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刹那  作者: するめ315
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なんとか12時に間に合いました。


楽しんでいただけると幸いです。

宰相殿にわかっててしまったら、帝国の吉事として大々的に取り上げられてしまう。そうなってはもう逃げられない―――。


「お願いします。このことは誰にも言わないで!!迷惑をかけないようにしますから……。お願いですから言わないで……。」

「…………床に座っていてはお体にさわります。どうか長椅子のほうへ……。」


宰相殿に支えられながら立ち上がり、長椅子に腰を下ろした。


「お願いします。宰相殿、いえ、オリビアさん、どうか誰にも言わないでください。」

「……しかし、王妃様これは帝国の未来がかかった出来事なんですよ……。」

「……いいえ、この子がどんな性別であろうと帝国を継がせる気はありません。」

「!!!何を言っているんですか。あなたはこの国の王妃なのですよ。」

「出ていきます。」

「!!!」

「私はよいのです。あの方に愛されなくても……愛していたから……。でも、子供に親に愛されない悲しみを味あわせたくない。」

「…………王妃様、あなたとオルはもっと話し合う時間が必要です……。」

「いいえ、もう必要ないのです。必要とされていないのです。だって、あの方は3月も会ってくれないのです。」

「それは……仕事が……。」

「違うんです。ナーナ姫にはあっているそうです。……あんなことをしてしまったから……もう私の顔など見たくないに決まっています。」

「王妃様…………。」


耐えきれなくなり、私は嗚咽を吐きながら泣いた。


コンコン―――


急なノック音がした。声を平時戻す間もなく扉が開いた―――。


キィ―――


「……おかあさま…ナーナです。おからだはたいじょうぶですか?」

「ナーナ姫……。」

「おかあさま!!!なんでないていらっしゃるんですか?どこかいたいんですか?なにかやなことがあったんですか?だれかにいじめられたんですか?」


ギュッ―――

思わずナーナ姫を抱きしめた。


「おかあさま……?」


すごく、すごく、嬉しかった。

本当の母ではないのに、ひたむきに愛してくれることが、この子の愛があれば私はきっと頑張ることができる。

あの方に愛されなくても頑張れる。そう確信することができた。


だけど今の私には腹の中に子がいる。

ナーナ姫のためにも、この子のためにもここにいるべきではない。


それに―――愛されなくても……愛しているから、あの方の愛し子に国を継いでほしい。


「どこも痛くないし、誰にもいじめらてないわ。ただ……少し悲しいことがあっただけ。でも、ナーナ姫がきてくれたから、悲しさなんてどこかに行ってしまったわ。」

「ほんとうですか?」

「ええ、ほん―――」

「いいえ、王妃様はいじめられたんです。皇帝陛下に。」


私の言葉を遮って、宰相殿がナーナ姫に語りかけた。


「おとうさまが!!!たとえ、おとうさまであっても、おかあさまをいじめるものは、ナーナがこらしめます。」

「ナーナ姫の協力があれば、簡単にこらしめることができますよ。」

「もちろんきょうりょくします。」


あっけにとられているうちに、会話は私をおいて進んでいる。


「私は、王妃様をいじめた奴からしばらく王妃様を隠したいのですよ……。」

「おかあさまをかくすことが、おとうさまをこらしめることになるのですか?」

「ええ、効果大でしょうね。」


宰相殿がほほ笑んだ。


「う~ん。あ、ナーナのおしろをつかってください。」

「……お城……?」

「よろしんですか、ナーナ姫。」

「もちろんです。おかあさまをいじめるなんてゆるせません。」

「では、使わせていただきますね。」


私の疑問には誰も答えてくれぬまま、話がまとまったようだった。


「……あの……。」

「王妃様、ナーナ姫は王都からしばらく行ったところに、自身の離宮をお持ちです。管理は我が侯爵家がになっていて、たとえ皇帝であろうとも、そう簡単に内情を知ることはできません。」

「え……。」

「しばらく、そこに身をおかくしください。あなたにも、オルにも、距離を置いて考える時間が必要です。手配は私が行っておきます。」


***


その話から3日後の夜、裏門からひっそりと王宮から離れた―――。

匿った人はナーナ姫が場所提供。知識提供は宰相のオリビアでした。


女3人集まると姦しい感じになりましたね……。


次話もがんばりますので、お付き合いよろしくお願いします。

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