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久々すぎる投稿。みなさんお待たせしました。
君の姿を見ているだけで幸せだなんて嘘だ……。
その肌に触れ、体温を感じ、君のすべてをしゃぶりつくしてしまいたいんだ……。
だけど、恐ろしいんだ。もし、また君が泣いたら俺はどうしたらいい――。
***
雪那のもとに通わなくなって、3月が経った。
この3月はとても曖昧で、何も考えたくなくて、仕事ばかりをしていた気がする。
聞いた話によれば、雪那の体調は回復し、徐々にではあるが、公務に戻ってきているらしい。
この3月、会いたくて、本当に会いたくて……夜、雪那の部屋を訪れたのは1度や2度でない。
だけど、扉が開けらなかった。
あの時の泣き顔が視界をかすめ、ドアノブに伸ばした手を止める。
また、拒絶されたら。もう、顔も見たくないと思っていたら。
そんなことばかり考えて、恐ろしくて、どうすることもできなかった。
けれど、会いたい気持ちは募って、雪那を遠くから眺めた。
笑顔の中に悲しそうな色が見えるのは、俺に会えないせい。それとも会いたくないから。
考えは、後退していく一方で、俺の自己嫌悪を加速させてく。
「――か。……へ…か……。ちょっと、オル。」
「……すまん。ボーっとしていて聞いていなかった。オリビア、なんの話だ。」
「……発達した医療を国民にどう届けるかの話です。しっかりしていただかなくては、議会に提出できませんよ。」
「本当に申し訳なかった。街の診療所の数を増やすのはどうだろう。」
「それもいい考えではありますが、一番初めに、圧倒的に医師の数が足りていません。」
「……そうだな……医師を目指すものに補助金を出してはどうだろう。」
「予算内で可能ですかね……。」
「……議会に出す前に財務担当の大臣とも話し合わねば――」
バターン――
執務室の扉が勢いよく開いた。
「ノックもせず、お仕事中に申し訳ありません陛下。」
「かまわん。緊急事態なのであろう。なんだ。」
「雪那様が……王妃様の姿がどこにもありません。」
一瞬何を言われたかわからなかった。
けれど、身体は自然に動いていて、気付いたら王妃の私室の中にいた。
決して、侍女の報告を疑ったわけではない。自分の目で確かめなければ信じられなかった。
部屋の中にはあわてた様子の侍女しかおらず、求めていた姿はそこにはなかった。
近くにいた侍女に怒鳴りつけるように状況を聞いた。
「雪那はどこにいる。いつから姿が見えないのだ。」
よほど恐ろしかったのであろう、その侍女は青い顔で答えた。
「……今朝から……お姿が見えません……。」
「なぜ、こんな時間になって報告に来た。」
今は正午とも言うべき時間。朝から姿が見えないのならば、もっと早く報告にきていてもおかしくはない。
「……お……王妃様は、最近……誰かが起こしに来る前に、ご自身で起き、庭を少し長い時間……1時間から2時間程度、散歩なされていらっしゃいます。今日もそれだと思っておりました……。」
「ッチ。城中の者に声をかけ、王妃を探させよ。速やかに見つけ出せ。あれは、まだ病み上がりなのだぞ。」
「はい。」
侍女たちが忙しく動き出す。しばらくしたら城中が騒がしくなるであろう。
探しに行きたい衝動を抑え、情報統括の役に徹底する。こちらの方が見つかった時、すぐにでも会えるだろうから。
とりあえず、執務室か私室に詰めていよう。
執務室の方がこういう事態の時向いている。しかし、なぜだか私室が気になった。
最近は仕事を忙しくしていることもあり、私室に戻らない日が多かった。昨夜もそうだ。
王の私室など限られたものしか入ることができない。
もしかしたら、雪那がいるかもしれない。そんな淡い期待も持っていた。
私室につくと、扉と床の隙間に白い何かが見えた。
拾ってみると、白い封筒だった。宛名には俺の名前が、裏返してみると雪那の印が押してあった。
急いで中を見る。
手紙には、探さないでください。さようなら。そんなことがしたためてあった。
亀どころではない更新なんで、次はいつなのか……。自分でも疑問です。
そんなに遅くならずに更新したい。