過ちを理解したことに、今まで、アメリアに感じていた思いは、同情にしか過ぎないのだと言うことに・・・・・・きっとあの子は気づいていた。
長い月日を過ごし、すべてが、すべて同情だったとはいえないと、私は感じているが、オルは未だにそうだとは思っていない。
だからこそ、罪の意識にさいなまれている。
いっそアメリアがその場にいて、気づいていたらあんなことにはならなかったかもしれない。
けれど、オルは・・・・・・オルデロール・マクシオン=マクセスは、建国記念パーティーの会場で、運命に出会ったことへの後悔はしていないだろう。
運命・・・・・それは、当時はまだ、穂澄国第1皇女であらせられた、雪那王妃様に一瞬で目を奪われたことだった―――。
ここまで付き合ってくださってありがとうございます。
次こそは過去編完結を目指して行きます。
今後とも刹那をよろしくお願いします