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今回少し長めです。
その上、R15っぽい表現を含みます。
ご不快に感じる方は、読まないことをお勧めします。
夢を見た。
ずっと一人でいたのに、いつの間にか誰かに手をひかれながら歩く夢。
握られている手がとても温かくて、さびしいと思っていたことなんて忘れてしまった―――。
***
「雪……那……。」
ぼやけた視界、ぼんやりとした頭、けれど、名を呼ばれたほうに無意識に顔を向けた。
徐々に視界が開けていき、声をかけている人物が誰だかわかった。
「陛……下……。」
「雪那。良かった。3日間眠り続けていたのだぞ、大丈夫か。どこか痛みを感じるところはあるか。」
「いえ……大丈夫です。ここは……。」
「医務室だ。目が覚めたなら部屋に戻れるように手配する。」
「はい。ありがとうございます。」
ぼんやりとした思考回路で会話をしていた。
なぜ私は、医務室になどいるのだろう……。
ハッと気がついた。
ぼんやりとしていた思考回路が一気に動き出す。
「陛下。お怪我はありませんか。ナーナ姫は無事ですか。怪我は。」
息継ぎも無しに一気にまくしたてた。
陛下とナーナ姫にもしものことがあったら―――。
「王妃様、落ち着いてください。」
「宰相殿……。」
声をかけられるまで、宰相オリビア殿が医務室にいるなんて気付かなかった。
「皇女様はご無事です。怪我1つありません。ただ―――」
ナーナ姫に何かあったのだろうか。怪我はないとおっしゃっていたのに……。
「ただ―――王妃様がお怪我をなされ、お目ざめにならないことにショックを受けていらっしゃいます。侍女の話では、ここ3日は放心状態だそうです。」
早くナーナ姫にあって不安を解消してあげなくてわ。トラウマになってしまう。
何より私が、この目で姫の無事を確認したい。
「そこの唐変木……アッ違った。皇帝陛下も怪我なく、無事ですよ。王妃様のおかげです。」
……聞いてはいけない言葉が聞こえた気がした。しかも、そのまま流されてしまった。
「王妃様は、今しばらくお休みください。まだ、熱があるのですから。私は大臣や皇女様に、王妃様がお目覚めになられたことを、報告してまいります。」
「わかりました。お願いいたします。」
「お体に無理をなさらない程度でよいのですが、そこの唐変ぼ……皇帝陛下のお話を聞いて差し上げてください。では、失礼いたします。」
バタン―――
オリビア殿が部屋から出ていくと、沈黙が流れた。
「……。」
「………。」
「…………………。」
「……あの……陛下、宰相殿がおっしゃっていたお話とは……。」
沈黙に耐えられず、先に口を開いたのは私だった。
「………………。」
陛下からの返事はない。
私が寝込んでいる間に何か問題でもあったのだろうか。
思考をめぐらせている間に視界の端で、陛下が動いた。
ギシ―――
ベットがきしみ、陛下が私が寝ているベットに座った。
手が伸び、私の頬に陛下が触れた。まるで、何かを確認しているよう――。
この体温、私知ってる。さっきの夢の温かさと同じ。
ギシ―――
ハッと息をのんだ。
思考に浸っていた間に、鼻先が触れ合うほど近くに陛下がいた。
動いたのは陛下だった。
「雪那。雪那。雪那―――。」
幾度となく名を呼ばれ、口づけをされた。
徐々に口づけが深くなっていった。
ぴちゃ、くちゃ―――
卑猥な音で耳が犯されていく―――。
「ん…んん……はぁ……」
思考が跡形もなく溶けてた。
しかし、陛下が覆いかぶさり、胸をもまれた瞬間、思考が戻った。
私は今日、避妊薬を飲んでいない。
普段であれば1日くらい大丈夫だが、3日寝ていたなら、その期間飲んでいないことになる。
ダメだ―――。
ドン―――
思わず陛下を突き飛ばした。
「……なぜ、いつも俺を拒絶するんだ!!!」
陛下の顔が一瞬悲しそうにゆがんだ。しかし、すぐに怒りの色に塗り替えられた。
怒りに身を任せるように、陛下は襲いかかってきた。
「やめて、やめてください。お願い。ヤダァ……やめてぇ…おねがい。」
どんなに抵抗しても所詮怪我人の体力では、逞しい成人男性の体をもつ陛下にかなうはずもない。
その上、徐々に、身体が快楽という名の甘い熱に溶けていく―――。
ヤメテ……オ願イ…妊娠ダケハシタクナイノ……。
愛サレナイト知ッテイルカラ―――。
次回は、陛下視点です。
襲い掛かった理由とか書けるように頑張ります。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。