1
こんにちは、はじめまして。
なにぶんはじめての投稿ですので、ただただお見苦しい点があるかと思いますが、生温かい目で見守ってやってください。
この小説で気分を害された方はすぐさま戻るボタンを押していただけるとさいわいです。
パンパン――
城下で王と王妃の婚礼3周年を祝う式典が始まる。
今日でこの帝国に嫁いで3年の月日が流れた。
あの方は私をみてはいらっしゃらない。この3年私があのお方にお会いするのは政務にかかわる行事と月に3・4回訪れる義務のような夜伽だけ……。愛されたいなんて贅沢は思ってはいけないことは嫁いで来た日にわかっていた。
だってあの人には愛する人との間にかわいらしい姫がいるのだから。
姫の母、ご側室様がすでに亡くなっていらっしゃっても姫を可愛がる姿からは、まだ愛していることが感じ取れるのだから。
ただ、好きでいるのは……愛することだけは許してほしい。この気持ちを伝えて重荷になるようなことはないと、嫁いで来たときに誓った。そして、せめて、あの方のために微々たるものでもいい、力になれるなら、あの方が求める王妃になろうと決めた。
式典の度私はこの誓いを新たに胸に刻む。
式典の度に私は顔を覆うベールに感謝する。
誓いを立てている時の顔はけして、民に見せる類のものではない。何より、隣に座るあの方、皇帝オルデロール・マクシオン=マクセウスが不信に思われるにきまっている。そのぐらいあの人は敏い。
「……な。」
「おい。雪那。雪那・べリアス・菜穂=マクセウス。」
「は……はい。いかがいたしました。陛下。」
「いかがしたではない。そろそろ式典の終盤だぞ。席を立ち国民に挨拶せねばならぬ。そのあとにはパレードもだ。呆けている時間などないぞ。」
「も……申し訳ございません。」
「謝るくらいならはじめからするな。」
せっかく誓いを新たにしたのに、王妃としてそぐわない行動を早速してしまったようだ。いつもこうなのだ、しようとすることすべてがあだとなる。立派な王妃など夢のまた夢。これでは、陛下に愛されるはずもない……。
パタパタ――
幼子の足音が聞こえる。
「おとうさま。おかあさま。ナーナもいっしょにいっていいですか。」
幼子特有の舌っ足らずなかわいらしい声が私たちにかけられた。
「もちろんだとも。ナーナもこの国の王族ならば国民のことを知っておかねば。」
陛下は幼いナーナ姫を抱き上げ微笑みながら言った。
「はい。おとうさま。おかあさまもいいですか。」
「ええ。もちろん。それに、お父様がお決めになられたことですもの。私には、反論などあるはずもございませんよ。」
ナーナ・トメイス=マクセウス姫……。ただこの子に母と呼ばれるだけで、陛下がその呼び方を許していることだけで、姫の教育の一端を担わせてもらえるだけで、私は少しばかりではあっても、認めてもらえているのだと感じることができている。
ただしこれは本当に少し、微々たるものである。
なぜなら私は王妃としての最大の責務である皇子の出産――いえ、この3年妊娠すらできていないのだから……。
ここまで読んでくださった方ありがとうございます。