表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
清掃員異世界転生_封水の勇者 ~俺の清掃スキルが異世界の穢れを祓うまで~  作者: もしものべりすと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/40

第二十七話 狙われる封水点

それから一週間が経った。


前線からの報告は、厳しいものだった。


「瘴帝国が、大規模な攻勢を開始しました」


ガルドが、軍議の場で報告した。


「国境の防衛線が、次々と突破されています」


「どのくらいの被害が?」


「三つの砦が陥落。兵士の死傷者は、千人を超えています」


国王の顔が、苦渋に歪んだ。


「西の同盟国からの援軍は?」


「まだ到着していません。あと二週間はかかると」


「二週間……持ちこたえられるのか」


「厳しい状況です」


軍議の空気が、重くなった。


その中で、誠一が発言した。


「陛下、一つ提案があります」


「何だ、聖浄師」


「瘴帝国の本当の狙いは、封水点です。正面からの戦いは、陽動かもしれません」


「陽動……?」


「大軍を前線に向けさせておいて、その隙に別動隊が封水点を攻撃する。先日の王都地下での戦いと、同じパターンです」


将軍たちが、顔を見合わせた。


「確かに……」


「ありえなくはない……」


「そこで、提案です」


誠一は続けた。


「聖浄班を、再編成させてください。封水点の防衛に特化した部隊を、新たに編成します」


「どのような部隊を?」


「浄化能力を持つ者を集めた、精鋭部隊です。数は少なくても、機動力と対瘴気能力に優れた部隊を」


国王は、しばらく考え込んだ。


「……認めよう。必要な人員と資材は、自由に使ってよい」


「ありがとうございます」


誠一は頭を下げた。


聖浄班の再編成が、すぐに始まった。


まず、リーネが復帰した。覚醒した彼女の浄化能力は、以前の数倍になっている。


次に、ミラ。彼女は戦闘能力こそ高くないが、瘴帝国の情報と、瘴気の察知能力に優れている。


そして、ゴルド老師。封水の儀の知識は、誰にも代えられない。


さらに、新たなメンバーを加えた。


「これからよろしくお願いします、聖浄師殿」


若い騎士が、誠一の前に跪いた。


「ライオネル・クレイモア。浄化の才能があると聞いた」


「はい。微弱ではありますが、瘴気を払う力があります」


「微弱でも構わない。これから鍛えれば、強くなる」


ライオネルの他にも、浄化の素質を持つ者を五名、聖浄班に加えた。


「全員で十名か」


誠一は、新しい聖浄班を見回した。


「少数精鋭だ。だが、俺たちにしかできない仕事がある」


「封水点の防衛ですね」


リーネが言った。


「そうだ。正規軍が前線を守る。俺たちは、封水点を守る。役割分担だ」


誠一は、地図を広げた。


「現在、聖王国領内の三つの封水点は、すべて強化済みだ。だが、敵はそれでも攻めてくるだろう」


「どこが、最も危険ですか?」


「王都の地下だ」


誠一は、地図上の一点を指さした。


「王都が陥落すれば、すべてが終わる。ここを、最優先で守る」


「わかりました」


全員が、決意を込めて頷いた。


その夜。


誠一は、一人で夜空を見上げていた。


「セイ」


ミラが、近づいてきた。


「眠れないんですか?」


「ああ。考え事をしていて」


「黒崎のこと?」


「……半分は」


誠一は、溜息をついた。


「あいつは、利用されている。知っているんだろうか、自分がどんな計画に加担しているか」


「知っていても、関係ないんじゃないですか」


ミラの声には、冷たい響きがあった。


「私の村を滅ぼしたのは、瘴帝国です。黒崎が直接手を下したわけじゃないかもしれない。でも、彼はその一員です」


「……そうだな」


「同情なんて、する必要ないですよ」


「同情じゃない」


誠一は、首を振った。


「ただ——同じ世界から来た人間として、少し考えてしまうんだ。俺が清掃員で、あいつが上司だった。その関係が、この世界でどう変わったのか」


「変わっても、本質は同じじゃないですか」


「本質……」


「セイは、汚れを清める人間。黒崎は、汚れを広げる人間。その違いは、元の世界でも変わらなかったんでしょう?」


ミラの言葉が、誠一の胸に刺さった。


「……そうかもしれない」


「迷わないでください、セイ。あなたには、守るべきものがある。私も、リーネも、この国の人々も」


ミラは、真っ直ぐに誠一を見た。


「私たちは、あなたを信じています」


「……ありがとう、ミラ」


誠一は、微笑んだ。


「もう迷わない。黒崎が敵なら、倒すだけだ」


その決意を胸に、誠一は明日の戦いに備えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ