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清掃員異世界転生_封水の勇者 ~俺の清掃スキルが異世界の穢れを祓うまで~  作者: もしものべりすと


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第二十三話 交差汚染の罠

王都に戻ると、異変が起きていた。


「城下町で、疫病が発生しています」


ガルドが、深刻な表情で報告した。


「疫病……?」


「はい。三日前から、高熱と吐き気を訴える患者が急増しています。すでに数百人が発症し、死者も出ています」


「原因は?」


「わかりません。医師たちも、首を傾げています」


誠一は、すぐに現場に向かった。


城下町の一角に、臨時の病棟が設けられていた。そこに、患者たちが収容されている。


「これは……」


一目見て、誠一は原因を悟った。


患者たちの体から、薄い黒い靄が立ち昇っている。瘴気だ。それも、特殊な——


「交差汚染だ」


「交差汚染……?」


リーネが聞き返した。


「異なる汚染源が混ざり合うと、単独よりも強力な汚染が生まれることがある。これは、その症状だ」


誠一は、患者の一人を診察した。


「体内に、二種類の瘴気が入っている。一つは、通常の瘴気。もう一つは——」


「もう一つは?」


「人工的に作られた瘴気だ。瘴帝国の技術だな」


ミラの顔が、険しくなった。


「瘴帝国が、疫病を広めたんですか」


「間違いない。しかも、巧妙だ。二種類の瘴気を別々に散布して、体内で混ざり合わせた」


「どうやって……」


「おそらく、水と空気。水源に一方を、空気に一方を。両方に触れた人間が、発症する」


誠一の分析は、正確だった。


調査の結果、城下町の井戸の一つと、市場の換気口から、それぞれ異なる瘴気が検出された。


「井戸は封水が切れていた。換気口には、瘴気の核が仕掛けられていた」


「スパイの仕業ですね」


「ああ。マルコは拘束したが、他にも協力者がいたようだ」


誠一は、歯噛みした。


「敵の狙いは、俺たちを足止めすることだ。疫病に対処している間に、封水点を攻める——」


「では、どうしますか」


「二手に分かれる。俺とリーネが疫病に対処する。ミラとゴルド老師は、王都の封水点を警備してくれ」


「わかりました」


聖浄班は、二手に分かれた。


誠一は、まず汚染源の除去に取り掛かった。


井戸の封水を修復し、換気口の瘴気核を除去する。同時に、城下町全体をゾーニングし、汚染区域を隔離した。


「リーネ、患者の治療を頼む」


「はい」


リーネは、病棟に向かった。


彼女の浄化能力は、この数週間で飛躍的に向上していた。軽度の汚染者なら、一人で治療できるレベルになっている。


「頑張ってくれ……」


誠一は、清掃作業を続けた。


汚染源の除去。ゾーニングの維持。交差汚染の遮断。


清掃員として培った技術を、フル活用した。


三日後。


疫病の拡大は、止まった。


「患者の数が、減り始めています」


医師が、安堵の表情で報告した。


「新規発症者は、ほぼゼロ。既存の患者も、回復に向かっています」


「よかった……」


誠一は、疲労困憊の体で座り込んだ。


三日間、ほとんど眠っていない。だが、最悪の事態は防げた。


「セイ、大丈夫……?」


リーネが、心配そうに誠一を見た。


「ああ、大丈夫だ。少し休めば——」


その時。


「聖浄師! 大変です!」


騎士の一人が、慌てて駆け込んできた。


「何があった」


「封水点が——王都の封水点が、攻撃されています!」


誠一は、飛び起きた。


「ゴルド老師たちは!」


「応戦していますが、敵の数が多く——」


「行くぞ!」


誠一は、疲れた体に鞭打って走り出した。


敵の狙いは、明らかだった。疫病で誠一たちを疲弊させ、その隙に封水点を攻める。


「やられた……!」


だが、まだ間に合う。間に合わせなければならない。


王都の地下——封水点への道を、誠一は全力で駆け抜けた。

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