第三十一話 聖浄軍出陣
誠一と黒崎が対峙するその頃、聖王国では大きな動きが始まっていた。
「聖浄軍、出陣!」
ガルド騎士団長の号令が、王都に響き渡った。
リーネは、軍の先頭に立っていた。
「皆さん、聞いてください」
彼女の声が、集まった兵士たちに届く。
「私たちの戦いは、単なる国の戦争ではありません。この世界そのものを守る戦いです」
兵士たちが、静かにリーネを見つめた。
「瘴帝国は、封水点を破壊しようとしています。それが成功すれば、瘴気が世界中に溢れ、私たちの故郷は、家族は、すべてが失われます」
リーネの声に、力がこもった。
「私たちは、それを許しません。聖浄師セイの教えの通り——」
彼女は、兵士たちを見回した。
「『誰かがやらなきゃ、汚れは消えない』。だから、私たちがやるのです」
歓声が上がった。
「聖浄軍、万歳!」
「聖浄師セイ、万歳!」
「リーネ王女、万歳!」
軍が、動き始めた。
一万の兵士が、国境に向かって進軍する。その先頭に、リーネがいた。
「セイ……」
リーネは、遠い空を見上げた。
「私も、戦います。あなたが帰ってくる場所を、守り抜きます」
軍議は、前夜に行われていた。
「月末の大攻勢に備えて、防衛線を再構築します」
ガルドが、地図を前に説明した。
「敵の狙いは、二正面作戦。正面からの攻撃と、封水点への別動隊」
「どう対処しますか?」
「正面は、主力軍が迎え撃つ。封水点は、聖浄班が守る」
「セイがいない状況で、大丈夫でしょうか」
リーネが答えた。
「大丈夫です。セイは、私たちを信じて任せてくれました。その信頼に、応えなければなりません」
「しかし——」
「私の浄化能力は、覚醒しました。セイに教わったことは、すべて身についています」
リーネの目が、強い光を放った。
「私が、封水点を守ります」
ゴルド老師が、頷いた。
「リーネ王女なら、できるじゃろう。儂も、全力でサポートする」
「ありがとうございます、老師」
こうして、作戦が決定した。
月末の決戦に向けて、聖王国は総力を挙げて準備を進めていた。
そして——
国境の廃墟では、二人の転生者が激しい戦いを繰り広げていた。




